井出 千昌

<h3>海外25の国と地域に984店舗！　DAISO（ダイソー）のウケ要因はどこにある？ </h3>
「100円ショップ」市場の成長が続いている。帝国データバンクによると、大手４社を中心とした国内100円ショップ市場は、’23年度は１兆200億円前後で推移する見込みで、これは10年前の1.5倍に値する。
海外進出にも意欲を見せ、なかでもダイソーは’24年２月末で海外25の国と地域に984店舗を展開し、好評を博している。国の内外を問わず、日本発の100円ショップがウケる要因はどこにあるのか。円安の影響や海外で売れている意外なモノなどを、ダイソー（株式会社大創産業）グローバル広報課の後藤晃一さんに聞いた。
<figure id="attachment_384181" aria-describedby="caption-attachment-384181" style="width: 2739px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0e44f322"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/a39a860f4d22c5c9495ff37c314a852e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384181" class="wp-caption-text">大谷翔平の後ろに「DAISO」の看板が。’24年からの複数年、大谷が所属するロサンゼルス・ドジャースとスポンサーシップ契約を締結している（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
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<h3>「ファーストチョイスは100均」…大きく変化した買い物の流れ </h3>
給料は一向に増えないのに値上げは天井知らずの日本において、100円ショップはまさにオアシスだ。価格はワンプライス、品揃えは豊富。行くと余計なものまでつい買ってしまうエンタメ性。しかもたかだか100円なので爆買いしたところで罪悪感もない。そんな100円ショップへの客のニーズは、年々ハードルが上がってきているという。
「昔は市場で販売しているものを、いかに100円で提供できるか、というところでしたが、今はファーストアクションが100円ショップで、なかったらほかで探そうというように、お買い物のフローが変化しました。
それを受け、お客様のニーズをどこよりも早く捉え、それに応えられる商品をいかに開発できるかが最大の課題となっています」（ダイソーグローバル広報課・後藤晃一さん／以下同） 
ダイソーでは毎月1200もの新商品を開発。トレンドを素早く察知して商品化する目利き感は、50年にわたって膨大な数の商品を開発してきた知見によるもので、そのスピード感こそがダイソーの強みといえるだろう。
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<h3>まさにリアル「クールジャパン」……海外人気の秘訣は手頃に買える「日本文化」「日本食」 </h3>
アメリカの「ダラーストア（dollar shop）」をはじめ、海外にも100均と同じような店はたくさんある。そんななか、なぜ海外でダイソーが人気なのだろうか。
「お客様から聞いた話では、他ブランドとは別物だ、ということでした。たとえばアメリカのダイソーの商品価格は$1.75からですが、現地では非常に手頃感があり、品質が良いという評価をいただいています。また、日本の文化自体が好評で、プレゼントグッズなどが気軽に買えるのが嬉しいという声も聞きます」 
ダイソーでは海外の店舗も、原則日本と同じ品揃え。たとえば醤油などを入れる小皿は、時にアクセサリー入れとして使われたりしている。それは利用者のイマジネーションの賜物だが、ある意味、日本の文化を提供しているともいえるのだ。
「日本とは生活文化が異なるため、珍しいを通り越して使い方から訴求しないと難しい面もあります。ですのでSNSを利用して、使い方を発信しています」 
扱う商品は約７万６千種。そのうち９割がプライベートブランドで、残る１割はほぼ食品だ。
「今、海外では日本の食品に対する注目度が本当に高く、模造品もたくさん出回っています。大手の食品メーカーさんの場合は、海外でも独自の販路をお持ちだと思いますが、『どうやって海外に打って出ればよいのかわからない』と悩まれているメーカーさまには、ぜひダイソーを利用していただきたいです。少しでも日本の食文化を活性化するお役に立てたら」
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<h3>「ミラクル！」それぞれのお国事情で変わる「売れ筋商品」</h3>
商品のなかには、日本人からすると「なぜこれがそんなに？」と不思議に思う爆売れアイテムもあるようだが、売れるにはそれなりの理由がある。各国ごとに売れ筋を見ていくと……。
【アメリカ】　
<ul>
<li>◇ほいっぷるん</li>
<li>洗顔料と水を入れてシャカシャカするだけで、もっちり泡ができる洗顔用泡立て器。</li>
<li>「ミラクルだと驚かれ、大好評でした」</li>
</ul>
<figure id="attachment_384182" aria-describedby="caption-attachment-384182" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bbb6ad32"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/5c4f762c68d7f21dd8f434cefa75ecb5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384182" class="wp-caption-text">ほいっぷるん100円（税込110円）・「ホイップ」と「プルン」の言葉遊びに気づく外国人はいるのか？（PHOTO：ダイソー提供）</figcaption></figure>
<ul>
<li>◇食器洗いスポンジ</li>
<li>顔のデザインや、動物の形のスポンジが好評。消耗品に遊び心があるというのが珍しいらしく、同じ理由で香りがついた練り消しも人気だ。</li>
<li>「私たちが当たり前のように取り入れている遊び心も、楽しんでもらえている理由のひとつかと。海外の方から見ると日本らしいと感じるのかもしれません」</li>
</ul>
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【ブラジル】
<ul>
<li>◇ハンドル野菜カッター</li>
<li>ハンドルを引くとカッターが回転し、簡単にみじん切りができる。</li>
<li>「ブラジルでは細かいみじん切りを使う料理が多いので」 </li>
</ul>
<figure id="attachment_384183" aria-describedby="caption-attachment-384183" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b0cac199"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/8933fdb5e0e794d9659d48a829e021d1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384183" class="wp-caption-text">ハンドル野菜カッター300円（税込330円）・３枚の刃で野菜を簡単にみじん切りに（PHOTO：ダイソー提供）</figcaption></figure>
