「ユニクロは3枚重ねると誰でもおしゃれになれる」は本当か?
『「ユニクロは3枚重ねるとおしゃれ」の法則』著者:伊藤真知氏インタビュー
シンプルで飽きのこないファッションアイテムを展開する「ユニクロ」。誰もが一度は買い物をしたことがあるであろう、私たちにとって最も身近なブランドだ。「ユニクロ」の服は、合わせるアイテムを選ばないベーシックなデザインゆえ、何も考えずに着ても失敗することは少ない。だが、そのぶん、おしゃれに見せるには、ちょっとした知恵と“ひと手間”が必要になってくる。
そこで、今月13日に発売されたばかりの書籍『「ユニクロは3枚重ねるとおしゃれ」の法則』の著者、ファッションエディターの伊藤真知さんを直撃。アイテムの選び方や着こなしのコツから買い物時のポイントまで、「ユニクロ」をもっとおしゃれに、素敵に着こなすための伊藤さん流テクニックをご紹介する。
はじめての「ユニクロ」は、“とりあえず”で買った一枚のニット
「エディターとして、毎月たくさんの女性誌の仕事をさせていただいているのですが、一軍ワードローブの5割はユニクロです。お気に入りのニットなんて、毛玉のできにくい素材なのをいいことに、もう100回以上は着ているかも(笑)。
今、40歳なのですが、20代の頃はクセのあるデザインに惹かれて、オレンジのトレンチコートや、ダメージデニムなど、“パッと見はおしゃれだけれど、扱いにくい服”をよく買っていました。シンプルとは程遠いワードローブの中から選んだクセのあるアイテム同士を組み合わせては、どこかまとまりのない格好ばかりしていましたね。そんな中、仕事が忙しく家に帰れない日が続いたとき、『まぁ、1日乗り切れればいいか』くらいの軽い気持ちでとりあえずユニクロに駆け込み、シンプルなニットを買ったんですが、それが思いの外すごく使いやすくて! それ以来、何度か着ているうちに、だんだん他のユニクロアイテムも欲しくなって、店に足を運ぶようになりました」(ファッションエディター伊藤真知さん 以下同)
「3枚重ねるとおしゃれ」に見えるワケ
「たびたび一緒に仕事をしていた男性スタイリストさんの、男性ならではのスタイリングがすごく素敵で。メンズの服は、ボトムはパンツしかないですし、レディスよりもベーシックなデザインが多いから、おしゃれに見せるための“ひと手間”を加えのるが上手なんです。
例えば、ベーシックなニットに軽めのアウターを合わせるにしても、ニットの中に首のつまった白Tを重ねて、首元と裾からちらりとTシャツをのぞかせるとか。それだけで着こなしの印象ってものすごく変わるんですよね。バッグを一つ買い足すよりも、重ね着に使えるシンプルなTシャツを一枚買ったほうが、断然おしゃれに有効だと気づきました」
「パープルのニットとネイビーのテーパードパンツを合わせた着こなしは、どちらも色が暗いので、春に着るには少し重たい印象。そんなときは、ボーダーのトップスをニットの下に重ねて裾からのぞかせると、コーディネートにメリハリが生まれて“手の込んだおしゃれな着こなし”に。オーバーサイズのGジャンは、ユニクロのメンズ。小柄な私ですが、細身シルエットのパンツとなら、バランスよく着こなせます」
3枚目のアイテムは、ベーシックなものなら何でもいい
「『3枚重ねるとおしゃれ』とは、『ベーシックな服は、どんなアイテムでもひと手間かけよう』の総称のようなもの。なので、わざわざ3枚目を意識して用意したり、買い足すのは本末転倒。3枚目のアイテムは、ベーシックなものなら何でもいいんです。まずは自分が着たいものを2枚重ねて、もし『ちょっときれいめにまとめまり過ぎかな?』と思ったら、アウターの下にGジャンをはさんで着崩してみたり、『なんだか物足りないかも』と思ったら、ニットの中に白Tシャツを重ねてみたり……。そんな風に自分の感覚で1枚足してみることで、コーディネートに奥行きが出て、ぐっとおしゃれに見えることを実感できるはずです」
ベーシックなニットに形のきれいなテーパードパンツ。無造作に羽織ったメンズサイズのGジャン姿に、センスの良さが光る伊藤さんの着こなし。そのカギを握るのは、ニットの下から数センチのぞかせた“3枚目のボーダーカットソー”。たった一枚加わるだけで、おしゃれの完成度は大きく変わる。その効果は、写真のボーダー部分を指で隠して見れば一目瞭然だ。
- 取材・文:大森奈奈
- 撮影:田中祐介