原田龍二が会話した! 身長160cm男性の座敷わらしとは?
原田が出会った座敷わらしは、まさかの青年男性サイズだった! ミステリーチェイサー原田龍二の「奇怪倶楽部」file.007
さまざまな不思議な言い伝えが残る東北地方。今回、『世界の何だコレ!?ミステリー』(フジ系 毎週水 夜7時〜)で原田が訪ねたのは、宮城県にある角田市(かくだし)という街にある雑貨店。蔵が多く残る古い街並みにあるこのお店には、多くの座敷わらしの目撃談と、出会ったことで恩恵を受けた話があるという。しかし、ここで原田が体験したのは座敷わらしの常識を覆すものだった!!
◆訪れる人に恩恵をもたらす、蔵の中に住む座敷わらし
今回訪ねたのは宮城県にある角田という街の雑貨店。よく田舎のほうに行くと、食料品はもちろん、日用品や金物とかがおいてあるお店を見かけるかと思いますが、まさにそんな感じの業務スーパーです。お客さんもよく出入りする開けた雰囲気のお店なので、みなさんの考える座敷わらしが出る場所のイメージとは少し違うかもしれません。

ただ、このお店には不思議なことが起きているのです。
先にもお話したように、この街は蔵が多く残る街です。僕が今回お邪魔したお店も決して例外ではありませんでした。ただ、このお店の蔵が非常に面白いのは、それが道に面しているのではなく、スーパーの建物の中に内包されているんです。外見は普通のスーパーなのですが、中に入ると蔵があるという作りと言えばわかりやすいでしょうか。
◆震災で多くの蔵が倒壊する中、傷ひとつ負わなかった不思議な蔵
この街は東日本大震災で大きな影響を受けました。建物が倒壊したり、道路に亀裂が入ったり、線路が歪んだりと多大な被害を受けたそうです。街にある多くの蔵も倒壊したり、土塀が崩落したところも少なくなかったそうです。ただ、今回訪ねたお店の蔵はひとつも被害を受けることなかったと言います。そのため、スーパーの商品を震災の時にも街の人々に提供することができ、役に立つことができたそうです。これも幸せをもたらすという座敷わらしの影響なのでしょうか。
しかし、お店の主人にお話を伺うと、家族は物音を聞いたり、座敷わらしを見た経験はないそうです。ではなぜこのお店に座敷わらしがいると信じられているかというと、スーパーを訪ねたお客さんの体験談が絶えないからだそう。
ある人は蔵に呼ばれたかのようにフラッと中に入って行き、誰かと会話を始めたり、蔵にいる座敷わらしの噂を聞いた別の人が訪ねたところ、高額宝くじが当たった、という不思議な体験談が絶えないそうです。
◆「女の子ですか?」「……コン」座敷わらしとの会話が始まった
多くの体験談が残る場所だけに期待をして僕は蔵の二階に泊まらせていただきました。蔵というと、中はひんやり寒い印象がありますが、ここは冷え冷えとした印象はなく、どちらかというと暖かく、ウェルカムされているような雰囲気でした。もしかしたらこれも座敷わらしが住んでいるからなのかもしれません。僕は安心して蔵にとどまり、用意していただいたこたつに入りながら早速座敷わらしに話しかけました。
「僕の声、聞こえますか?」
すると「……コン」
と返事のような物音がすぐに帰って来たのです! これは会話ができるかもしれない、と感じた僕はすぐに会話を続けました。
「あなたは男の子?」
「……」
「女の子?」
「コン」
どうやら女の子の座敷わらしのようです。その後も矢継ぎ早にたくさんの質問をしたのですが、そのすべてに返事をくれました。
中でも
「今日こそ姿を見せてもらえますか?」の返事に対して
「コン」と返事が戻ってきたのには驚きました。
今回こそ座敷わらしに会えるかもしれない! 正直期待も高まりました。しかし、この会話がすべてでした。それからは特に何か起きる訳でもなく、そのまま収録は終了するように思えました。

