東福岡高校ラグビー部の挑戦 ディフェンス整備で選抜最多優勝を | FRIDAYデジタル

東福岡高校ラグビー部の挑戦 ディフェンス整備で選抜最多優勝を

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3月29日から開幕する高校ラグビーの第20回選抜大会で 最多6回目優勝を狙う東福岡。ラインアウトの練習に余念がない
3月29日から開幕する高校ラグビーの第20回選抜大会で 最多6回目優勝を狙う東福岡。ラインアウトの練習に余念がない

高校ラグビーの選抜大会が3月29日に埼玉・熊谷ラグビー場で開幕する。

20回目となる大会の優勝候補のひとつは東福岡だ。13年連続16回目の出場。九州王者のモスグリーンのジャージーはこれまで最多5回、頂点に立つ。今年1月の新チーム結成時、9年ぶり2回目になる2人主将制をとった。廣瀬雄也と永嶋仁は目標を問われ、声をそろえる。

「優勝です」

46歳の監督・藤田雄一郎は理由を語る。

「みんなでチームを作るんです」

小西優治、川崎太雅、高本とむ、行徳冠生の4人もリーダーに指名した。この6人に特に責任感を持たせ、現段階で79人いる部員の帰属意識を高めていく。新3年生は昨年の17歳以下日本代表にメンバー最多の5人が選ばれた。センターの廣瀬を筆頭にプロップの小西(負傷離脱)、川崎、ウイングの高本、そしてナンバーエイトの西濱悠太だ。

攻撃力は折り紙つき。才能に恵まれた選手たちが、「ワイド」と呼ばれる幅の広いライン使い、相手のほころびを突く。その従来のスタイルに今年は防御力がプラスされた。

「桐蔭学園にあって、ウチになかったもの、それはタックルだと思っています」

藤田は振り返る。昨年、桐蔭学園を全国の舞台で凌げなかった。春の選抜は8強戦で34-40、冬の花園は4強戦で38-46だった。昨年からレギュラーの廣瀬は話す。

「個人のタックルを強くすることに力を入れてやっています」

足の踏み込みをより近づける、腕を締める、首を曲げて倒す、素早く起き上がる、など基本的な部分に立ち返って練習を重ねた。フランカーの永嶋は笑顔を浮かべる。

「ターンオーバーの数が前よりも増えたような気がしています」

攻撃側を倒し、ボールを一気に奪う一連の動作に良化を感じている。実際、数字として表れている。

福岡県の新人戦3、選抜の選考となる九州大会4の計7試合では被トライ0の快挙。許したのは1つのペナルティーゴールのみ。九州大会決勝の佐賀工戦での3点だけだった。廣瀬は慎重な姿勢を崩さない。

「組織的なことをまだやっていません」

個人的な強化段階でこの結果ならば、伸びしろはすさまじい。もちろん、看板の攻撃も衰えはない。7試合の平均得点は96。最小得点は九州大会4強戦での大分舞鶴の55だった。廣瀬、高本、フルバックの行徳らが縦横無尽に走りまくった。

2012年花園三連覇を果たした時の東福岡高校(写真:アフロ)
2012年花園三連覇を果たした時の東福岡高校(写真:アフロ)

東福岡の進化は目覚ましい。

過去10年の冬の花園優勝は3連覇を含め5回。東海大大阪仰星の3を超える。この全国大会は98回続いているが、優勝回数6は天理と並び歴代4位の記録である。その強さにあこがれて、この男子校には全国から有望な中学生が集まる。今年も入学式前に43人の新入部が決まっている。

「全部で130人を超えるかもしれません」

保健・体育教員でもある藤田は事もなげに言うが、この数は部史上最高になる。その創部は学校創立と同じ1955年(昭和30)。日本代表としてキャップ(日本協会が指定した国際試合出場)を持つのは9人。最近ではフランカーの布巻峻介、ウイングの藤田慶和(ともにパナソニック)がいる。

選抜大会は8つのグループに分かれて予選を行う。東福岡はBに入った。札幌山の手、城東(徳島)、慶應義塾の3校とリーグ戦を戦い、1位になれば準々決勝に進む。ほかの優勝候補は桐蔭学園や京都成章。ともに関東と近畿大会を制した。近畿2位の東海大大阪仰星、近畿大会で京都成章に7点差に食い下がった天理も侮れない。廣瀬は力を込める。

「僕たちの代で全国優勝を経験しているはフウガだけなんです」

フランカーの井上風雅は中3時、太陽生命カップで筑紫丘ラグビークラブジュニアスクールの一員として栄冠を得る。東福岡自体はここ2年、選抜、花園ともに制覇から遠ざかっている。6試合に勝てば、3年ぶり、そして自己記録を塗り替える6回目の春の王者になる。

勝利を義務づけられている「ヒガシ」は、桜前線とともに東上する。

  • 取材・写真・文鎮勝也(しずめかつや)

    1966年(昭和41)年生まれ。大阪府吹田市出身。スポーツライター。大阪府立摂津高校、立命館大学産業社会学部を卒業。デイリースポーツ、スポーツニッポン新聞社で整理、取材記者を経験する。スポーツ紙記者時代は主にアマ、プロ野球とラグビーを担当

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