青森出店でついに47都道府県制覇 コメダ珈琲店が愛される理由

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ついにあの店が、全国地図の最後の1マスを埋める。それは「珈琲所 コメダ珈琲店」(以下、コメダ)。愛知県名古屋市発の喫茶チェーンは東海地区から東へ西へ南へ北へとジワジワ全国に出店を続け、創業51年目となる今年(6月7日)、最後の空白県であった青森県へ出店し、名実ともに「全国ブランド」となる。

コメダの郊外店は、山小屋風の建物とゆったりとした駐車場が目印。車で立ち寄りやすく、仕事途中のサラリーマンはもちろん、作業着姿の職人や部屋着姿のご近所さんが、気後れせずに入れる雰囲気を大切にしている

ウッディーな山小屋ふうの独特なインテリアに、わかりやすくツボをついたメニュー構成。味も雰囲気もいたって普通なのに、サラリーマンから家族連れ、高齢者までが「また行きたい」「つい足を向けてしまう」コメダ。ファンを増やし続ける理由は何なのか? 東京にあるオフィスで、広報・IRに尋ねた。

名古屋の人はパジャマで来る?

もはや少数派とは思うが、行ったことのない人のために解説すると、コメダは1968年、愛知県名古屋市で開業した一軒の街の喫茶店を発祥とする喫茶チェーンである。愛知県内、東海地区に店舗を増やし、2000年代に入ってからは関東、関西をはじめ全国へ出店を拡大。16年に東京証券取引所市場第一部へ上場してからは、北海道、沖縄、そして台湾、中国・上海と海外への出店も果たした。

形態は、席でオーダーを聞くフルサービス型。今や絶滅危惧種となったオールドスタイルと、東海圏独特の喫茶作法(コーヒーに添えられる豆菓子、パンとゆで卵が無料でつくモーニングなど)、および「みそカツパン」「シロノワール」(ソフトクリームの乗った温かいデニッシュ)などの独自メニューで人気を博している。

コメダの看板メニュー「シロノワール」は、温かいデニッシュパンの上にソフトクリームがトッピングされたもの。創業者である加藤太郎氏が開発し、1977年に発売して以来変わっていないが、現在は季節ごとの限定商品も好評

そして6月7日、国内最後の空白地だった青森県内に「コメダ珈琲店 イトーヨーカドー青森店」が誕生する。創業51年目にして、ついにナショナルブランドへ上り詰めた感がある。が、「そうですかねぇ……」と言うのは、株式会社コメダ管理本部のIR担当次長・野瀬和宏さん。

「多くのお客さまに来ていただいていますが、ブランド認知度という点では、そうはいってもまだまだだと。実は私も、この会社に入る前まではコメダのことをあまりよく知らなかったので(笑)」

あららら……しかし、この肩の力の抜け具合が「コメダらしさ」かもしれない。何しろ、決して“頑張って行くところ”ではないのだから。

「変に格好つけていないし、フラッと入りやすい店づくりをしていますので。名古屋ではその昔、お風呂上りにパジャマのような格好のまま来店する方がいらしたようですし、『冷房代がもったいないから来た』という方もいらっしゃったと聞いています(笑)。本当に自宅の延長線上の、第2のリビングルームとして使っていただきたい店なんです」(野瀬さん 以下同)

「変えないこと」こそが、実は難しい

くつろぐためのリビングだから、肩肘は張らない。そんな姿勢は、店の隅々にまで表れている。たとえば、コメダで出すコーヒーは、注文ごとに淹れるハンドドリップ方式ではない。

製造拠点で、厳選したコーヒー豆を丁寧に自家焙煎しブレンド。ダブルネルドリップ方式で抽出し、それを各店舗に配って適切な温度管理のもとで提供しているのだ。

「ハンドドリップだと、どうしても淹れ手によって味にばらつきが出るし、素早くお出しすることもできない。創業者である加藤太郎さん(08年に事業譲渡後、株式会社コメダの会長を務めた)が『同じコメダの看板を掲げているのであれば、クオリティーは同じでないと』という方針を掲げていて、その時代からの伝統でもありますね」

お客がコメダに求め、コメダが提供するのは、一部のコーヒー通に向けた味ではなく、あくまでも万人受けする均質な味。コメダのキャッチフレーズ「くつろぐ、いちばんいいところ」を思えば、コーヒーを味わいに来る場所というより、コーヒーを飲んでくつろぐ“安らぎの時間”なのだ。

