北海道より旨い!道産子ライターが認定・東京ジンギスカン2大決戦
どうも、北海道出身の猫田しげるです。ご存じのとおり北海道民にとって焼肉といえばジンギスカンです。いい加減飽きた私は、花見のたびに「他の肉でいいじゃねーか!」と思っていました。
なのに東京に出てきて逆にジンギスカンにハマりました。すごい店に出会ったからです。「ジンギスカンってこんなに旨いのか」と目からウロコが落ちた2店、さっそくご紹介しましょう。
羊肉の概念を覆す!アイスランドの極上ラム肉食べ放題『ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋(本店)』
私が「今まで食べていたジンギスカンは何だったんだ」と愕然とした店。中野部屋というからには元力士が経営しています。
中野に2店のほか、両国、亀戸、本八幡と都内近郊に5店舗展開しています。

“むさカワイイ”異空間
HPを見ると分かるのですが、いろいろおかしいです。いや、このおかしさが好きでたまりません。マスコットキャラクターの可愛いゆきだるまと裏腹に、店頭にはむさ苦しい力士の写真のオンパレード。体育会系な香りがプンプンします。

ビルの階段からもう異空間な感じがしますね。
店内にはこれからの壮絶な闘いを予感させるような屈強なダクト。ちなみにこちら、入店するとコート類をまずビニール袋に密封するよう指示される、命がけのジンギスカン店です。
500円を惜しまず横綱コースにすべし
アラカルトメニューもありますが、断然お得なのが食べ飲み放題のコース。ラム、野菜、ライス、キムチが食べ放題で、さらに生ビール含む25種ほどの飲み放題も付いています。

「大関コース4480円」「横綱コース4980円」とありますが、絶対「横綱コース」を頼んだ方が良いです。社長にそう言えと言われたからではなく、横綱には通常のアイスランドシープの生ラムに加え、「味付ジンギスカン」も食べられるからです。
今までケチって大関にしていた人、一度味付の方も食べてみてください。500円の差なんて全く惜しくないですよ。
てかアイスランドシープって何?
と思われるかもしれません。実は日本で食べている輸入羊肉のほとんどはオーストラリア産かニュージーランド産。残りの1%はアイスランドなどですが、アイスランドは自然大国なため、農薬や殺虫剤の使用がかなり厳格です。
アイスランドで安全に育てられた生後1年未満の子羊のラム肉は、柔らかく癖がなく、非常に希少価値が高いためほとんど流通していません。その日本に輸入されるアイスランドシープのほとんどを「ゆきだるま」で消費しているそうです(!)
基本セットはこちらです。写真は「横綱」で、生ラムと味付けラムの2種。これにライスと飲み放題のドリンク、食後のシャーベットも付きます。やっすう!
厚切りステーキか!
こちらが味付けなしの生ラム。ぶあつー!4cmぐらいあります。ジンギスカンってこんなぶつ切り肉でしたっけ?
社長の中尾浩規さんが直々に焼いてくれました。いかにも旨いジンギスカン食わせてくれそうな見た目ですよね。
中尾さんは大相撲の幕内力士として活躍。引退後、「やり切ったなー」と道を歩いていたところ、ジンギスカン屋の「ゆきだるま」に出会い、「食べて体に電流が走るほど感激した」そう。その後、閉店を考えていた先代に申し出て店を継いだのだとか。

モヤシの上にてんこ盛りのっけて焼くこと少々。
1個でも厚切りステーキ並のボリューム感です。
まずは独自配合のハーブ塩で。あっさりしつつ噛むと肉汁が溢れ、羊の脂って塩と合うなあと感動させられます。

いや〜しかしお子ちゃまの私としてはタレが好きです。醤油ベースにフルーツの果汁などを加えたさっぱり味ですが、社長曰く「普通はもっと濃厚だけど、あれは臭みを消すため。うちは臭くないからあっさりめのタレなんです」。なるほどー。
甘みもあってちょっとピリ辛で、具だくさんのタレで食べるとまたラムの旨みが引き立ちます。

味付ラムは底なしに柔らかかった
そして本丸の味付ラムを焼きます!
焼きまくれ〜!
羊たちが早く食べて〜と誘惑します。尋常じゃないほどいい匂いがします。脂が流れ出ます。モヤシが肉汁で蒸し焼きされています。
匂いが画面から伝わってくることでしょう。写真見ながら書いてる自分もまた食べたいわ!
醤油ベースのオリジナルタレにじっくり漬け込んであり、何もつけずに食べても旨い。

