「お客さんを出稼ぎに行かせて紹介料を……」逮捕者が減らないスカウトとホストの「ズブズブな関係」 | FRIDAYデジタル
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「お客さんを出稼ぎに行かせて紹介料を……」逮捕者が減らないスカウトとホストの「ズブズブな関係」

令和6年、歌舞伎町はいま…… 第101回

筆者がホストから入手した資料。これって、もはや人身売買に近いんじゃ……
筆者がホストから入手した資料。これって、もはや人身売買に近いんじゃ……

警察庁が7月、有識者を交えた『悪質ホストクラブ対策検討会』を設置する方針を固めた。悪質なホストクラブが関係すると見られる事件が昨年から全国で76件も発生していることが、検討会設置の大きな理由だという。

7月16日にも、ホストクラブの女性客を風俗店に違法に紹介したとしてホストクラブの幹部と風俗スカウトらが職業安定法違反で逮捕されたことが発表された。

「お姉さん! ホスト帰り? 担当のとこ行くの? 今仕事何してる? 夜とか興味ない?」

歌舞伎町を女性一人で歩いていると、スカウトからこうした声をかけられることが多い。キャバクラをはじめ風俗、違法メンエス、AVなどさまざまな仕事を紹介してくる彼らは、ホストたちと密接に繋がっている。

「担当スカ(スカウト)とホスクラとか行きますよ! スカウトが飲み代は奢(おご)ってくれるし、担当ホストの売り上げに貢献できるんで。

私は担当ホストと楽しく話してますけど、一緒にいるスカウトは、席に着いたヘルプのホストたちに『スカウトなんで稼がせたい女の子いたら任せてください。彼女たちに仕事を紹介できますし、バックも渡します!』とか言って営業してます。担当ホストから紹介されたスカウトを使うことってよくあるんですよ」

元風俗嬢で、現在はキャバ嬢のマイカ(仮名・26)はこう語る。

「担当経由でスカウトを使うと、三者にメリットがあるんです。まず女の子はホストとスカウト、どちらからもかまってもらえるんですよ。スカウトからすれば、自分で新規開拓せずに顧客(女の子)を紹介してもらえるし、ホストからすれば、スカウトから自分の姫(客)の稼ぎを詳細に報告してもらえる。

そうすると、たとえば女の子が本当は10万円稼いだのに、『今日は暇で3万しか稼げなかったからシャンパンおろせない』みたいなウソが言えなくなるんですよね。『いや、お前本当は10万円稼いでるだろ、スカウトから聞いたぞ!』って言われるから。

しかも、女の子をスカウトに紹介したホストは、そのスカウトが女の子の稼ぎから受け取るキックバックのさらに一部をキックバックしてもらえるんですよ。だから、私が風俗で働いていたころ、担当ホストは店での売り上げと、私の風俗での売り上げの両方を受け取っていたんです。どこまで搾取するんだよって話ですよね(笑)」

実際、筆者が入手した某スカウトグループがホストたちに手渡す資料には、「お客さんを出稼ぎに行かせて……」という文言や、「紹介料を得られる」という文言がデカデカと記載されている。

「元スカウトのホストとか、ホストがスカウトに転身するとかはよくあります。結局、スカウトとホストはズブズブで、知り合い同士で女の子をグルグル回してるんです」(ホストのシンヤ・仮名・29)

以前、筆者に路上で声をかけ、そのまま『ラーメン二郎』を奢ってくれたスカウトはこう話していた。

「ド田舎から友達と荷物一つで上京してさ。地元の先輩がスカウトやってて、たまたま拾ってもらったんだよね。今は狭いアパートで友達と二人暮らしだけど、絶対成功したいんだ」

身一つで成り上がれる夢の仕事だと彼らは思っているのだろうが、そもそも路上スカウトは違法。しばらく逮捕者が減ることはなさそうだ。

ドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)に撮影協力で参加中、
佐々木チワワ著『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中!

『FRIDAY』2024年8月9日号より

佐々木 チワワ

ライター

’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、大学ではフィールドワークと自身のアクションリサーチを基に”歌舞伎町の社会学”を研究。主な著書に「歌舞伎町モラトリアム」(KADOKAWA/'22年)、「『ぴえん』という病 SNS世代の消費と承認」 (扶桑社新書/’21年)がある。また、ドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ系)など歌舞伎町をテーマとした作品の監修・撮影協力も行っている。 『FRIDAY』本誌の連載が書籍化、「ホスト!立ちんぼ!トー横! オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間~」(講談社/'24年)が好評発売中。

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