前出の「シロノワール」のデニッシュパンも、トーストやサンドイッチ用の山型食パンも、コメダのパン工場で徹底的にこだわって生産されている

「ものを売るのではなく、コメダは“こと”を売っている。価値体験を提供しているとも言えます。だからといってクオリティーはどうでもいいというわけではなく、たとえばご好評をいただいているモーニングサービスでも、無料だからこそお出しするパンにはこだわっている。自家製造のパンには、特等粉という最高グレードの小麦粉を使うなど、満足していただけるよう心配りをしています」

いつもの味と雰囲気を、いつも通りに味わってもらう。それを至上とするコメダだから、インテリアはあの独特な雰囲気のままだし(とはいえ、椅子のピッチは座りやすいよう変更するなど、マイナーチェンジは行われている)、メニューも一部の季節商品などを除いては変化がない。コーヒーの大サイズを「グランデ」ではなく「たっぷり」と呼ぶわかりやすさも、高齢者にはうれしいはず。とにかく、すべてが「定番」という安心感が、流行が目まぐるしく移り変わる時代の中で多くの人を惹きつけているのではあるまいか。

つい長居をしたくなるゆったりとした店内。スターバックスのようなセルフ形式のカフェが台頭する中、ゆったりとしたソファに陣取り、備え付けの新聞や雑誌を読みながらフルサービスで飲食を楽しめるのが、コメダ人気の秘密だ

「変えないことのほうが、実は難しいと思うんですよ。ファストフードのように、マーケティングを上手にしてどんどんメニューや店を変えていくというのもひとつの方法だと思いますが、コメダはご近所の皆さまにくつろいでいただく喫茶店であることが第一。これも、創業当時から一貫しているポリシーです。フランチャイズのオーナーの方も、『コメダをやって儲けよう』ということではなく、地域の方々に喜んでもらい、それで感謝されるのがうれしいという方が多いですね」

広報担当おすすめ! いつか行きたいコメダ店舗

2019年4月末現在の店舗数は、台湾の3店・上海の3店を含めた861店(グループ店舗総数)。2020年度中には計1000店舗まで拡大する目標を掲げているので、この先ますますコメダが身近になることは間違いないが、まったく均質なようでいて、実はコメダにも地域性などに応じた多少の差異があることにお気づきだろうか?

「コメダの店舗は97パーセントがフランチャイズで、基本的に営業時間は7時~23時ですが、店舗特性に合わせてオーナー様の意向があれば、本部と協議のうえ閉店時間を早めたりします。あと、都心部の店舗はやはり物件の賃料が高いので、コーヒーなどの価格も多少違いますね。店舗によっては、地場の有名特産品を店頭に置いたりなど、比較的オーナー様の自由度は高いんです」

そうした差を楽しむのも、次なるコメダの楽しみ方か。そこで、野瀬さんと広報室主任の沖田有紗さんに、おすすめのコメダ店舗を尋ねると……。

「まず、名古屋にある本店(愛知県名古屋市瑞穂区上山町3-13)。内装も『ザ・コメダ』というレトロな雰囲気で、おすすめです。ここは珍しい2階建の店舗なんですが、2階建という点では、関東の1号店である横浜江田店(神奈川県横浜市青葉区荏田北3-5-10)も2階建。158席とキャパシティーが大きく、駐車場も広々とした郊外型の店舗で、私も個人的に好きな店舗です」(沖田さん)

「横浜のランドマークタワーの中の、横浜ランドマークプラザ店(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1)は、コメダと系列店である和風甘味喫茶「おかげ庵」の併設型店舗。全国でここだけです。観光地でもあり、オフィスビルの中の店舗でもあるので、とくに昼時には賑わっていますね」(野瀬さん)

さらに、新しい形態の店舗として勧められたのは、福岡県の北九州勝山公園店(福岡県北九州市小倉北区城内1-2)。小倉城を望む公園内、紫川沿いに昨年7月に開店したPark-PFI(平成29年の都市公園法改正により設けられた、公園内の飲食店・売店などの利益を公園整備などに活用する新たな取り組み)実践型の店舗だ。

「景観に合わせた設計になっていて、通常のコメダの店舗とも雰囲気が違いますので、楽しんでいただけると思います」(沖田さん)

日常は自宅や勤め先の近くのコメダへ、旅先ではその土地のコメダへーーそうなればあなたも立派な「コメダ愛好家」だ。

コメダ珈琲店の公式HPはコチラ

  • 取材・文大谷道子

Photo Gallary4

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