浅井 秀樹

<h3><span class="strongInContent">リモートワーク層に人気なのは長野県、北海道、沖縄県…</span></h3>
<p>首都圏や中部圏、京阪神の大都市では時間に追われ、あわただしい生活を送る人が少なくない。自分に合うペースで働き、生活も充実させたい人はいるのではないか。地方都市で職住近接なら、そんな生活ができるかもしれない。地方は農産物や魚介類など地元の新鮮な食材が、お手ごろ価格で入手しやすいのもありがたい。</p>
<p>一方、自然豊かな田舎暮らしにあこがれ、農業や地場産品を使った飲食店や物販などで生計をたてる人もいる。最近はインターネット経由のリモートで、さまざまな仕事ができるようになったが、田舎暮らしは生活できる程度の収入でいいという人も少なくない。そういう人たちには長野県、北海道、沖縄県などが人気先となっている。</p>
<figure id="attachment_375266" aria-describedby="caption-attachment-375266" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dd15f0b5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/980840ec63eaf2ecb15da3b9c85e647b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-375266" class="wp-caption-text">都道府県魅力度ランキング2023では、39位だった栃木県だが…。写真は、栃木の星・U字工事（PHOTO：共同通信）</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">給与が高い県…栃木県は「穴場」大都市並みの稼ぎに</span></h3>
<p>大自然のなかで田舎暮らしは難しくても、地方都市で雇用されて働く生活なら、選択肢になる人はいるだろう。気になるのは、地方の雇用で、賃金がどれくらいになるか。</p>
<p>雇用者が実際に得た賃金を、都道府県別にみたデータがある。</p>
<p>基本給や諸手当など含む月額で、<span class="strongInContent">男女の全国平均の34万6700円を上回ったのは順に、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、栃木県、兵庫県、埼玉県だった。首都圏や中部圏、京阪神でないのは５番目の栃木県で、賃金は35万5400円となっている。</span></p>
<p>これは厚生労働省が公表する賃金構造基本統計調査（’23年）の「決まって支給する現金給与額」のデータだ。手取り額でなく、所得税や社会保険料など控除前の額。基本給のほか、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などに、超過労働給与額も含む。</p>
<p><span class="strongInContent">この現金給与額とは別に年間賞与のデータもある。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">全国平均（男女）の90万9000円に対し、100万円超は東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、栃木県だけ。なかでも、栃木県は108万7300円と神奈川県の110万200円に次ぎ、東京都の104万3300円などを上回っている。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_375237" aria-describedby="caption-attachment-375237" style="width: 1045px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c43a238e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/17eb038961b3ed1488eedff3d7627065.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-375237" class="wp-caption-text">男性の全国平均は、38万5400円。【単位は千円】賃金構造基本統計調査（’23年）（厚生労働省）より</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_375238" aria-describedby="caption-attachment-375238" style="width: 991px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4f7e31f0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/35892a306299d816e7794a8efbc43216.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-375238" class="wp-caption-text">【単位は千円】賃金構造基本統計調査（’23年）（厚生労働省）より</figcaption></figure>
<p>栃木県はどんなところなのだろうか。県労働政策課の担当者は次のように話す。</p>
<p><span class="strongInContent">「東京から新幹線１本でつながり、交通の便がよく、関東のなかで条件がいい。東京とのつながりを断つのはどなたも嫌がり、東京へ行けるようにしておきたい。そこは完全な田舎とは違います」</span></p>
<p>栃木県の「本県産業の特徴と課題」によると、東京から60～160kmで、比較的に平たん、土地や水資源にも恵まれている。主要立地企業一覧を見ると、輸送機械関連や医薬機器・医薬品関連、食品・飲食関連など国内外の大手企業が拠点を構える。県の「企業立地に関するご案内」では、製造業が経済をけん引する「ものづくり県」で、製造業比率が41.2％と全国２位、さまざまな産業がバランスよく集積するという。</p>
