ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。

太田 サトル

<h3><span class="strongInContent">主催・演者側が推奨するケースも増えてきたライブ会場での撮影</span></h3>
<p>都内ライブハウス。あるアーティストのライブにスペシャルゲストがサプライズで登場、大歓声で盛り上がる会場。と同時にフロアのあちこちから高く掲げられたスマホ……。</p>
<p>自分の目の前の視界が、前の人たちのスマホ画面で埋め尽くされてしまった……同じような経験をしたことはないだろうか？</p>
<p>近年、音楽ライブ会場などでこういう光景をしばしば見かけるようになった。観客のスマホなどによる動画や静止画の撮影。それを自分の頭の上まで掲げて構えることで、後ろの人の視界が大きく遮られてしまうことがある。</p>
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<p>かつてはライブ会場での撮影行為は、可能なライブも存在するが、基本的に禁止とされることが多かった。</p>
<p>しかしスマートフォンのカメラ機能の進化、撮影された写真や動画のSNSでの拡散、そして撮られる側にとっても拡散されることで広告費をかけずに宣伝的なメリットが得られると、プラス面としてとらえる考え方も広まり、主催・演者側から推奨するケースが増加している（撮影可能な曲やコーナーが指定される場合や、撮影可能エリアを別途設けている場合、SNSへの投稿は演者側の確認を経てからという場合もある）。</p>
<p>楽しさ、感動、興奮……目の前のステージの空気を自分のスマホに収めたくなるのはよく分かる。自分だって撮影する。しかしだ。ステージの上の被写体を良い感じに収めたいあまりに、そのスマホは時には頭上はるか上に掲げられてしまう。特に動画を撮る人は一定時間掲げたままになることも多く、視界が遮られっぱなしになることも。</p>
<p>もちろん撮影画像を個人的に楽しむだけの人も多数いるだろうが、SNSへの投稿も定着した。だからこそ近年増加するこの“スマホ掲げすぎ問題“、今後考えるべき新たなライブマナーではないだろうか。</p>
<figure id="attachment_372750" aria-describedby="caption-attachment-372750" style="width: 2655px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d0c27df7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/5644e9b35cb647bfc974e57159b180a5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372750" class="wp-caption-text">せっかくのステージが、前の人のスマホによって視界をふさがれてしまうことも……（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">「ファン目線」の写真のほうがいいこともある</span></h3>
<p>これまで撮影が可能だったライブの場合は一眼レフをしっかり構えてというスタイルがほとんどだった。しかしスマホのカメラ機能の進化と操作の簡単さによって誰でもある程度のクオリティの映像が撮影できるようになった。</p>
<p>さらにコンパクトで片手でも撮影でき、多少離れた場所からでも視認しやすい画面の大きさと明るさ。それらの要素の結果、いきおい邪魔な前方客の頭をよけるようにどんどん頭上に掲げられ、後方客の視界にはスマホ画面がズラリといった現象を生み出すことになる。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="『撮る』ということもライブのひとつの楽しみ方"></div>
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<p><span class="strongInContent">「後ろから見たときにスマホのブルーライトのまぶしい画面が視界にたくさん入ってくるのは、スマホを構える位置以前にやっぱり気になりますし、目も疲れます」</span></p>
<p>と言うのは、カメラマンでありミュージシャンとしての顔も持つ石澤瑤祠さん。石澤さんはオフィシャルカメラマンとしてステージの写真を撮る機会も多く、ライブで観客が撮影することが増えてきた当初は、「俺たちが撮ってるんだからわざわざ撮らなくても」という思いもあったそうだが、SNSでの拡散の効果の大きさを実感するようになったそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「親が撮る我が子の写真が一番いいみたいに、本当に好きな人が撮ったもの、それにはかなわないと感じることもあります（笑）。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">オフィシャル以外の画像や映像も大量に記録され公開されていくこと、Xやインスタグラムなど、拡散する土壌が整っている今、それは大切な歴史の記録が膨大に残されていくことになるのかなと肯定的にとらえられるようになりました」</span></p>
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<p>二人組ユニット「PPPR!!-ピポパロ-」のメンバー・路亜さんも、かつてアイドルグループのメンバーとして活動を始めるまでは、観客のライブ撮影を肯定的にとらえていなかったそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「やっぱりライブはその場、その瞬間を楽しむものという意識があって。自分の目に焼き付けるものだと。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">だけど、アイドル活動を始めたときに、『撮る』ということもライブのひとつの楽しみ方なんだと気づきました。自由に楽しむという意味では同じなのかなって」</span></p>
<p>PPPR!!のライブは、基本的に動画も静止画も撮影OKにしている。</p>
<p><span class="strongInContent">「みなさんいいスマホ、いいカメラで撮ってくださってSNSなどで広めてくれる。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">そういうかたちで自分たちの記録をかっこよく残してもらえますし、ファンの方からは私たちはこう見えてるのかと分かりやすいので、ありがたいです」</span></p>
