イチローがもらうMLBの年金は2000万円超 弓子夫人も相続可

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イチローのように18年以上メジャーの最前線で活躍した選手はかなり珍しい

イチロー選手が引退を表明してから早いもので1ヶ月が過ぎようとしています。

各メディアはそれぞれ名場面を振り返ったり、彼のセカンドキャリアについて推知してみたりと、その膨大なニュース量を見ると、

「ああ、本当に愛された、語るべきことの多い偉大な選手だったんだな」

と改めて彼の魅力に触れることができますね。

その中にメジャーの年金についての言及がいくつかあったので、これを紹介、補足してみましょう。

まず興味深いのは、メジャーの年金のシステムやディティールは、公式サイト「MLB.com」の中に「Pension Benefits」(年金給付)の項目で、30ページ超を割いて明記されています。専門用語や具体例なども多く、かなり難解ですが、非常に興味深いので英語や数字に強い人はぜひご覧ください。

細かい金額は景気やMLBの収支などによっても左右する可能性はありますが、基本的なルールと数字は大きく変動しないはずです。以下は僕の体験による大まかな説明ですので、ご了承ください。

メジャーの年金は10シーズン、フルにメジャー登録をして働いた選手に満額が支払われるものです。マイナー扱いの期間は除外されます。逆にDL(故障者リスト)に入っていても、その間はメジャー登録ではあるのでカウントされます。

満額は、前述のように多少の前後はありますが年間20万ドルを超えるくらいです。現在のレートですと、約2200~2300万円が62歳から毎年、その選手が死去するまで支払われる生涯年金です。支払い方法は12分割で、毎月支払われることになります。しかも、その選手の没後も配偶者のみ相続することができます。非常に手厚いペンションと言えるでしょう。

日本人選手でこの満額を受け取る条件を満たした、つまりメジャー10年のキャリアを重ねた選手は、今のところ野茂英雄氏、松井秀喜氏、大家友和氏、イチロー氏の4人です。

僕はそれに次ぐ9年のメジャー生活をしてきました。もう少しで満額だったので引退時、周囲からはそれを惜しむアドバイスが多くあったのですが、それでも年18万ドルを62歳から毎年、受給できるはずです。

お金の出どころですが、すべてのメジャー契約をしている選手の年俸から少しずつ集めます。今はレギュレーションが変わっているかもしれませんが、僕が現役だった頃は年俸の5-10%程度を払っていた記憶があります。払っていたというか、正確には積立金として既に差し引かれた残りがサラリーとして振り込まれていました。僕のサラリーはスター選手に比べるとそこまで大きな数字でなく、それでも受給額はスター選手とほぼ同額なので「サラリー低いほうがペンション的には得やな、儲けたな」と同程度の年俸の選手と冗談を言い合ったのもいい思い出です。

そして、このシステムで「Pension Benefits」を運営している限り、まず破綻しません。受給には最低5シーズンはメジャー選手としての活動が必要です。なので、メジャーの全選手を分母とすると、収支的にマイナスには決してならない。ご存知のように選手の代謝が早い世界ですから、5年、そして10年を超える現役生活を過ごせる選手は少ないんです。そういう意味でも年金満額というのは一つのステータスになるかもしれません。

ただ、おそらくイチロー選手も含め、満額の条件を満たしたメジャーリーガーの多くはスーパースターかつ高給取りですし、システムも難解なので自分がいつからいくらもらえるか。そんなことを正確に把握している人はほとんどいないでしょう。

今や全米に日本人メジャーリーガーが散らばり、彼らの奮闘で楽しませてもらうシーズンが続きますが、その中で年金満額、10年のキャリアを次に達成する選手は誰なのか。メジャー観戦のスパイスとして意識してみると、さらに野球が面白くなるかもしれません。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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