柴田恭兵はまだまだ走る「70歳過ぎた男がヘロヘロで走っている姿こそがかっこいいでしょ」 | FRIDAYデジタル

柴田恭兵はまだまだ走る「70歳過ぎた男がヘロヘロで走っている姿こそがかっこいいでしょ」

来年デビュー50周年 8年ぶりのシリーズ最新作『帰ってきた あぶない刑事』がついに公開! ″ダンディー鷹山″とともに″セクシー大下″が帰ってきた

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「昔のように身体はキレッキレッじゃないし、足も速くない。でも、僕はそれでいいと思う」

俳優・柴田恭兵(72)が演じる『あぶない刑事(デカ)』のユージ(大下勇次)は誰よりも走る刑事だ。それも軽やかでスタイリッシュ。38年前にテレビドラマの放映がスタートして以来、柴田が疾走する様(さま)は″ユージ走り″と呼ばれファンの心を震わせてきた。当然、5月24日公開のシリーズ最新作『帰ってきた あぶない刑事』でも舞台となるヨコハマを駆け回るが、72歳の柴田が老いを隠すことはない。

しばた・きょうへい/静岡県出身。サラリーマン生活を経て、23歳で『東京キッドブラザース』に入団しデビュー
しばた・きょうへい/静岡県出身。サラリーマン生活を経て、23歳で『東京キッドブラザース』に入団しデビュー

「70歳を過ぎた男がヘロヘロになりながらも、一生懸命に走っている姿こそがかっこいいと思うんですよ」

舘ひろし(74)演じるタカ(鷹山敏樹)とともに繰り広げるド派手なアクション、コミカルな掛け合いといった『あぶ刑事』の世界観は今回も健在だ。前作『さらば あぶない刑事』から8年ぶりとなる今作は、刑事を定年退職してニュージーランドで探偵業を営んでいたタカ&ユージが、ヨコハマに戻って探偵事務所を開くところから始まる。さらに、二人のどちらかの娘かもしれない女性も現れて――。

「僕は『さらば……』でおしまいのつもりでいたんです。でもあらすじを聞いて、父親の顔を見せるタカとユージにはこれまでとは違った魅力があるのではないかと感じた。それに、やっぱり何年か経つと舘さんにふと会いたくなるんですよね」

’75年の舞台『十月は黄昏の国』でデビューした柴田は、後に『あぶ刑事』シリーズを手掛ける村川透監督の推薦により、『大都会 PARTⅡ』(’77年)でテレビドラマに進出。’86年放送開始の同シリーズで、大ブレイクを果たした。

それまでの刑事ドラマは、激しい銃撃戦や殉職など刑事の悲哀が前面に描かれたものが多かった。放送開始当初は半年間の予定で始まったが、若者を中心に絶大な支持を得て1年間に延長。ロケ地のヨコハマにはファンが殺到して撮影が中止になることも少なくなかったという。

「『あぶ刑事』で共演する前に原宿のプールバーで舘さんを見かけたんです。夜中に食事できるところがそこしかなくてふらっと行ったら、舘さんが金髪美女をエスコートして現れたんですよ(笑)。それがすごくダンディーでかっこよかった」

女性に優しくスマートな″ダンディー鷹山″は舘そのものだという。それならば自分も作り込んだ役ではなく肩の力を抜いていこう。そう思って生まれたキャラクターが、オシャレでお調子者だけど正義感の強い″セクシー大下″だった。

「実は、″セクシー″はダンディーに対抗しようと思ってアドリブで言ったセリフが始まり。だから、僕自身はセクシーでも何でもないんだけど、僕のギャグやアドリブをすべて受け入れてくれる度量の大きな舘さんがいるから、ユージのキャラが活きるんです」

「僕の健康の秘訣は……」

近年は『両刃(りょうじん)の斧』や『舟を編む〜私、辞書つくります〜』など数々のドラマで存在感を見せている。アクションは久々だったと語るが、″ユージ走り″を38年間維持し続けられる秘訣は何なのか。