<p>二人が言うように、撮影・拡散という行為そのものは時代の流れ的にも歓迎。ただ、考えていきたいのはその撮影マナーだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「自分が見にくいってことは、自分の後ろにいる人はそれ以上に見にくい。自分のスマホを頭上まであげちゃうと、その見にくい視界をさらに遮ってしまうんだぞと。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">見づらい、撮りづらいなと思っても、自分の後ろにもお客さんがいるんだということは意識してほしいです。構えるのは自分の目線の位置、せめて頭の高さまでにしてほしいですね」（路亜さん）</span></p>
<figure id="attachment_372751" aria-describedby="caption-attachment-372751" style="width: 1007px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d142f3d1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/1c450fe361c87d8a7d9d2f8d882c92e2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372751" class="wp-caption-text">「後ろの人のことを考えて、できればこのぐらい、自分の目線ぐらいで」と、推奨する位置でスマホを構える路亜さん（撮影協力：BARバレンタイン・旧店舗）</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="’20年代ならではの風景！？"></div>
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<h3><span class="strongInContent">スマホ画面が光るライブ風景こそ「今」のライブの空気の記録？</span></h3>
<p>石澤さんは、スマホカメラを信じてもし頭上で撮りたくても一瞬で、とすすめる。</p>
<p><span class="strongInContent">「ファン心理として残しておきたい気持ち、みんなに見せてあげたいという使命感も分かりますが、自分のスマホやカメラだけで撮れればいいというものではない。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">スマホのカメラは基本的にどれも性能がいいですし、今のライブ照明と実は相性がよくて綺麗に撮れる。ある程度おまかせでそれなりのものが撮れますから、その瞬間を狙って一瞬だけなら後ろの人に不快感を与えないのではないでしょうか」</span></p>
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<p>路亜さんは、こんな提案もする。</p>
<p><span class="strongInContent">「指定の席がない場合だったら、フロアの端をおさえると、ある程度高い位置から撮っても後ろの人の視界を遮ることはかなり減るんじゃないかな。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">演者や主催者、会場ごとに基準も違っていて明確なルールのないものなので、ルールやマナーがみんなで考えながら自然にできていくといいですね」</span></p>
<p>観客がライブを自由に撮影することができるという環境も、頭上スマホで視界が遮られるなど、迷惑ととらえる声が大きくなれば撮影・拡散が全面禁止となることだってある。カメラを構える位置だけでなく、バラード曲などでシャッター音が思いのほか鳴り響いてしまうと雰囲気が台無しになることもあるので気をつけたいところだ。</p>
<p>石澤さんは、みんながスマホでステージを撮っている光景そのものが’20年代の今っぽさなのかもしれないと考える。</p>
<p><span class="strongInContent">「後ろから全景を見たとき、たくさんの光り輝くスマホの画面がそこにある。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">その光景、掲げられるスマホの数の多さがそのライブの盛り上がりを表す証、今ならではの空気感なのかもしれない。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">のちに、『’20年代ってこういう感じだったね』と、みんながスマホを掲げる光景を懐かしく思い出すようになるかもしれませんね（笑）」</span></p>
<p>そういえばスマホってあったなぁ……そういう未来が訪れるかもしれない。</p>
<figure id="attachment_372752" aria-describedby="caption-attachment-372752" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a451bcd6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/7334dfad91c5ca75c5891ff46e428b39.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372752" class="wp-caption-text">ファン撮影のPPPR!!-ピポパロ-ライブ写真。撮影可能なライブも、マナーの範囲でベストショットを狙いたい（画像提供：ピポパロ公式）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_372753" aria-describedby="caption-attachment-372753" style="width: 810px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="728cbca2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/9544b0b4a0874add4716c83ac2523e3b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372753" class="wp-caption-text">こちらは公式カメラマンによるPPPR!!-ピポパロ-ライブショット（画像提供：ピポパロ公式）</figcaption></figure>
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太田サトル

大歓声で盛り上がるライブ会場。と同時にフロアのあちこちから高く掲げられたスマホ……。自分の目の前の視界が、前の人たちのスマホ画面で埋め尽くされてしまった……同じような経験ありませんか？

「視界が前の人たちのスマホで埋め尽くされて…」ライブの新マナー・ステージ撮影でスマホ掲げすぎ問題

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