セレブはタトゥーが大好き! 祝い、お守り、励まし 意外な理由
エマ・ストーン、ソフィー・ターナー、セレーナ・ゴメス、カーラ・デルヴィーニュ、ヴィクトリア・ベッカム、リアーナ登場
◆エマ・ストーン:タトゥーにまつわるエピソードがいちいちスゴい


アカデミー主演女優賞を獲得した映画『ラ・ラ・ランド』のミア役で、すっかり世界的スターにのぼりつめた女優のエマ・ストーン。明るく気取らない人柄で知られ、それでいて大きなスキャンダルもない。そんな好感度抜群の彼女にも、小さいながらしっかりとタトゥーが彫られている。
現在のところ、確認されているエマのタトゥーは左手首の“鳥の足跡”のみ。デヴィッド・レターマンのインタビュー番組で、エマ本人がこのタトゥーに関するエピソードを明かしている。
この鳥の足跡を彫ったのは2011年のこと。2年間の闘病の末に乳がんを克服した母に向け、お祝いの意味を込めて彫ったものだという。
タトゥーを彫るにあたり、母が大好きなビートルズの楽曲「ブラックバード」にちなんだモチーフにしようと思いついたエマは、ある人に手紙を書くことにした。
「曲を書いたポール・マッカートニー本人にね。ふたつの鳥の足跡を描いてもらえませんかってお伺いを立てたわけ。そしたら、彼から図案が届いたの。ポール・マッカートニーによるカスタムタトゥーだなんて、ウソみたいよね! こんなのすごすぎるし、彼ってホントにイイ人すぎる」
エマほどの女優なら、コネやツテを辿ってポールに依頼できそうなものだが、誰の手も借りず、手紙を出すという古典的な手段を使ったというのだから好感が持てる。
しかも、ポールが考案したというこの鳥の足跡は、流行に左右されないシンプルなデザインなうえ、メイクさんに迷惑をかけるほどではないサイズだ。なにより、そのタトゥーは母に捧げるために彫ったというのだから、ケチのつけようがない。こんなタトゥーなら、エマの好感度に影響はなさそうだ。
◆ソフィー・ターナー:マッチングタトゥーで永遠の友情を刻む


先日、いよいよ最終章を迎えたドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(以下GoT)』。2011年にスタートしたこのシリーズは、新たなスターを数多く輩出している。そのうちのひとりが、サンサ役を演じているソフィー・ターナーだ。
全身に少なくとも11個のタトゥーを持つソフィーだが、右腕の内側に入れた“07.08.09”という文字は、自身の出世作で代表作でもある『GoT』にまつわるタトゥーだ。
実はこのタトゥー、『GoT』でサンサの妹アリア役を演じる、メイジー・ウィリアムズとのマッチング(おそろい)タトゥーである。ふたりは作中では姉妹を演じ、私生活では大親友として知られる。
ちなみに、“07.08.09”という文字は、ふたりが『GoT』にキャスティングされた2009年8月7日を示している。『GoT』がシーズン8で終了すると発表されたあと、2016年9月に彫ったそうだ。ソフィーによると、
「最後まで生き延びたキャストのみんなで、おそろいのタトゥーを入れようって話していたの。でも、このままだとどうなるかわからないから、『演じている役が殺されるより先に、もう入れようよ』って、メイジーと決めたのよ」
とのこと。アイルランド・ベルファストのタトゥーアーティスト、カット・パインのスタジオで、ソフィーは肌と同じ色のインクで右腕に、メイジーは赤いインクで左腕に、この日付けを彫ることにしたのだ。今後もタトゥーを見る度に、人生が一変した2009年8月7日のことを思い出すのだろう。
◆セレーナ・ゴメス:優等生キャラだってタトゥーを彫る!


ディズニー・チャンネル出身で、幼いころから子供たちのロールモデルであることを求められていた、シンガーで女優のセレーナ・ゴメス。そんな優等生タイプの彼女も、意外なことにタトゥー愛好者である。
セレーナが初めてタトゥーを入れたのは、2012年のこと。マイクを持つ右手首の側面に、「♪(8分音符マーク)」を彫った。それから現在までに、確認できる範囲では10個のタトゥーを彫っている。
セレーナのタトゥーはどれも黒のインクで、家族にまつわるもの、親しい友人や仲間にちなんだもの、お守りのような意味を持つものの3パターンに分けられる。
右肩甲骨の下あたりに入れた、“love your first(=まずは自分を愛そう)”を意味するアラビア語は、お守りのような位置づけだろう。2014年6月にセレブ御用達タトゥーアーティストのBang Bang(バン・バン)が彫ったもので、セレーナ自身がこの言葉を入れたいと持ち込んだという。
当時、セレーナはジャスティン・ビーバーと別れたりヨリを戻したりと繰り返していた。ジャスティンはとても荒れており、同年には公道でドラッグレースをして逮捕されている。ジャスティンに振りまわされていることを自覚し、自分自身を大切にするために忘れてはならない言葉としてタトゥーを彫ったのかも知れない。
◆カーラ・デルヴィーニュ:メンタルヘルスの安定を願ったタトゥー


