女子レスリング代表・藤波朱理 無敗のまま頂点へ「強い人が勝つんじゃない。勝った人が強いんです!」 | FRIDAYデジタル

女子レスリング代表・藤波朱理 無敗のまま頂点へ「強い人が勝つんじゃない。勝った人が強いんです!」

吉田沙保里を超える133連勝中! 「シン・霊長類最強女子」伝説が今夏、始まる――

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階級別で覇を争うレスリングの選手とはいえ、女性に体重をたずねるのは御法度かもしれない。だが、筋肉が隆起したマット上のシングレット姿とは異なり、ポロシャツ姿の藤波朱理(20)はやけに着痩せして見えた。53㎏級の世界女王である彼女は普段から節制し、59㎏の体重をキープしているという。それでもパリ五輪の試合日(8月7日)の朝までに6㎏も落とす苦労は計り知れない。

’03年、三重県四日市市生まれ。’88年のソウル五輪代表候補だった父・俊一氏の影響でレスリングを始めたという
’03年、三重県四日市市生まれ。’88年のソウル五輪代表候補だった父・俊一氏の影響でレスリングを始めたという

「だいたい試合の日の1ヵ月前から減量を開始するんですけど、自然とゾーンに入って空腹も気になりません。相手に勝つ前に、まずは自分に克たなきゃ」

三重県四日市市出身の藤波は、4歳の時に父・俊一さんが運営する「いなべレスリングクラブ」で競技人生をスタートした。以来、日本体育大学3年生となった現在まで父娘の師弟関係は続く。

「練習がきついなと思うことはあっても、レスリングをやめたいと思ったことは一度もありません。お父さんは今も昔も怖い存在ではなかったです。小さい時からオリンピックが夢で、(’12年の)ロンドン、(’16年の)リオと、『私もいつかこの舞台に立ちたい』と思いながらテレビを観ていました。でも、3年前の東京大会の時は年齢制限もあって出場できないことが悔しく、『パリは絶対に自分が優勝するんだ』という気持ちのほうが大きかった」

鋭い高速タックルを得意とし、簡単には相手を懐に入らせず、得点を許さないディフェンス力も大きな武器だ。さぞ運動神経に長(た)けた子供だったのだろう。

「それが、球技もできないし、足も速くないんです……。レスリングが誰よりも好きで、誰よりもこの競技に懸けてきたのが、結果を残せている要因かな、と。道具を使わず、掴むところもなく、人と人が純粋に闘うところがレスリングの魅力。強いから勝てるわけでも、頑張ったから勝てるわけでもない。単純に勝った人が強い。そこが面白い」

中学2年生から現在まで公式戦無敗で、連勝記録を霊長類最強女子と呼ばれ、五輪を3連覇した吉田沙保里の「119」を上回る「133」にまで伸ばしている。

「私自身に記録に対するこだわりはないんです。自分の達成したい目標に進んでいるうちに、記録があとからついてきたという感じです。だけど、連勝記録を伸ばすことによってレスリングが注目してもらえるきっかけになる。負けられない怖さ? それはまだないです」

今年3月、スパーリング中に左ヒジを脱臼する大ケガを負い、彼女はメスを入れて治す選択をした。

「ケガをした瞬間は″どうしよう″と不安が襲ったんですけど、思ったよりも早い回復で、間もなくスパーリングを再開できる。メンタル的にも安定していますし、五輪当日まで金メダルを獲るためだけに過ごしていきたい」

五輪まで2ヵ月あまり。両親が上京して生活を支え、日体大では五輪4連覇の伊調馨の指導も受ける。

「いつかレスリングをやりきったと思える日が来たら、引退して指導者になるつもりです。もちろん、女性としての幸せも手に入れたいです」

無論、20歳の藤波にとってその日はまだまだ遠い未来だろう。

取材中に見せた穏やかな表情とは打って変わって、試合では獲物を狙う獅子のような目つきで相手をねじ伏せる
取材中に見せた穏やかな表情とは打って変わって、試合では獲物を狙う獅子のような目つきで相手をねじ伏せる

FRIDAY2024年6月7・14日号より

  • PHOTO保高幸子

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