「僕ね、小学生の頃は野球選手に憧れていて、学生時代は野球漬けだったんですよ。今も複数の草野球チームに所属して、試合に出たりもしていて。打って、走って、守るのが野球の基本。球種を見極めてタイミングを合わせなければ打てないし、盗塁のサインが出たら走らなければならない。『あぶ刑事』続編の話がきてすぐに身体を動かすことができたのは、草野球のおかげだと思います」

そんな柴田が草野球と同じく、息抜きの場として大切にしているのがゴルフだ。

「僕にゴルフを教えてくれたのが舘さんと近藤課長役だった中条静夫さん(故人)。撮影の空き時間になると二人はいつもゴルフの話をしていて、ある時『一緒にやろう』と声をかけてくれたんです。そして、しばらく経ってから舘さんが初ラウンドに連れていってくれました」

野球少年だった柴田はボールを打つのは得意。しかし、野球はホームランでも飛距離が100m強なのに対し、ゴルフだと倍以上飛ばせることに爽快感を覚えた。

「そのうち舘さんがスコアで負けたほうが食事を奢(おご)ろうと言い出して。でも、『恭サマは初心者だからハンディキャップをあげる』と言うんです。当時の僕は″ハンディ″が何かも知らなかったけれど、勝てたみたいで美味しいものをご馳走になった。それで『ゴルフって楽しいじゃないか!』って虜(とりこ)になっちゃったんです(笑)。次に行った時には見事に負けて、しっかり奢らされましたけどね。何より舘さんと二人で遊んでいてもギャラリーがいない。伸び伸びとプライベートの時間を楽しめることが一番の魅力でした」

プライベートで舘と会うことはほとんどないが、唯一ゴルフだけは数年に一度、今でも一緒にラウンドしているという。

「身体が資本と言いますが、ゴルフや草野球以外に特別なことはしていないんですよ。毎日、簡単なストレッチを行っているくらい。もともと筋肉が柔らかいらしく、定期的にメンテナンスをしてもらっているスポーツトレーナーに『アスリートのような筋肉だ』と褒(ほ)められました(笑)。スポーツ万能だった親父のDNAを受け継いだのかもしれませんね」

公開前から空前のブームを巻き起こしている8年ぶりの最新作。世代を超えて愛され続ける『あぶ刑事』シリーズには、特別な思いがあると柴田は明かした。

「舘さんだけでなく、温(あ)っちゃん(浅野温子)やトオル(仲村トオル)も普段会うことがなくても、集まればすぐに昔に戻れる。それは38年間培(つちか)ってきた″あぶ刑事魂″があるから。野球の試合で勝利を目指す時のように、役者もスタッフも最高の作品にしようという気持ちを共有しているから、どんなにバカバカしいシーンでも全力で取り組めるんです」

だから、柴田は走る。″あぶない刑事のユージ″であり続けるために。

「舘さんも僕も頑張っていますよ。だから、きっと皆さんもまだまだ頑張れる。″一緒に今を楽しもう!″そんな僕たちの思いが伝わったら嬉しいですね」

レジェンド俳優が魂を込めた名作に、再び日本中が歓喜する日がやってくる。

「タカとユージってアニメのキャラクターみたいなものですよ」と語っていた柴田。バディを組む舘は過去の独占インタビューで、「僕は土台で、恭サマがリズムや世界観を色付けしていた。だから、『あぶ刑事』は柴田恭兵の作品」と絶賛
「タカとユージってアニメのキャラクターみたいなものですよ」と語っていた柴田。バディを組む舘は過去の独占インタビューで、「僕は土台で、恭サマがリズムや世界観を色付けしていた。だから、『あぶ刑事』は柴田恭兵の作品」と絶賛
本誌未掲載カット 柴田恭兵スペシャルインタビュー
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本誌未掲載カット 柴田恭兵スペシャルインタビュー
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FRIDAY2024年6月7・14日号より

  • 取材・文中川明紀PHOTO小檜山毅彦

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