マリナーズ菊池雄星の影に「敏腕GM」あり | FRIDAYデジタル

マリナーズ菊池雄星の影に「敏腕GM」あり

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3月29日、本拠地T-MOBILEパークでデビューを果たした菊池雄星
3月29日、本拠地T-MOBILEパークでデビューを果たした菊池雄星

シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が待望の初勝利に向け5日(日本時間6日)、ホワイトソックス戦でシカゴのマウンドに上がります。

東京ドームで開催されたメジャー初登板、アスレチックス戦は4回2/3で球数は91、被安打4で自責点は1。地元デビューとなった3月30日(現地時間)のレッドソックス戦は6回86球、被安打4で自責点2。という投球内容でした。

初戦は多少の堅さもありましたが、2戦目のレッドソック戦はかなり改善されていた印象です。おそらくオマー・ナルバエス捕手が意図的にリードしたのでしょう。特にインハイのフォーシームが良かったですね。空振りはもちろん、ファウルを取れれば十分。見逃されていても、その後のスライダーが活きる。あの組み立ては今後、彼のベースになってくるでしょう。特にボストンのような強力打線に通用したのは大きな収穫です。

メジャー初の本塁打も浴びましたが、いずれもソロ。もちろん打たれないほうがいいですが、QS(クオリティ・スタート/6回自責点3以内)なら気にしないでいいと僕は思っています。むしろ、J.D.マルティネスのようなスラッガーと対峙してみて「あのゾーンにあの球を投げたらスタンドまで運ばれる」という実践的なデータを得るほうが現段階では収穫が大きいかもしれません。今後に繋がる授業料でしょう。

特筆すべきは両マウンドでの91球と86球という球数ですね。東京でマリナーズのジェリー・ディポートGMに少し話を聞いたのですが、今季は基本的にはイニングは関係なく球数は80-100球の間でローテーション通りに回していく予定だそうです。

まず第一に故障を避け、その上で彼を左のエースに育てたいのでしょう。最長7年の変則契約もそれを裏付けていますが、菊池投手の獲得は将来の期待値込みの投資のような部分もあります。メジャーはドラフトもウェイバー制ですので、目の前の勝利だけではなく、戦力が整ったシーズンで勝負かけるか。その中長期のスパンを球団もファンも常にイメージしています。

一年を通じてローテーションを守ることが大事、と長谷川氏。そうすれば、結果はついてくるはずだ。
一年を通じてローテーションを守ることが大事、と長谷川氏。そうすれば、結果はついてくるはずだ。

現在のシアトルは、育成が優先されるデベロップメントチームに分類されます。そういう意味では8戦で7勝1敗と、開幕ダッシュがうまくいきすぎましたね。下位に甘んじているヒューストンをはじめ、同地区の強豪がこのまま黙っているとは思えません。夏くらいまでに今の順位を保っていれば、補強をするなどまた話は違ってきますが、当分は菊池投手に関しては故障から守りながら経験を積ませる起用法が貫かれるでしょう。

そのあたりは前述のディポートGMはブレないと思います。彼は選手時代コロラド(・ロッキーズ)などでブルペンを支えていた経験もあるので、どんな使い方、日本でいう台所事情に精通した現場主義のGMです。菊池投手のことは当然ながら、これだけ日本人ピッチャーが実績を残していますので、日本人投手の傾向とベストの起用法もある程度、イメージできていると思います。

今季は決して無理をさせずに球数優先で多くのマウンドを踏ませて、経験を積んでくれれば来年以降は間違いなく2ケタは勝つでしょう。ちょうどそのあたりでディー・ゴードンやドミンゴ・サンタナあたりがリーグを代表する選手に育ってくれたら、マリナーズの復権が現実的なものになってくるかもしれません。選手の成長と共にGMの動向にも注目するとメジャーのシーズンがより楽しめるのではないでしょうか。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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