年表で振り返る平成エンタメ史・前編 | FRIDAYデジタル

年表で振り返る平成エンタメ史・前編

指南役のエンタメのミカタ 第19回

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1992年のジュリアナ東京。バブルの象徴のように語られることが多いが、実際に盛り上がっていたのはバブル崩壊後だった
1992年のジュリアナ東京。バブルの象徴のように語られることが多いが、実際に盛り上がっていたのはバブル崩壊後だった

先ごろ、新元号の「令和」も発表され、平成の時代も残すところ、あとわずか。

そこで、改めてこのタイミングで平成の30年間を振り返りたいと思う。もちろん、本連載らしく、そこは広くエンタメに特化した30年史を――。

で、どういう形が一番伝わりやすいかを考えた結果、歴史と言えば、やはり年表。日付込みの年表形式で、「その日、何が行われたか?」をシンプルに綴りたいと思います。長くなるので、この企画は3週に渡って、前・中・後編でお届け。あなた自身の平成史と照らし合わせて読めば、また格別かも――。

平成元年(1989年) 平成開始はバブル絶頂期。漫画の神様逝く

2月9日 漫画の神様・手塚治虫死去。享年60。死後、2歳サバを読んでいたことが明らかになり、生前の年齢(62歳)から若返った

2月11日 TBS『三宅裕司のいかすバンド天国』スタート。演奏途中で審査員が「もう見たくない」の赤ランプのスイッチを押すと、画面が段々小さくなるルール。第1回オンエアでは、これに怒った女性バンドのボーカルがパンツを脱いで抗議するハプニング

7月29日 宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』公開。この作品から製作委員会に日本テレビが参加、ヤマト運輸もスポンサーに加わった。配給収入21.5億円(興行収入約43億円)はこの年の邦画1位

9月27日 ソニーが米コロンビア映画を6440億円で買収し、「アメリカの魂を買った」と批判される。ちなみに、翌90年11月26日には、松下も米ユニバーサルを9000億円で買収して火に油を注ぐ

11月28日 港区の湾岸に7階建のメガディスコ「GOLD」がオープン。それまでの高級ディスコと一線を画したアングラな雰囲気が話題に。夜な夜な怪しげなイベントが催され、岩に囲われたカップルズシートバーでは恋人たちがキスをした

12月5日 日生劇場で蜷川幸雄演出の舞台『盲導犬』開幕。デビュー前の木村拓哉が17歳で挑んだ初舞台で、主演の桃井かおりの弟役を熱演。当時無名ながら演劇関係者に絶賛される

12月9日 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』が日本公開。舞台は2015年。スケボーは宙に浮き、シューズの靴紐は自動で結ばれ、映画「ジョーズ」は3Dで19作目だった。配収55.3億円で、翌90年の洋画第1位

平成2年(1990年) 90年代幕開け。黒澤が名言、勝新が迷言!?

1月16日 勝新太郎がハワイ入国の際、パンツの中のマリファナが見つかり、現行犯逮捕。記者会見で「もうパンツをはかない」とコメントする。勝が出演中のキリンラガーのCM「ラ党の人々」はわずか1日でお蔵入りに

3月26日 米アカデミー賞で黒澤明監督が特別名誉賞。壇上でスピルバーグとルーカスにエスコートされた黒澤は「この賞に値するかどうか、少し心配です。なぜなら私はまだ映画が良く分かっていないからです」とスピーチ

4月1日 この日、としまえんが新聞全面広告で「史上最低の遊園地」と、エイプリルフールの自虐ネタ。「乗ったと思ったらすぐ終わり。コークスクリュー」「ただ回るだけ。ガッカリマシーン、フリッパー」等々

4月9日 フジテレビの深夜枠“JOCX-TV2”でホイチョイ・プロダクションズ企画の『カノッサの屈辱』スタート。第1回は「ホテル四大文明の謎」

6月30日 汐留のJR貨物駅跡地に3000人収容の巨大テント「パックス・シアターPSYCHER(サイカ)」がオープン。ライブハウスとディスコを併せ持つ巨大イベントスペースで、入口にはソ連からレンタルしたロケットが飾られた。しかし、同年暮れに親会社のパックスが倒産

7月24日 蒲池幸子(後の坂井泉水)がヌード写真集「NOCTURNE」発売。後にZARDがブレイクして、最盛期には20万円の高値がつく

7月30日 新宿シアターモールで東京サンシャインボーイズの舞台「12人の優しい日本人」初演。三谷幸喜の代表作となり、その後3回再演。91年には中原俊監督で映画化も