【オーストラリア】
<ul>
<li>◇クリーナーシート</li>
<li>乾燥した気候で埃が立ちやすいので売れている。</li>
<li>「逆に湿度の高い国では、除湿剤がよく出ます」</li>
</ul>
<figure id="attachment_384184" aria-describedby="caption-attachment-384184" style="width: 500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b7f16b6a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/0d37f21df2fe2329e9d02be04197bb36.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384184" class="wp-caption-text">落ち落ちVフローリング取り替えシートドライ45枚100円（税込110円）・フローリング、ビニール床、畳に使用できる優れもの（PHOTO：ダイソー提供）</figcaption></figure>
【日本】
<ul>
<li>◇メタルジグ（釣具の擬似餌）</li>
<li>最近ではなんといってもこれ！</li>
<li>「YouTuberが『100円でも釣れる』とあげた動画が話題となりました」</li>
</ul>
<figure id="attachment_384185" aria-describedby="caption-attachment-384185" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="238b4873"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/7ca5669b6feb8ecdeb6e2895f8c2290b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384185" class="wp-caption-text">メタルジグ100円（税込110円）・釣りマニアの間で「釣り業界に革命！」と評判になった商品（PHOTO：ダイソー提供）</figcaption></figure>
<ul>
<li>◇メスティン（飯盒）</li>
<li>コロナ禍で大ヒット。アウトドア派だけではなく、災害時にも使えると重宝されている。</li>
<li>「値段は１合用500円から。100円ではありませんが、『この価格でこの商品が！？』という価格以上の価値をご提供する姿勢は、創業時から変わっていません」</li>
</ul>
<figure id="attachment_384186" aria-describedby="caption-attachment-384186" style="width: 700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c2bffb5d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/1440561b033e2f78c89cd0fced857044.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384186" class="wp-caption-text">メスティン（ハンドル付）500円（税込550円）・火力調節不要の半自動炊飯！（PHOTO：ダイソー提供）</figcaption></figure>
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<h3>’30年には、１万店舗の１兆円企業……世界規模の生活インフラを目指す！</h3>
ダイソーが100円の枠を超えた商品を開発し始めたのは、実は20年以上も前のこと。客から「少し大きめのバケツが欲しい」「100円の園芸支柱だと長さが足りない」などのニーズがあり、それに応えたのがきっかけだった。昨今、300円ショップもすっかり定着し、「円安の影響で価格を上げざるを得ないのか？」と思っていたけれど、そういうことではないらしい。
「円安の影響も少なくはないのですが、もう50年以上も価格上限が決まったなかで商品設計をしてきたので、円安ひとつをとってどうこう、というのはないんです」 
さすがは肝が座ってる。加えて当然ながら、世界中に広がった物流システムを円滑にするため、ワールドワイドな取り組みにも着手しているとのこと。
「今、マレーシアに大型の物流センターを建設中で、’27年からはそこがハブとなり、世界各国に商品の発送ができるように仕組みを整えています」 
海外といえば冒頭の写真のように、ドジャー・スタジアムの球場広告や大谷翔平選手の取材時のパネルに、ダイソーのロゴがあるのに気づいた人も多いと思う。世界展開のなかでも、特にアメリカに力を入れているということなのだろうか。
「現在アメリカには134店舗（’24年６月末時点）がありますが、そのうちの80店舗近くはカリフォルニア州なんです。日本企業として、あそこで広告を出させていただくことで、カリフォルニアないしアメリカ国内での認知が上がってくれたら嬉しいですし、現地のスタッフさんたちにとっても、人気の球場にスポンサーとして名前を出させていただいていることを誇りに感じていただけたら嬉しいなと思っています」
<figure id="attachment_384187" aria-describedby="caption-attachment-384187" style="width: 2200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="35628cf1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/07/5b50fdae9abdadca07c889142b16e46f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-384187" class="wp-caption-text">カリフォルニア州コリアタウンのダイソーで娘ヴィヴィアンと買い物を楽しんでいるアンジェリーナ・ジョリー。何を買ったんだろう……（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
それにしても……。スポンサー名にANAがあるのはわかる。そこに並んでダイソーなのだ。言っても100円、飛行機を飛ばすのとはわけが違う。一体どれだけの数を薄利多売すればドジャースとスポンサーシップ契約が結べるのかと、頭がクラクラしてきた。
「単価が違うということで言えば、それだけ多くのお客様からご支持いただかないと、その世界観は達成できないと自負しております」 
創業当時はトラックでの移動販売だったと聞く。50年後にこんな未来が待っているなんて、すごいなジャパニーズドリーム。まさに「点滴石を穿つ」ではないか。最後に、そんなダイソーの今後の展望を。
「’30年にはアメリカ1000店舗、世界中に１万店舗で、売り上げとしては１兆円を目標にしたいと考えています。各国で多くのお客様に受け入れていただけるような商品開発を心がけ、社会の生活インフラを目指します！」 
※商品は店舗により取り扱いが異なり、売り切れの場合もあります。

井出千昌

「100円ショップ」市場の成長が続いている。なかでもダイソーは’24年２月末で海外25の国と地域に984店舗を展開し、好評を博している。日本発の100円ショップがウケる要因はどこにあるのか。

始まりはトラックの移動販売…まさにジャパニーズドリーム！海外進出23年目のDAISOが描く野望

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