今オフにも岡本和真が米球界?巨人がポスティング移籍を認め始めた背景に「佐々木朗希との”因縁”」
4年ぶりのリーグ優勝と12年ぶりの日本一を目指す巨人は昨シーズン王者の阪神を0.5差で追うリーグ2位(10日時点)。開幕から全試合で4番に座り、打線を牽引する岡本和真内野手(27)は10日時点で打率・264、5本塁打、16打点と絶好調ではなくともまずまずの数字を残している。
岡本がかねてからメジャー挑戦の希望を抱いていることは公然の事実。昨年12月の契約更改では複数年契約の打診を断り、自身の希望で4億2000万円の単年契約を結んだ。岡本が海外フリーエージェント(FA)権を取得するのは最短で’26年オフだが、そこまで待つことなく、早ければ今オフにもポスティングシステムを利用して米球界に挑戦する可能性が出てきたという。巨人担当記者はこう明かす。
「単年契約は今オフのメジャー挑戦への布石と見られています。巨人はもともとメジャーに行くには海外FA権の利用しか認めてきませんでしたが、菅野智之(34)と山口俊(36、’23年引退)と例外は2人いました。菅野は巨人入団のために浪人したこと、山口についてはDeNAからFAで加入したときの条件という特別な事情があったからです。でも、このところ球団の姿勢に変化が見られつつあるのです」
エースの戸郷翔征投手(24)も将来的なメジャー挑戦の希望を公言しているが、一部で来年オフのポスティング移籍を容認する発言が報じられた。
大リーグスカウトは「巨人の関係者と話しても『誰でもOKとはいかないけど、ウチはポスティングの利用を認めている』と言う。これまでにはなかった姿勢ですよ」と驚きを隠さない。
かつて、巨人からメジャーに移籍した松井秀喜(49、’12年引退)や上原浩治(49、’19年引退)といったそうそうたる選手の早期移籍の希望も退けてきた球界の盟主だが、姿勢の変化にはやむにやまれぬ事情があるという。前出の担当記者はこう明かす。
「最近、アマチュアのトップ選手の家族や野球部関係者から『ウチの子はメジャー志望があるんですけど、巨人さんはポスティングでは行かせてくれないんですよね?』と聞かれることが多くなっているといいます。ある時には『ポスティングが無理ならドラフト指名はご遠慮いただきたい』と言下に指名拒否されたこともあったようです」
巨人に衝撃を与えたのは’19年ドラフト会議の目玉だった佐々木朗希投手(22)の〝指名拒否〟だったという。
「あの年は佐々木がプロ志望届を出した後、全12球団がドラフト会議前に佐々木側と面談を行っていました。そこで佐々木側から将来的なメジャー行きのためにポスティングの利用の可否が確認されたようですが、巨人はその場で即答できず、事実上の『お断り』をされたのです」(同)
表向きは「12球団OK」の姿勢だった佐々木だったが、ドラフト会議で入札したのはポスティングOKの姿勢を明確に打ち出したロッテ、西武、楽天、日本ハムの4球団のみ。ポスティング移籍について巨人同様に「NO」の姿勢を貫いてきたソフトバンクも指名を回避せざるを得なかった。
昨オフ、FA宣言した山崎福也を獲得にいったが、日本ハムにさらわれ、筒香嘉智(32)が日本球界復帰をする際も巨人入りが有力視されながら、結果的に古巣のDeNAに復帰した。国内の補強戦線で“負け戦“が多くなってきた巨人にとって、ドラフトでの戦力補強がくじ引きすらできずにとりたい選手の指名を回避せざるを得なくなる事態は、何がなんでも避けたい。ポスティング容認への“路線変更”は背に腹を代えられない事情によるものなのだ。
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