10月28日 フジテレビのアニメ『ちびまる子ちゃん』が39.9%の番組最高視聴率。同局の『サザエさん』の記録(39.4%)を上回る

平成3年(1991年) 宮沢りえの全裸広告に日本中が度肝

1月21日 フジテレビの月9『東京ラブストーリー』第3話のラストで、赤名リカの名台詞「ねぇ、セックスしよ!」が登場する。同台詞は流行語になり、ドラマも最終回の視聴率が32.3%と大ヒット

2月15日 篠山紀信撮影の樋口可南子写真集「water fruit」がヘアを掲載するも、当局からおとがめなしで、事実上のヘア解禁。歴史的1冊となる。ここから未曽有のヘアヌードブームが到来

2月19日 テレビ朝日『ニュースステーション』のコメンテーターを務めた朝日新聞の小林一喜編集委員が死去。享年56。この日、番組冒頭20分を追悼特集に当て、小林の妻の手紙を小宮悦子アナが泣きながら朗読

5月15日 芝浦に日商岩井が出資したディスコ「ジュリアナ東京」オープン。よくバブルの象徴と混同されがちだが、ジュリアナが盛り上がるのは92~93年のバブル崩壊後。高さ130㎝の巨大お立ち台で、扇子を手にした露出度の高いボディコン姿の女性たちが踊り狂った。94年8月31日閉店

8月19日 フジテレビの深夜番組『1or8』のロケ中に、大量のロケット花火を背負って宇宙に行けるかを検証する企画「ヒロミ宇宙へ」にヒロミが挑むも、数センチ浮いただけで、大火傷を負って入院。番組も打ち切られる

9月29日 フリッパーズ・ギターが電撃解散。原因は不明だが、一説には小山田圭吾と小沢健二が渡辺満里奈を取り合ったと噂される

10月5日 テレビ東京の深夜番組『ギルガメッシュNIGHT』スタート。深夜のお色気番組として一世を風靡し、最高視聴率9.4%。飯島愛は「Tバックの女王」と呼ばれ、裸エプロンの野坂なつみの「夜食ばんざい」コーナーも話題に

10月13日 宮沢りえが読売新聞に、写真集「Santa Fe」の広告として全裸で登場。翌14日は朝日新聞にも掲載され、出版元の朝日出版には60万本、1分間に1000本の電話が寄せられる。写真集は11月13日に発売され、155万部の大ヒット

平成4年(1992年) 『電波少年』松村がチーマーにボコられる

4月18日 フジテレビの『夢がMORIMORI』スタート。森脇健児と森口博子がメインレギュラーで、SMAPは脇の扱いだった。コント「音松くん」では6人のバラエティの才能が開花。後の『SMAP×SMAP』に繋がる

4月25日 尾崎豊死去。享年26。護国寺の追悼式にはファンら3万人が詰めかける。彼が倒れていた足立区千住河原町の民家は「尾崎ハウス」と呼ばれ、ファンの聖地に

6月1日 米ドラマ『ビバリーヒルズ高校生白書』が日本で放映開始。お世辞にも美人とは言えないドナ役のトリ・スペリングは、本作のプロデューサー、アーロン・スペリングの娘だった

6月13日 横浜に屋内プール型テーマパーク「ワイルドブルー・ヨコハマ」がオープン。高さ2m級の人口波“伝説のラストウェーブ”が話題になる。だが、客足が伸びず、2001年8月をもって閉鎖

7月19日 日本テレビ『進め!電波少年』第3回放送で、「渋谷のチーマーたちを更生させよう」と、松村邦弘がセンター街に乗り込むも、チーマーたちにボコられる

7月21日 この日、産経新聞社の取締役会で鹿内宏明氏が17対3で社長を解任される。翌22日にはフジテレビとニッポン放送会長、フジサンケイグループ議長も辞任。3代続いた鹿内体制は終焉

9月23日 ディズニー映画『美女と野獣』が日本公開。日本での興行収入は16億円とスマッシュヒット。80年代のディズニーアニメ暗黒時代からの復活を印象付けた

10月5日 フジテレビ『ウゴウゴルーガ』放映開始。出演者は2人の小学生とCGのキャラクターたち。30分番組なのに、なぜかコーナーは20以上もあった。子供番組だが、女子大生やOLらがハマる

