中森 明夫

【ひとりKinKi Kidsとの呼び声も】滝沢秀明を「小さなジャニーさん」にした衝撃の生い立ち

欲望のジャニーズ論

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<p>前の記事『<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/379213">【ひとりKinKi Kidsとの呼び声も】滝沢秀明を「小さなジャニーさん」にした衝撃の生い立ち</a>』では、滝沢秀明がトップアイドルに上り詰めるまでの軌跡を詳報した。</p>
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<h2>滝沢秀明「幻の監督作」</h2>
<figure id="attachment_380665" aria-describedby="caption-attachment-380665" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1d2cfc72"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/f1a4b433525c6643a86f60545a93be28.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-380665" class="wp-caption-text">プライベートフィルムを撮影していた滝沢</figcaption></figure>
<p>どうしても見たい映画がある。それは滝沢秀明監督の『プライベート・ライアン』だ。</p>
<p>いったい、どういうことか？　『プライベート・ライアン』は、’98年公開、スティーヴン・スピルバーグ監督作品である。第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦を舞台とした戦争映画だ。</p>
<p>なぜ、それが滝沢秀明？　監督？　なのか。</p>
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<p>『嵐にしやがれ』（日本テレビ系）に滝沢がゲスト出演した時のこと（’17年６月10日放送）。相葉雅紀と仲のよかったエピソードを披露した。</p>
<p><span class="strongInContent">「相葉ちゃんなんて、うちに住んでたからね」</span></p>
<p>そこで相葉を主演にした映像作品を撮っていたというのだ。その１本が映画『プライベート・ライアン』を模した「一人プライベート・ライアン」だった。</p>
<p><span class="strongInContent">「戦争ものをベースにして、相葉ちゃんがずっと逃げまくって。最後にカメラを見つけて『プライベート・ライアン』って言う」</span></p>
<p>爆笑に包まれた。あくまで私的なジョークのような作品だったのかもしれない。いや、しかし……。『プライベート・ライアン』の日本公開時、滝沢は16歳だ。多感な青春期に見たこの映画に、何らかの影響を受けているのではないか？</p>
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<p>私もまた公開時に映画館で見ている。冒頭のオマハ・ビーチでの戦闘シーンがド迫力！　現実の戦争とは、こんな感じか……と震えたものだ。けれど細部は忘れている。そこで26年ぶりにこの映画を見直してみることにした。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ひとりの才能を守るために……"></div>
<h2>「ジャニーズJr.」４人が解雇され</h2>
<p>あらすじを紹介しよう。</p>
<p>’44年、第二次世界大戦末期、連合軍は北フランスのノルマンディーに上陸して、激しい戦闘の末にドイツ軍を掃討する。ジョン・ミラー大尉（トム・ハンクス）を隊長とする８人の小部隊は、特命を受けた。それはジェームズ・ライアン二等兵（マット・デイモン）を探し出せという。ライアン４兄弟の上３人は、同戦争で戦死した。ただ一人、生き残る末っ子を救出して、故郷の母の元へと帰還させよというのだ。</p>
<figure id="attachment_380666" aria-describedby="caption-attachment-380666" style="width: 751px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0298effa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/176a4218bf1b4547b2a6b34b1c16f708.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-380666" class="wp-caption-text">ライアン二等兵を演じたマット・デイモン</figcaption></figure>
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<p>行方不明のライアンを探して、敵陣深くへと侵入するミラー部隊の男たち。たった一人の若い二等兵を救うため、８人もの精鋭兵士たちが命を懸けなければならない――なんとも不条理な戦争の物語だ。</p>
<p>ああ、そうか、と思う。これは「末っ子を救出する物語」だったのだな。滝沢秀明もまた、兄と姉のいる末っ子だった。そうして兄を亡くしている。KinKi Kidsのファンだった姉に感化され、ジャニーズ入りした弟であり、大河ドラマ『義経』で源頼朝の弟を演じた。柳田國男の『妹の力』ではないが、滝沢秀明は『弟の力』によって輝いている。</p>
<p>ハタと思い出した。かつて斬新な『プライベート・ライアン』評を読んだのだ。ボーイスラブ、略してBLというジャンルが存在する。男性同性愛をテーマとした小説や漫画のこと。「やおい」系と呼ばれる漫画同人誌では、男性タレントやスポーツ選手、アニメキャラ等の関係を妄想して描いている。</p>