◆「原田さん、今誰としゃべっていたんですか?」スタッフが突然、僕のいる部屋に駆け込んできた
座敷わらしだって遊びたい気分の時や、のんびりしたい時もあるでしょうし、僕も期待をしすぎて座敷わらしに負担をかけたのかもしれません。人間と一緒ですよね? そう思うと僕は座敷わらしに少し申し訳ない気持ちになって、スタッフに「電気をすべて消してみませんか?」と提案しました。ずっとカメラに写されて、座敷わらしが恥ずかしがっているのか、もしくはちょっと嫌だな、と感じているのかもしれないと思ったのです。
なので、僕のマイクだけ生かして、収録を一度止めました。その状態の中、僕は蔵の中でしばらくおとなしくしていたんです。すると突然、別の部屋にいたスタッフが僕のいる2階に駆け上がって来て「原田さん、今、誰かと話してましたか?」って聞くんです。
確かに僕は電気を消した時、暗闇の中で何か写るかなと思い、携帯で蔵の中を撮影していました。ちょうどその時、スタッフから話しかけられたような気がしたので「OK」と答え会話をかわしました。僕はスタッフが尋ねたのがてっきりこのことかと思い、「うん、話したよ」と答えたんです。すると
「原田さんの部屋には誰も入って来ていないんです。スタッフは全員階下の別室で作業をしていましたから……」
と言うのです。でも、僕は実際に会話をしていて、その様子がしっかり携帯のムービーに残されていました。データを見返すと3月26日22時56分。確かに僕は誰かと話しているのです。
でも、ここでおかしなことがもうひとつ浮上しました。実はスタッフが僕のいる2階に上がってきて「誰かと話していた?」と質問してきたのは、僕が実際に誰かと話をしていた時から20分後くらいなんです。つまり、僕が会話をした時間と、階下にいるスタッフが僕のマイクを通じてイヤモニで会話を聞いた時間には20分程度のずれがあるのです。……一体どういうことなのか。
時間差でスタッフに僕の会話が聞こえたというのは、もしかしたら僕が無意識に暗闇を撮影した時の映像を再生していて、その声を僕のマイクが拾ったという可能性はあると思います。なので、時間差で会話が聞こえたことの謎はこれで解消できるでしょう。

◆160cm40kgの男性は座敷わらしなのか?
では、僕は誰と会話をしていたのでしょうか。
僕が撮影をした携帯ムービーを分析してもらい、会話の相手の声を調べると、 “160cm 40kg程度の男性の声”と結果が出たのです! しかも会話の後に足音が聞こえていたらしく、その足音は“わらじ”や“草履”を履いている時に起きる“擦るような音”だったそうです。しかし、スタッフは全員動きやすいようにスニーカーを履いていますし、160cmで40kgというそんなに細身の男性スタッフもいないのです……。
一体、このこの声の主は誰なのか。もしかしたらこの声こそが座敷わらしなのかもしれません。最初に話しかけた時、「女の子」と座敷わらしは返事をしましたが、もしかしたら実際は160cmの男性の座敷わらしなのかもしれませんね。いたずら好きと言われる座敷わらしが、僕にいたずらを仕掛けて、「座敷わらしは小さな女の子」という固定概念を揺るがすためのいたずらをしたのかもしれません。
今回の座敷わらしは僕たちが日々の生活で凝り固まった考え方に、一石を投じる、そんなスマートな人だったのかもしれません。世の中は想像を超えた出来事にあふれているんだよ、と僕の考えを広げてくれて、改めてフラットにミステリーを追い求める姿勢を教えてくれるための、ちょっとしたいたずらだったのでしょう。僕がミステリー道を極める上で、この気づきは座敷わらしから受けた恩恵と言っても過言ではないかもしれません。
あなたの凝り固まった概念もこの話で少し柔らかくなるなら、きっと世の中はもっと面白いことにあふれていることに気がつくはずです。さあ、そうしたらまた僕と一緒にミステリーを追い求めてみませんか?
語り部:原田龍二
(はらだりゅうじ) 1970年生まれ。数多くのドラマやバラエティで活躍し、趣味の温泉巡りでは芸能界きっての通として認識されている。近著に不倫旅行をテーマにした写真集「密愛」(スペシャル版)、「情愛」「渇愛」「純愛」(ライト版)のほか、日本全国の温泉を紹介する本、「一湯入魂」がある。現在、「5時に夢中!」(MX)で金曜日のMCや、「DAYS」(ニッポン放送)の毎週水曜日13時からのパーソナリティを務めるほか、「世界の何だコレ!?ミステリー」(フジ系)では人気コーナーで番組を盛り上げている。
企画・構成:SUPER MIX文:知野美紀子(SUPER MIX)