<p>栃木県は地方でありながら、大都市と同じような雇用先に恵まれているようだ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="男女の賃金格差が少ない県は…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">女性の男性との「賃金格差が少ない」のは高知県…</span></h3>
<p>一方、女性は、男性との賃金格差が気になる。</p>
<p>賃金構造基本統計調査（’23年）の「決まって支給する現金給与額」は、男女別データも公表している。男性に対する女性の現金給与額は、全国平均で72.8％と、女性は低い水準にとどまる。<span class="strongInContent">都道府県別で比率が高く、賃金格差が少ないのは順に、高知県の79.4％、秋田県の77.5％、長崎県の77.3％など。逆に、栃木県は最下位の68.4％だった。</span></p>
<p>女性の現金給与額をみる場合、複雑なのは男性に比べ勤続年数が短いこと。勤続年数は全国平均で、男性13.8年、女性9.9年。都道府県別で多少のばらつきはあるが、女性は10年前後となっている。どうしても、勤続年数が短い女性の現金給与額が、男性より低めになる。</p>
<p>厚労省雇用均等政策課の担当者は「管理職や勤続年数は男性のほうが多い」と指摘し、これが賃金の違いになって出ているとみている。さらに、こうも話す。</p>
<p><span class="strongInContent">「女性は課長以上の昇進率が低いことや、妊娠・出産でけっこう辞めて女性の中高年層が薄いこともある」</span></p>
<p>こうした女性に特有の問題も念頭に置きながら、あえて<span class="strongInContent">女性の現金給与額を都道府県別にみると、全国平均の28万700円を超えるのは順に、東京都、神奈川県、大阪府、京都府、埼玉県、兵庫県となり、いずれも首都圏や京阪神。その次は奈良県、愛知県、千葉県、和歌山県、栃木県となっている。</span></p>
<p><span class="strongInContent">女性にとっても、栃木県は賃金が27万700円と比較的に高いほか、男女間賃金格差が比較的に小さい奈良県の27万8700円や和歌山県の27万4600円は高いほうになる。どこも女性の勤続年数は10年前後となっている。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_375239" aria-describedby="caption-attachment-375239" style="width: 1012px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d9dd225e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/1016957b692e4675d97c06b1c4751952.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-375239" class="wp-caption-text">女性の全国平均は、28万700円。【単位は千円】賃金構造基本統計調査（’23年）（厚生労働省）より</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_375240" aria-describedby="caption-attachment-375240" style="width: 929px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f0e0d7cf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/05/043b2cea841792edd250b90977d0853f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-375240" class="wp-caption-text">【単位は千円】賃金構造基本統計調査（’23年）（厚生労働省）より</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">女性は和歌山も検討先に、その訳は…</span></h3>
<p>女性にとって、栃木県のほか、奈良県や和歌山県は働く先として魅力的かもしれない<span class="strongInContent">。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">賃金のほか、賞与をみると全国平均の62万8100円に対し、和歌山県は64万4700円と上回っている。ちなみに、奈良県は56万9900円、栃木県が59万7800円。</span></p>
<p>和歌山県はどんなところなのか。県の移住支援サイト「わかやまライフ」によると、年間平均気温17.5度と温暖で、日照時間は全国平均よりも長い。通勤時間は総務省統計で東京44分、大阪36分、全国28分に対し、和歌山が22分と短い。家賃や土地が安く、持ち家率も高く、マイホームでゆったり生活できて、物価が安いという。</p>
<p>和歌山県は県内産業について、中小企業の比率が非常に高く、ニット産業といった繊維やパイル織物、日用家庭用品など伝統的な地場産業が盛んである。鉄鋼、石油、化学の製造業の構成比が高いとも。</p>
<p>最近の物価高で生活が厳しくなっており、賃金水準が高いとありがたい。賃金水準を地域比較し、生活を考えてみるのもいいかもしれない。</p>
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浅井秀樹

都会を離れて…大自然のなかで田舎暮らしは難しくても、地方都市で雇用されて働く生活。気になるのは、地方の雇用で、賃金がどれくらいになるか。雇用者が実際に得た賃金を、都道府県別にみたデータがある。

「男性は栃木が穴場、女性は和歌山」どこで働くのがお得か…都道府県別の賃金統計調査からわかったこと

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