「極秘通院ショット」ピエール瀧はスリップせず更生できるのか?
東京郊外のとある医療施設――。夕暮れて夜の帳(とばり)が下りた緊急外来の時間外出口から、大柄な男性が姿を現した。男性は黒いワゴン車を見つけるや、身体を「くの字」に屈(かが)めてクルマに乗り込む。周囲に控えていた関係者たちはワゴン車を取り囲み、男性が外から見えないようガードしている。その厳戒態勢ぶりからは、物々しい雰囲気が伝わってくる。
この男性は、コカインを摂取したとして麻薬取締法違反罪で起訴された、『電気グルーヴ』のメンバーで俳優のピエール瀧被告(52)である。
保釈から1週間にわたり、姿をくらましていた瀧被告。本誌がそんな彼を捉えたのは、4月中旬のことだった。
この日、瀧被告は午後4時半にワゴン車で病院に到着し、先述の緊急外来の出入り口へ。そこにクルマを横付けし、院内へと入っていった。冒頭のシーンはそれから2時間半後、診察を終えた瀧被告が病院を後にする瞬間の姿である。
警察の取り調べに対し、瀧被告は20代からコカインを使用してきたと供述。完全な薬物ジャンキーである彼がようやく依存症治療をスタートさせたことが窺(うかが)えるが、気になるのはその通院先。瀧被告がすがりついたのは、国内でも有数の薬物治療施設だった。
「瀧被告が通うのは、著名人や一流企業の関係者らがお忍びで依存症治療に訪れる最先端の病院。薬物はもちろん、アルコールなどを含めた幅広い依存症を対象にしています。病院側も、瀧被告が来院ということでかなりピリピリしていたようですよ。今回の逮捕は、厚労省管轄の麻取(マトリ)(麻薬取締部)によるものだった。そんな背景もあってか、病院は混乱を避けるため瀧被告が来ることを厚労省側に事前通告するほど神経を使っていましたから」(医療関係者)
そんな異様ともいえる状況で始まった瀧被告の治療だが、そもそも違法薬物の使用は再犯率が極めて高い。彼はスリップ(薬物再使用)せずに更生することができるのだろうか。
「彼が通う病院が重視しているのがグループ療法。同じ依存症を抱える仲間とグループワークやディスカッションを重ねて薬物から離れていく手法です。瀧被告ほどの有名人だと、グループの仲間も気を使うもの。まずはその中に溶け込むことができるかが第一関門でしょう。さらに薬物依存の患者には、どうしてもスリップしてしまう人が多い。それを防止するためにも、複数の医療施設を利用するのも有効。要するに、クスリを使う暇がなくなるくらい更生プログラムを入れてしまうんです」(前出・医療関係者)
一部では海外移住説も囁(ささや)かれ、一挙手一投足が注目される瀧被告。薬物依存の治療は明確なゴールがなく、一瞬の気の緩みで患者はいとも簡単にスリップしてしまう。彼の闘病生活は一生続くのだ。
『FRIDAY』2019年5月3日号より
- 撮影:高塚一郎