平成5年(1993年) 『あすなろ白書』で名言「俺じゃダメか?」

1月13日、フジテレビのドラマ『振り返れば奴がいる』スタート。当初予定の脚本家が降り、三谷幸喜はピンチヒッターだった。笑いのシーンをことごとく若松節郎監督に改変され、その経験が後に舞台『ラヂオの時間』に生かされる

5月15日、国立競技場でJリーグが歴史的開幕。TUBEの前田亘輝が君が代を独唱し、川淵三郎チェアマンの開会宣言はわずか30秒だった。オープニングゲームは横浜マリノスがヴェルディ川崎に2対1で勝利。NHKが中継し、視聴率は32.4%

7月7日 この日、新加勢大周がメディアに登場。本家の加勢大周の事務所独立に際して、事務所側の対抗措置だった。しかし、20日後に坂本一生に改名する。この年、彼は「新・○○」で第10回新語・流行語大賞新語部門・銀賞受賞

7月15日 千葉県船橋市に都市型屋内スキー場「ザウス」オープン。ゲレンデの全長490m・幅100m・高低差80mは当時世界最大。もともと10年間限定の施設として建てられ、2002年に閉館。実は毎年黒字の優良経営だった

7月21日 フジテレビのドラマ『悪魔のKISS』第3話で、ヘルス嬢役の常盤貴子が寺脇康文扮する客に乳を揉まれる

8月26日 レインボーブリッジ開通。当時フジテレビは河田町で、お台場には何もなく、夜景目当てのデートスポットとしての利用が大半だった。織田裕二扮する青島刑事が「レインボーブリッジ封鎖できません!」と叫ぶのは10年後の2003年

10月18日 フジテレビのドラマ『あすなろ白書』第2話で、木村拓哉演ずる取手が、なるみ(石田ひかり)を後ろから“あすなろ抱き”。「俺じゃダメか?」と告白する。キムタクがブレイクした歴史的瞬間に

10月28日 いわゆる「ドーハの悲劇」。アメリカW杯出場をかけたアジア地区最終予選最終戦で、日本リードのままロスタイムに突入するが、イラクのコーナーキックは意表を突いたショートコーナー。センタリングからヘディングで同点に。その瞬間、日本の選手たちは倒れ込んだ。同試合はテレビ東京が中継し、視聴率は同局歴代1位の48.1%

平成6年(1994年) 日テレが裏番組をブッ飛ばして年間4冠

2月25日 双葉社から「ポケベル暗号BOOK」発売。女子高生が買い求め、50万部のベストセラーに。「どこにいる?=105216」「マクドナルド=09107610」「会いたいよ=11014」「コンドーム持ってきて=5643(ゴム持参)」等々

4月13日 フジテレビのドラマ『警部補・古畑任三郎』スタート。『振り返れば奴がいる』の打ち上げで、フジテレビの石原隆と三谷幸喜が『刑事コロンボ』の話で意気投合して企画が生まれた。当初、田村正和は出演を渋ったが、送られた脚本を一読して快諾

8月28日 初の気象予報士の国家試験が行われ、2700人が受験して500人が合格。TBSの天気予報の森田正光はまさかの不合格(翌年合格)

9月27日 8月にバイク人身事故を起こしたビートたけしが、顔面にマヒ症状が残ったまま、退院の記者会見。「顔面麻痺が治らなかったら芸名を顔面マヒナスターズにします」と、自虐ネタで締めくくる

12月4日 WBCバンタム級王座統一戦で、薬師寺保栄と辰吉丈一郎が対戦。ファイトマネーは両者合わせて1億7000万円。2-0で薬師寺が判定勝ち。TBSが中継した視聴率は39.4%

12月22日 フジテレビの『29歳のクリスマス』最終回。ラストは、山口智子と松下由樹が女同士でクリスマスのイルミネーションの街へと繰り出して、視聴率26.9%。脚本は鎌田敏夫。主題歌のマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」も大ヒット

12月31日 日テレ『ダウンタウンの裏番組をブッ飛ばせ!』がオール“野球拳”企画で、5時間超えの生放送。芸能人が出演するスタジオ以外に、幕張メッセに一般女性1000人を集め、賞金100万円に乳房を晒す者が続出。紅白歌合戦の裏ながら15.3%と大健闘。この年、日テレは開局以来初の年間視聴率四冠王に

平成7年(1995年) 都市博中止に翻弄された1年に

3月5日 NHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』第9話にて、天然痘にかかった少年時代の吉宗が治癒して包帯を取ると、西田敏行に変身。お茶の間は唖然