モデル出身で、女優としては映画『スーサイド・スクワッド』や『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』などの人気作品に出演するカーラ・デルヴィーニュは、所属するモデル事務所から叱られたことがあるほどのタトゥーフリークだ。
上流階級の子女であり、どこへ行っても特別扱いを受けていたカーラは、恵まれすぎた環境に罪悪感を抱いていたという。モデル業は順調そのもので、希望していた通り女優業にも進出することができ、なにもかもが思い通りだった。にも関わらず、成功すればするほど自己嫌悪に陥った。カーラは10代のうちに鬱病になってしまった。
そんなカーラが、20歳のころBang Bangに入れてもらったのが、右上腕の内側にある“breathe deep”だ。自分自身に言い聞かせるための言葉だからか、目立たないホワイトのインクを使っている。
のちに、鬱状態がひどかったときを振り返ったカーラは、
「もう終わらせようと思ったこともある。自分の息の根を止める用意もできてた」
と、自殺を考えたこともあったことを明かしている。鬱の状態は今も、軽くなったり重くなったりを繰り返しているそうだ。
だが、もし再び自殺衝動に襲われたら、白のインクで彫ったこのタトゥーがカーラを救うかもしれない。深呼吸(=breathe deep)すれば、気持ちを落ち着けることができるはずだ。
●コラム:ミレニアル世代はなぜホワイトインクを使う?
カーラのほかにも、史上最年少ビリオネアと話題になったカイリー・ジェンナーや、その姉のケンダル、はたまたジャスティン・ビーバーの妻ヘイリー・ボールドウィンなどが、白のインクでタトゥーを彫っている。また、目立たない場所を選び、ごく細い線でワンポイントだけ彫るのも最近の流行だ。
ミレニアル世代の若者たちは、そのときに流行っているデザインが一生モノではないことをよくわきまえている。おしゃれだと持て囃された先輩たちの多くが、若気の至りで彫ったタトゥーを後悔していることも知っている。だからこそ、タトゥーは入れないか、彫るにしても目立たないようにしているようだ。
◆ヴィクトリア・ベッカム:大事なタトゥーも消したくなる場合がある


90年代にはスパイス・ガールズのメンバーとして活躍し、現在は芸能活動から離れてファッションビジネスに専念しているヴィクトリア・ベッカム。夫のデヴィッド・ベッカムほどではないが、全身にたくさんのタトゥーを彫っていることで知られる。
ヴィクトリアのタトゥーは、ほとんどが夫デヴィッドにまつわるものだ。たとえば、右手首に入れた“VIII-V-MMVI”と“De Integro(=改めて始めよう)”、左手首には結婚10周年で入れた夫のイニシャル“DB”と、「ずっと一緒に、永遠に」という意味のヘブライ語などがある。
中でも最も目立っていたのが、襟足から背骨に沿って彫られたヘブライ語のタトゥーだ。「わたしは愛する人のもの、愛する人はわたしのもの」という意味で、結婚指輪に刻まれることの多いフレーズなのだが、ヴィクトリアのそれは、浮気性な夫や、夫をたぶらかす女性たちに向けた、牽制の言葉とも取れる。実はマッチングタトゥーで、デヴィッドの腕にも同じデザインで彫られている。
そんな、夫婦の絆を示すタトゥーが、2015年あたりから徐々に薄くなっている。夫婦仲が悪くなったわけではない。自分の名前を冠したファッションブランドの成功を受け、ビジネスウーマンとして認められるために、タトゥーは必要ないと判断したらしいのだ。
美意識の高いヴィクトリアだけに、できるだけ跡が残らないようにタトゥーを消していく方針のようである。現在では原型がわからないほど目立たなくなっている。
◆リアーナ:スペルミスや文法ミスの指摘は野暮!


一度入れたら簡単には消せないのに、起きてしまうのがスペルや文法の間違い。最近だと、アリアナ・グランデが新曲「Seven Rings」にちなんで手のひらに彫った“七輪”が話題になった。
あえて母国語ではない言葉を使うと、こんな間違いが起きがちだが、それを他人がとやかく言うべきではない。シンガーで女優としても活動するリアーナなら、きっとどんなミスでも笑ったりバカにしたりしないはずだ。
リアーナといえば、米ショービズ界で最もセンスの良いタトゥーの持ち主だ。リアーナが入れたタトゥーのデザインが、流行したこともあるほどだ。
知られている限りでは25個あるリアーナのタトゥーの中で、2010年8月に彫った首の“rebelle fleur”は、ミスの疑いがかかったタトゥーである。
この言葉はフランス語で、フランス人から「文法が間違っている」と指摘が相次いだ。「“反逆心のある花”と書きたいのなら、rebelleはあと、fleurが先だ」と失笑されてしまったのだ。
するとリアーナは
「反逆者って意味のrebelleと、花って意味のfleurを、ただ並べただけ。それぞれ独立した名詞が並んでるだけよ。文法もへったくれもないわ」
と、文法の間違いを指摘する人々を一蹴!
アリアナの“七輪”だって数字の“七”とわっかの意味の“輪”
そもそも、タトゥーを第三者に向けて彫る人はいない。本人が意味づけをして、大事にすれば良い。たとえスペルや文法が間違っていると思っても、それを指摘するのは大きなお世話である……と、リアーナは気付かせてくれたのだった。
構成・文:原西香
(はら あきか)海外セレブ情報誌を10年ほど編集・執筆。休刊後、フリーランスライターとして、セレブまわりなどを執筆中