<p>そうしたBLや「やおい」の視点によって記された『プライベート・ライアン』評だった。たった一人の若い兵士、ひ弱そうな末っ子の少年を救うため、屈強な８人の男たちが戦場で一人、また一人と銃弾に倒れ、爆死して、あるいは銃剣に刺され、血を流して死んでゆく。その様が「萌える」というのだ。</p>
<p>いやはや驚いた。そうか、これがボーイズラブ、やおい的感性というものか、と感心した。</p>
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<p>しかし、それは戦場に限らないのではないか？　たった一人の才能が生き残るため、周囲は死屍累々となる。ああ、なるほど、ジャニーズがそうだ……。</p>
<p>『FRIDAY』’99年１月29日号では〈ジャニーズJr.４人が溺れた“乱痴気パーティ”現場〉と題するスクープを報じた。当事15～16歳のジャニーズJr.のメンバー４人が、飲酒、喫煙を伴う深夜パーティの現場写真を撮られた。さらには、「抱かれた女子短大生たちが衝撃の告白」と称して、その後の乱交状態まで詳細に報じられている。</p>
<p>警視庁が事情聴取に乗り出し、４人のメンバーは事務所をクビになった。</p>
<p>これはジャニーズ史に残る大スキャンダルだ。解雇された中には人気メンバーもいて、この事件がなければ、同年９月にデビューした嵐のメンバー構成も変わっていたのではないか、ともいわれる。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「ジャニーズ英霊墓地」があったなら……"></div>
<h2>渋谷すばる、今井翼らも困難に直面</h2>
<p>いや、滝沢秀明も当時16歳で、Jr.のリーダーだった。一説には滝沢も乱痴気パーティに参加していたのではないか、と疑われてもいる。もし、そうだったら、どうなっていたか？</p>
<p>実はその後、’02年に同じく『FRIDAY』に合コンでの滝沢の泥酔写真が載った。２年前、17歳の時のもの。未成年飲酒だ。なぜか不問に付されたが、タッキーがジャニーズをクビになっていてもおかしくはなかった。</p>
<figure id="attachment_380667" aria-describedby="caption-attachment-380667" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7730fb75"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/18072088229370cd524ba97aa226ccef.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-380667" class="wp-caption-text">渋谷すばるの脱退を伝える新聞紙面</figcaption></figure>
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<p>解雇されたメンバーの一人は４年後、『マネーの虎』（日本テレビ系）に出演、ブランドショップを開業したいので254万円を出資してほしいとプレゼンした。アダルトビデオ会社の高橋がなり社長が承諾して<span class="strongInContent">「失敗したら体で返して。僕ねえ、元ジャニーズのAV男優が欲しい」</span>と言ったのだ。</p>
<p>その後、元ジャニーズの彼がブランドショップで成功したという話は聞かない。ジャニーズ事務所を退所した者たち、いわゆる辞めジャニは、芸能界に残ってもその大半が活躍することなく消えてゆく。</p>
<p>「ジャニーズのタレントが一度脚光を浴びたのに、その後転落の一途をたどるのは」芸能のスキルが磨かれず、「つまりはジャニー喜多川のセンスで抜擢され、個人の趣味により興味がなくなると捨てられる構造」に問題がある、と『週刊文春』元編集長・木俣正剛は言う（『PRESIDNT Online』’23年11月６日）。</p>
<p>かつて「東の滝沢、西のすばる」と称された渋谷すばるは’18年末、ジャニーズを退所、音楽活動を続けるが、レーベルとの契約打ち切りや個人事務所の廃業が報じられている。タッキー＆翼を解散して、同じく退所した今井翼は体調不良で長く活動を休止した（その後、復帰）。タッキーの近辺にいた人気者たちでさえ、芸能界の戦場で生き残ることは大変なようだ。</p>
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<p>滝沢秀明という傑出した才能、ただ一人が輝くために、いったいどれほど数多くのジャニーズ兵士たちが消えていったことだろう。まさに『プライベート・タッキー』だ。</p>
<p>映画『プライベート・ライアン』のラストでは、終戦から50年後、年老いたかつてのライアン二等兵がノルマンディー米軍英霊墓地を訪れる。彼を救うために死んだ兵士の墓の前に立ち、敬礼するのだ。</p>
<p>もし、ジャニーズ英霊墓地が存在するならば……。滝沢秀明は、いったい誰の墓石に対して敬礼するだろう？</p>
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<p>次の記事『<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/379218">【もはや青年将校…！】滝沢秀明が見据える「世界変革」のビジョンと傾倒した「過激な思想」</a>』では滝沢秀明の「意外な嗜好」とそのルーツについて詳報する。</p>
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中森明夫

西圭介、アフロ、共同通信社

ジャニーズ事務所において、一人の突出した才能を輝かせるためには「多くの犠牲」が生まれた。これは滝沢秀明の周辺も例外ではない。

【ジャニーズ史上最大のスキャンダル】解雇された同僚を横目に…滝沢秀明が乗り越えた「屍たち」の正体

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