元メジャーリーガーが全米ゴルフシニアツアーデビューで感じた事 | FRIDAYデジタル

元メジャーリーガーが全米ゴルフシニアツアーデビューで感じた事

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メジャーリーグ引退後、ゴルファーとして挑戦を行なっている長谷川滋利氏。2017年には全米アマチュア選手権の本大会出場も果たしている。今回は全米シニアツアーへ初出場。そこで感じたアメリカにおけるスポーツ文化の現状をレポート。

長谷川氏は、「アスリートとして真剣に挑戦することが、仕事にもいい影響を与える」と語る
長谷川氏は、「アスリートとして真剣に挑戦することが、仕事にもいい影響を与える」と語る

先週、ゴルファーとして初めてアメリカのシニアツアー「三菱電機クラシック」に参加させていただきました。ジョージア州アトランタ郊外にあるシュガーローフというコースだったのですが、高いレベルで仕上げられた難しいコースでした。

僕にとっては米ゴルフのデビュー戦でした。多少、興奮はしましたが、、緊張はせず、いつも通りにプレーできた手応えはあります。通算15オーバーと数字は必ずしも良いものではありませんでしたが、最終日に2つバーディを記録するなど、ポジティブな面も多かったと思います。

2日目にはメジャー8勝のレジェンド、トム・ワトソンさんとラウンドする機会に恵まれたのも僕にとって今後、大きな意味を持ちそうです。

やはりイメージ通りの紳士で、いい意味で感情の起伏がない方でした。人間、必ずパッションを持っているので、コース上でもミスが出た時に落胆したり自分に失望したりするものです。しかし、それが彼からは一切、感じられなかった。

今回、キャディーとして榎本泰治プロが日本から来てくれたのですが、ワトソンさんについて「一つ一つの所作に余裕があるのですが、決断が早い。そして、決めたことに対して結果が伴わなくても引きずらずに淡々とプレーを続ける。ゴルファーの一つの理想の姿かもしれません」と分析しつつも刺激を受けていましたが、彼の言う通りですね。ミスが出たとしても自分が狙えると思って打ったショットですから、責任は自分にある。それをしっかり受け入れている印象を持ちました。

もちろん自分のプレーだけではなく、僕のボールがいいところに飛んだ後は必ず「ナイスショット、ハセガワサン」と声をかけてくれます。彼は野球も好きで、僕のキャリアを知った上で接してくれたようです。

そのあたりがアメリカらしいですね。アスリートに対してのリスペクトはどの現場に行っても必ず存在します。全米オープン2度優勝のリー・ジャンセンさんも帰り際に「今回は球を投げないで打ったんだね」と冗談を言っていましたが、選手も運営側も観客も程よい距離感を保ってくれました。

また今回は、MLBで213勝154セーブを挙げ殿堂入りも果たしたジョン・スモルツ氏も招待選手として参加していました。彼とは初めて話したのですが、野球の話題ではなく、ずっとゴルフの話をしていましたね。本当にゴルフが好きなんでしょう。彼は野球の解説者をしていてかなり忙しいはずなので、今回である程度の手応えを得て、これからどうやって練習時間を確保するか、効果的なトレーニングを積むかが鍵になってきそうです。それは僕も共通の課題ですが。

これはアメリカ特有のスポーツ文化で、もちろん日本が悪いというわけではありませんが、例えば日本で活躍したプロ野球選手が引退後、ゴルフを始めたというニュースがあれば、それはどうしても「趣味の延長」的なニュアンスで捉えられるでしょう。

アメリカの場合はセカンドキャリアでも、真剣にスポーツに取り組む選手を本気で応援してくれます。スポンサーもつくし、賞金の額も大きい。それはスポーツが文化として成熟していると同時に、ビジネスとして運営されている証拠でもあります。

ある意味では、企業がうまくスポーツを利用しています。スポーツとアスリートをサポートした上で着実に利益を出している。慈善事業では決してありません。

選手で言えば、アーノルド・パーマー氏やジャック・ニクラウス氏などが好例ですが、アパレルブランドを展開するなどビジネスへの連結の仕方が上手ですよね。また、ファンもスポンサー企業の顧客になることで、商品を購入することでスポーツやアスリートを応援することにつながると理解しています。アメリカがスポーツ大国と呼ばれる大きな理由の一つでしょう。

僕もさらに応援されるゴルファーになるために、自分の仕事をしつつも真剣にゴルフに向き合っていかないといけません。日本のツアーに参加することも今後、検討しているので日本の皆さんともコースでお会いできるのを楽しみにしています。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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