3月27日 米アカデミー賞でロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ/一期一会』が作品賞など6部門を受賞。主演のトム・ハンクスは、前年の『フィラデルフィア』に続いて主演男優賞を2連覇。翌96年、『アポロ13』で3連覇を狙うも果たせず

4月9日 東京都知事選で青島幸男、大阪府知事選で横山ノックが当選。東西の二大首長がお笑い出身者に

4月19日 フジテレビのドラマ『王様のレストラン』スタート。脚本・三谷幸喜。エンディングの「Precious Junk」は平井堅のデビュー曲で、当時は意外にも爽やか青年路線だった

5月31日 青島東京都知事が96年に東京臨海副都心で開催予定だった世界都市博覧会の中止を決定

11月1日 新橋-有明間で「ゆりかもめ」開通。都市博中止の影響で赤字が心配されるが、会場予定地だった東京臨海副都心見たさの乗客が殺到。彼らは荒涼とした風景を楽しみ、意外にも黒字に

11月23日 午前0時、マイクロソフトから「ウインドウズ95」発売。小雨にもかかわらず、秋葉原中央通りには1万人が集結。カウントダウンで盛り上がった。秋葉原の25店舗が深夜営業を行い、花火も打ち上がるお祭り騒ぎに

12月16日 松本人志が武道館で、観客1万人を前に初の単独ライブ「松風95」を開催。チケットは後払い制で、自己申告制だった。結果は4000万円がペイラインのところ、1人3000円平均で赤字に

12月23日 映画「男はつらいよ」シリーズ48作目『寅次郎 紅の花』封切。この日、丸の内松竹で行われた舞台挨拶が、渥美清が公衆の面前に顔を見せた最後に。翌96年8月4日死去。享年68

平成8年(1996年) 小室フィーバーと「不倫は文化」

2月14日 山口県の「マリンピアくろい」328号室で行われた谷川浩司王将とのタイトル戦で羽生善治が勝利、史上初の将棋七冠に。翌月、羽生は女優の畠田理恵と結婚。一方、会場となったマリンピアくろいは翌年倒産と明暗が分かれる

4月22日 大学生4人が六本木の雑居ビルの1室で有限会社オン・ザ・エッヂ(のちのライブドア)を創業。社長は東大生の堀江貴文で、資本金600万円はホリエモンの彼女で学習院大生(取締役兼Webデザイナー)の父親が出資

4月15日 オリコンチャートで、上位5曲を小室ファミリーが独占。1位「Don’t wanna cry」安室奈美恵、2位「I’m proud」華原朋美、3位「FREEDOM」globe、4位「Baby baby baby」dos、5位「Love & Peace Forever」trf

6月20日 ソフトバンクがマードック率いる豪ニューズ・コーポレーションと組んで、テレビ朝日の株式を21%持つ旺文社メディアを買収、同社の筆頭株主になる。しかし、これに朝日新聞社が反発。翌97年3月にソフトバンクから全株式を買い取り、代わってテレ朝の筆頭株主に。

7月20日 中止となった東京都の都市博に代わり、としまえんの70周年企画「としまえん博覧会96」(略称:とし博)が開幕

9月19日 ニフティサーブの会員が200万人を突破。フォーラムと呼ばれる電子掲示板では、後の「2ちゃんねる」のように様々なテーマで情報交換が行われた。当時のユーザーはインテリが多く、荒れることはなかった

10月5日 この日、パルコ劇場で三谷幸喜脚本の舞台『巌流島』が開幕する予定だったが、台本が上がらず一週間延期に。これに小次郎役の陣内孝則が怒って降板。代役に増岡徹を当てるために更に3日延期して、結局、10日遅れの15日に初日

10月28日 平尾昌晃チャリティゴルフに参加した石田純一が、12番ホールでスポニチの女性記者から長谷川理恵との不倫を非難され、「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」と反論。しかし翌日、「不倫は文化」と端折って大々的に報じられる

平成9年(1997年) フジテレビがお台場へ引っ越し

3月10日 フジテレビが河田町からの引っ越しを終え、この日からお台場で放送開始。最初の番組は『めざましテレビ』。第一声は、めざましくんの「5時55分!5時55分!」だった

3月16日 日本テレビの『スーパージョッキー』で、司会の大神いずみアナがルーレットに当たるも、熱湯コマーシャルへの入湯を拒否。全国から批判が殺到し、後に番組を降板する

5月7日 カンヌ国際映画祭開幕。今村昌平監督の「うなぎ」がパルム・ドールに輝き、中学3年の新人・尾野真千子が主演した河瀬直美監督の「萌の朱雀」も新人監督賞を受賞する

