<h3><span class="strongInContent">「子どもが３人以上いる家庭は珍しくありません」</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「うちの町では子どもが３人以上いる家庭は珍しくありません。子育て世帯の約半数が子ども３人以上の多子世帯です」</span></p>
<p>東京都の出生率が１を割るというショッキングな報告がされたなか、こんなことを言うのは、岡山県奈義町情報企画課の小坂参事。</p>
<p>奈義町では’19年に合計特殊出生率2.95を記録し、その後’20年は2.21と下がったものの、’21年は2.68、’22年（※）2.68、’23年（※）2.21と、つねに２以上をキープ。“奇跡の町”ともいわれている。（※’町試算値）</p>
<figure id="attachment_378805" aria-describedby="caption-attachment-378805" style="width: 748px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f292a542"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/06/b70002556214af4807e3d8a8108e7961.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-378805" class="wp-caption-text">’19年には、合計特殊出生率2.95を記録！（PHOTO：奈義町HPより）</figcaption></figure>
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<p>高い出生率を支えているのは、さまざまな子育て支援策だ。</p>
<p>現在、奈義町では下記のような支援策を実施している。</p>
<ul>
<li><span class="strongInContent">【在宅育児支援手当】</span></li>
<li>満７ヵ月児から満４歳（満４歳になった後の最初の３月31日まで）児童で、こども園等に入園していない児童を養育している方に、児童一人につき月額１万5000円を支給</li>
<li><span class="strongInContent">【高等学校等就学支援】</span></li>
<li>生徒一人に年額24万円を３年を限度として支給</li>
<li><span class="strongInContent">【医療費を高校生まで無料化】</span></li>
<li>18歳まで、医療機関等での自己負担分を奈義町が負担</li>
<li><span class="strongInContent">【出産祝い金交付】</span></li>
<li>子ども誕生に際して、一律10万円を交付</li>
<li><span class="strongInContent">【園小中の給食費無償化、小中の教材費無償化】</span></li>
<li>こども園、小学校、中学校で提供する給食費の無償化。小学校、中学校の教育教材費の無償化</li>
</ul>
<p>高等学校等就学支援では一人に年24万円！　かなり高額に思えるが、</p>
<p><span class="strongInContent">「奈義町には高校がなく、電車も通っていないので、高校生はバス通学になります。隣市の高校に通おうと思ったら、月２万5000円ほどの定期代がかかる。交通費を含めた高等学校等の学資にかかる経済的な負担を軽減しようということです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
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<p>こうした手厚い支援策を実施するきっかけになったのは、’02年、合併の意志を問う住民投票を行い、単独町政を選んだことにある。</p>
<p><span class="strongInContent">「単独町政を維持していくために重要なのは、若い世代に残ってもらって、今の人口水準を維持していくこと。そのためには子育て支援策が必要だろうということになりました」</span></p>
<p>支援策の財源を確保するために、議会の議員定数を14から10に減らす、各種委員会の委員報酬を減らす、公共事業の見直しなどによって確保した。</p>
<figure id="attachment_378807" aria-describedby="caption-attachment-378807" style="width: 1732px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b287462d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/06/1dd9e39b2672ad13110264f0515e599a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-378807" class="wp-caption-text">奈義町の人口は’24年４月１日現在5560人。’22年４月１日時点では5725人で、微減が続いているという。移住促進のため空き家の活用、新築や建売住宅を購入した場合には補助金が交付される</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">経済的支援だけでは子どもは増えない…</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「けれど、経済的支援は、さまざまな自治体で行われています。経済的支援だけでは出生率を上げることはできない。そこで、安心して子育てができるようなメンタル的な支援も同時に進めました」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>その一つが「なぎチャイルドホーム」だ。子育てアドバイザーが常駐し、子育て中の母親や、子育てが一段落した人も参加。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「仕事も、子どもも」"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<p>「病院に行く間、下の子を預かってほしい」「買い物に行く間だけ子どもを預かってほしい」など、一時的に子どもを預かってほしいときは、チャイルドホームや援助会員の自宅で預かってもらう一時保育「すまいる」という制度もある。専門スタッフだけに任せず、住民参加型で子育てをサポートしていくというのが、奈義町の支援策の特徴だ。</p>
<p>このほかに子どもが生まれたら、保健師や地域の愛育委員が全戸訪問したり、産後うつ予防のための効果を期待して、大阪大学との連携事業として「生誕1000日見守り研究」を実施。助産師による出張母乳相談や心理士による産前産後のカウンセリングの導入など、まさに至れり尽くせり。</p>
<figure id="attachment_378808" aria-describedby="caption-attachment-378808" style="width: 4096px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c6e22bb1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/06/2a5db56e68972b125bcdd6b9842a5cb2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-378808" class="wp-caption-text">子育てしながらでも少しでも働くことができるように、一つの仕事をワークシェアする「しごとコンビニ」事業も’17年からスタート。働きやすい環境を作っている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_378809" aria-describedby="caption-attachment-378809" style="width: 2048px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d634a604"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/06/b0198fecfb1a5a3909d650541cbf6000.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-378809" class="wp-caption-text">バス会社の運行廃止を受けて、奈義町がコミュニティバス「なぎバス」を運行。暮らしやすい町作りに、さまざまな施策がとられている</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">“仕事も、子どもも”が実現</span></h3>
<p>これですべてハッピーかというと、課題はあると小坂参事は言う。</p>
<p><span class="strongInContent">「大学進学や就職を機に町を離れる若い人が多い。実際、町の人口は年々微減しています。これからの課題は社会増減対策です。現在の子育て支援を継続、推進し、同時に町外にもアピールできる魅力ある町づくりを行い、移住者も増やしていきたいと思います」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>さらに充実した子育て支援の一つに、今年度から、こども園の３歳児、４歳児、５歳児のクラスと、小学１～６年、中学１～３年の学年ごとにALT（外国語指導助手）を一人配置していることもある。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「地方でも英語教育や、先端の教育を受けられるようになるのも町の魅力になるのではないかと思います」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>安心して子育てができるためか、最近は共働き世帯も増えているという。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「都市部と同じように、奈義町においても保育の需要は年々高まっています。この４月には、保育園１園と幼稚園２園を統合、定員250名の『こども園』を開設し、就学前の保育、幼児教育の需要に対応しております」</span></p>
<p>つまり、働きながらでも３人、４人の子どもをもつ家庭が増えてきたのだ。奈義町で暮らせば、“子どもか、仕事か”で悩む必要がない。“子どもも、仕事も”が実現できるのが奈義町なのだ。</p>
<figure id="attachment_379005" aria-describedby="caption-attachment-379005" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5d3f2deb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/06/6dfad42bc0ec4ac32c0b294f2111e569.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-379005" class="wp-caption-text">３歳児から５歳児を対象としたなぎっ子こども園の英語タイム。遊びながら英語に親しんでいる</figcaption></figure>
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中川いづみ

東京都の出生率が１を割るというショッキングな報告がされたなか、‘19年に出生率2.95を記録し、その後２以上をキープしている“奇跡の町”とも言われている岡山県・奈義町。高い出生率を支えているのは…。

東京の出生率は0.99なのに…出生率「２」を誇る奇跡の町「岡山県・奈義町」…その納得の訳とは

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