<figure id="attachment_374082" aria-describedby="caption-attachment-374082" style="width: 1330px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3246cee2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/da4c6cffd3e1fa58db8efdc4d16d3b50.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-374082" class="wp-caption-text">とくに新宿のような、良くも悪くも多様性を持った街での出会いには注意が必要。一時の欲望に流されたり、「自分は大丈夫」といった思い込みは一生の後悔につながるかもしれない</figcaption></figure>
<p>コロナ禍が明け、マッチングアプリが定着し、パパ活が横行して、刹那的な出会いが激増した影響なのか、性感染症の患者が激増している。梅毒、淋病、クラミジアもさることながら、医療関係者を不安に陥らせているの’90年代に社会問題となった「HIV」の感染拡大だ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>新宿・歌舞伎町前の病院で治療に当たる、新宿東口プライマリケアクリニックの大林院長は「予断を許さない状況」と警告する。</p>
<p><span class="strongInContent">「先日発表されたばかりの『HIV検査体制の改善と効果的な受検勧奨のための研究-令和５年度 総括・分担研究報告書-』によると、’22年のHIVの検査実施数は４万2805件で陽性者数が72だったのに対し、昨年は検査数が６万3120件で陽性者数は116と１年で大きく増加しています」</span></p>
<p>――増加の原因は？</p>
<p><span class="strongInContent">「新型コロナウイルスというせき止めるものがなくなり、医療機関に検査に行く方が増えたというのがひとつ。出会い系アプリ、インバウンド客との接触など、人と人が飛躍的に出会いやすくなったことが背景にあります。</span><span class="strongInContent">ちなみにHIVとは『Human Immunodeficiency Virus』、つまりヒト免疫不全ウイルスの頭文字をとったもので、エイズとはHIVウイルスの働きにより発症する免疫機能が保たれなくなる病気を指します。エイズになると、肺炎や結核など、さまざまな病気に罹りやすくなります。つまり、HIVはウイルス名、エイズは病気名です」</span></p>
<p>――エイズになると死に至ることは避けられないのでしょうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「正確に言えば、エイズそのものでなく、“エイズの症状による免疫力の低下によって他の病気に罹って亡くなる”というメカニズムになっています。HIVに感染すれば、もちろん生命が危険に晒されることになる可能性はありますが、治療法も薬も’90年代から進歩しています。かつては、人類を滅ぼす病気、というようなイメージで語られたこともありますが、もうそういう病気ではないでしょう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">必要以上に恐れる必要はありませんが、現在でも予防や抑制ができるだけで、不治の病ではあります。一度HIV陽性になると、一生薬を飲まなければいけません。セックスも大きく制限がかかります。しっかりした知識を持って、病気に対処することが大事です」</span></p>
<figure id="attachment_372915" aria-describedby="caption-attachment-372915" style="width: 1108px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6a34b820"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/ca86e30efbd74062128bf01896582b31.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372915" class="wp-caption-text">新宿東口プライマリケアクリニックの大林院長。新宿歌舞伎町入口の目印であるドン・キホーテ前という、世界的な歓楽街であり、感染症の最前線でもある場所で治療に当たっている</figcaption></figure>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>――どうすれば予防できますか。</p>
<p><span class="strongInContent">「感染経路で最も多いのは血液を介したものです。ですから</span><span class="strongInContent">たとえば、HIV感染者と一緒に焼き肉を食べたり、鍋をつついても大丈夫です。蚊が媒介することもないし、唾液で感染することもない。体の外に出るとHIVウイルスは長く生きられないのです。消毒にも弱い。HIV陽性者とセックスしても必ず伝染するわけではない。そのぐらいの感染力なので、過剰に怖がることはありません」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="感染リスクの高い性行為とは？！"></div>
<figure id="attachment_372969" aria-describedby="caption-attachment-372969" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6d1d3abd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/aaf1bdace28ff7c5bf6d004f5a06b2f5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-372969" class="wp-caption-text">HIV感染の予防薬のひとつTAFICITA。ジェネリックであるため、価格も先発薬に比べるとかなり安価となっている</figcaption></figure>
<div class="expapp-no-provided-scope expapp-no-provided-scope-start"></div>
<p>最も感染リスクが高いのが性行為であることは間違いない。避けるべきことは何なのだろうか？</p>
<p><span class="strongInContent">「感染リスクが高い性行為をリスクが高い順にあげるなら、アナルセックス（受け側）、アナルセックス（挿入側）、膣性交（女性側）、膣性交（男性側）、そしてオーラルセックス（男女共）になります。かつて“男性の同性愛者が罹る病気”という誤解が広まりましたが、同性愛者がハイリスクなのではなく、アナルセックスが腸壁を傷つけやすいために、感染リスクが高いのです」</span></p>
<div class="expapp-no-provided-scope expapp-no-provided-scope-end"></div>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>――感染すると、どのような症状が出ますか。</p>
<p><span class="strongInContent">「発熱や関節痛など、インフルエンザに似た症状が出ます。しかし、まったくの無症状のケースもある。感染がわかりにくいのがHIVの厄介な点です。エイズ発症までに、10年前後かかることがあるのもこの病気の怖いところですね。</span></p>
<p><span class="strongInContent">とにかく、性行為は信頼できる身元がしっかりした人とのみすること。これが一番大事です。もし、不安になるようなセックスをしてしまったら――現在、予防薬が進歩しています。行為から72時間以内に予防薬の内服を始め、28日間続ければ、ほぼ100％の予防効果があります。『もしかしたら……』と思っても、梅毒やクラミジアだけ検査して、陰性になってホッとする方が多いのですが、こういう状況ですから、ぜひHIVの検査も行ってほしい」</span></p>
<p>――もし、感染してしまったら？</p>
<p><span class="strongInContent">「専門医の診断を受け、それに従ってください。いまだに誤った情報が溢れていますから、自己判断、素人判断は危険です。正しい知識、情報がとても大事な病気です。薬を飲めば症状の進行を抑え、普通の生活を送ることができます。落ち着いた対処を」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>HIV――エイズは、医療の進歩によって未知の必ず死に至る病ではなくなった。だが、より身近なところに存在するようになったことも確かだ。</p>
<p>自分の身を守ることができるのは自分だけであることを肝に銘じたい。</p>


くるす・みゆう　フリーライター。人文、社会問題、サブカルチャーなどを主な守備範囲とし、雑誌・新聞・ネット等、メディアを問わず、記事の取材・執筆を中心に活躍。著書多数。

来栖美憂

東京都新宿区新宿三丁目23-12新宿パンドラビル６Ｆ<br />
03-3226-7777（平日18:00～22:00<br />
　　　　　　　土日祝14:00～20:30）<br />
ＵＲＬ：https://shinjuku.clinic/

新宿東口プライマリケアクリニック

90年代、世界を恐怖に陥れたＨＩＶが令和の今、ふたたび感染者を増やしている。背景にあるのがマッチングアプリの定着とインバウンド客の激増だ。歌舞伎町を抱く新宿の医師が「落ち着いて対処を」と助言する

再び感染者が増加中！令和の日本を直撃している”すぐそこにあるエイズの危機”を回避するには？

あなたへのオススメ

関連記事