8月26日 テレビ朝日『トゥナイト2』の放送中、リポーターの乱一世がCM前に「今日のネタはちょっとやそっとじゃ見られません。トイレに行かれる方はトイレへ」と発言して、これを見ていたスポンサーが大激怒。一世は番組を降板。プロデューサーも10日間の謹慎に

9月29日 TBSの深夜の帯番組『ワンダフル』スタート。司会は東幹久と原千晶。第1期のワンギャルには国分佐智子や釈由美子らもいた

11月16日 マレーシアのジョホールバルで行われたW杯フランス大会アジア最終予選の第3代表決定戦で、日本がイランに延長の末3-2と劇的勝利。「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれ、中継したフジテレビは深夜ながら視聴率47.9%。日本の3得点とも、中田が起点だった。

11月24日 四大証券の1つの山一證券が廃業。記者会見で「社員は悪くありませんから!」と号泣した野沢社長は法政大卒で、東大閥の山一では外様。社長就任まで一切、会社の危機を知らされていなかった。社長の号泣は世間の同情を集め、山一の元社員らは再就職先から歓迎される

12月1日 トヨタから国産初のハイブリッドカー「プリウス」発売。キャッチコピーは「21世紀に間に合いました」

平成10年(1998年) たばこのCM消える

1月25日 日本テレビ『進ぬ!電波少年』で、なすびの「電波少年的懸賞生活」が始まる。目標は100万円で、翌99年1月1日に達成。ゴールの瞬間は、スタジオに作られた懸賞部屋に目隠しのまま連れてこられ、四方の壁が倒れる演出だった

3月31日、この日を最後に、JTのタバコのCMが消える

4月8日 郷ひろみが二谷友里恵と離婚。翌9日、幻冬舎から「ダディ」発売。後藤久美子との密会がバレてローファー靴で殴打されたり、過去の浮気が載った週刊誌を目の前で朗読させられたりと、赤裸々に友里恵との夫婦関係を告白。ミリオンセラーに

6月10日 日本が初出場したフランスW杯が開幕。最高視聴率はNHKが中継した2戦目クロアチア戦の60.9%。日本のW杯初ゴールは、決勝進出の望みが絶たれた後の3戦目ジャマイカ戦における中山雅史だった

6月19日 道端で小学生たちが「セガなんてだっせーよな!プレステのほうがおもしろいよな!」「帰ってプレステやろうぜ〜!」と話すのを立ち聞きするセガの湯川専務の自虐CMが始まる。同CMはこの年のACC全日本CMフェスティバルの最優秀テレビCM賞受賞

7月7日、フジテレビのドラマ『神様、もう一度だけ』スタート。第1話で当時15歳の深田恭子が金城武演ずる音楽プロデューサーの部屋で、Yシャツ一枚で逆立ち。パンツがまる見えになる

9月4日 スタンフォード大学の博士課程に在籍中のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの2人が、カリフォルニア州メンローパークにある友人のアパートの一室でGoogleを創業

10月20日 赤坂BLITZで行われた音楽業界向けの新人イベントに、デビュー前の宇多田ヒカルが登場。英語で自己紹介した後、自身が作詞作曲した「Automatic」を披露。その完成度の高さに業界関係者の度胆をぬく

11月25日 広末涼子が早稲田大学教育学部国語国文学科に自己推薦入試で合格。コメントを求められた早稲田OBの小渕恵三首相は「顔は知らないけど名前は知ってるよ。おめでとう」と祝福

 

――というワケで「平成エンタメ年表」、まずは前編10年分をお届けしました。

次週は、1999年の世紀末からミレニアム、そして21世紀へと至る波乱の中編10年間です。お楽しみに!

  • 草場滋(くさば・しげる)

    メディアプランナー。「指南役」代表。1998年「フジテレビ・バラエティプランナー大賞」グランプリ。現在、日経エンタテインメント!に「テレビ証券」、日経MJに「CM裏表」ほか連載多数。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。代表作に、テレビ番組「逃走中」(フジテレビ)の企画原案、映画「バブルへGO!」(馬場康夫監督)の原作協力など。主な著書に、『テレビは余命7年』(大和書房)、『「朝ドラ」一人勝ちの法則』(光文社)、『情報は集めるな!」(マガジンハウス)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー~時間旅行代理店』(ダイヤモンド社)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『買う5秒前』(宣伝会議)、『絶滅企業に学べ!』(大和書房)などがある

  • 写真fujiphotos/アフロ

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