見てくださいこのオイルにコーティングされてキラキラ光る肉を!口の中でとろけないわけがない!
甘めのタレが染み込んでいて、超絶柔らかいです。先ほどの通常ラムと全く違う味わいです。まるで飲めるラム!
ラム丼だよー!
ラムオンザライスしてみました!
もう禁忌レベルですね。ちなみにここのキムチもめっちゃ旨いです。「いろいろ試した中から厳選したから!」と社長。
味付けラムの肉巻き。この世のものとは思えない贅沢な一口です。
そしてユニークなのが締めの麺。ラムの肉汁がたっぷり入ったタレに、なんとほうじ茶を注ぎます。
お茶漬け的なさっぱり感が出ますね。
んで、麺はちぢれ麺。北海道で誰もが知っている西山製麺の多加水熟成麺です。つけ麺風にいただきます。

中尾社長から「これも撮って!」と懇願されたのがこちら。なんと、アイスランドの大使と農林水産大臣とアイスランドラム協会会長から表彰された時の写真だそうですよー!
よくわからないけどとにかくすごーい!

食べ放題は120分(大関コースは90分)。あまりの幸せな時間に、店を出ると「あれは夢だったんじゃないか?」と毎回思います。でも夢じゃない証拠に、服についたジンギスカンの香りは3日間ほど消えません。
ジンギスカンは蒸すものだ!モンゴル人店主がこだわる南部鉄器のジンギスカン『北海道ジンギスカン石原本店』
対してこちらは、ものすごい辺鄙な場所にあるにもかかわらず連日大賑わいの『北海道ジンギスカン石原本店』。本店とありますがここしかありません。

錦糸町駅からも両国駅からも本所吾妻橋駅からも遠い、最寄駅なしと言っても良いほどアクセス不便です。
こちらもジンギスカンが食べ放題、しかも3000円! プラス1000円で飲み放題が付きます。やっすぅ!
ジンギスカンも券売機で買う時代になりました
なんと新手の食券制、店内はセルフです。カウンターまで肉をオーダーしに行き、自分で取ってくるスタイルです。だから店員は店主のツェレンドルジさん一人です。
南部鉄器の特製鍋に秘密があり
この店のこだわりは「鍋」。見てください、なんか変な形でしょ?周りに溝があって、真ん中が平らになっています。通常の帽子型とは違いますね。

それもそのはず、こちらの店、「ジンギスカンは蒸し料理です」がポリシー。その秘密はおいおい紹介するにして、メニューの説明。
3000円と4500円があり、こちらも肉が違います。4500円は特上ラム肩ロース食べ放題。野菜セット、ご飯、締めのラーメンも含まれます。
オーストラリア産の柔らかく臭みのないラム肉を厳選。ただでさえ柔らかく臭みがないのに、特上はさらに脂のりがよく旨みのある部位だそうな。撮影用に両方用意してもらいました。黒いお皿が特上です。サシの入り方がもう違いますね!
まずは周りの溝に野菜を入れ、鉄瓶で水を加えて蒸し焼きに。細部まで南部鉄器にこだわっていますね。
肉汁の洪水やー!
次に真ん中の平べったい部分でラム肉を焼きます。見えますか?この肉汁!ジャージャーと音を立てて肉汁が溢れ出し、周りの溝に流れ込んで野菜を肉汁で蒸し上げていきます。

旨タレ、モンゴル岩塩、カレー塩、唐辛子と調味料が揃っていますが、おすすめはモンゴル岩塩。日本の塩のように刺激がなく、塩だけでも酒のつまみになりそうなほどまろやかです。
醤油ベースの旨タレでいただきます。やわらか〜!通常のラム肉ですらこの肉汁とやわらかさなのに、特上なんか食べたらどうかしちゃうんじゃないかしら。
と思いながら特上を焼きます。
南部鉄器の熱伝導の良さで、すぐにじわじわと肉汁が流れ出してきます。野菜に乗せて肉汁のスコールを浴びせてやるのがポイントです。蒸されろ〜!
ラムの脂身ってこんなに旨いのか
生でも食べられるぐらいの鮮度なので、少しレアなぐらいがおすすめ。
特上、サシの脂がジュワーっととろけて、口中にあふれます。言っちゃ悪いけど普通のラムとは別物、別の肉です!
羊って実はどの肉よりも美味しいんじゃないか?と思えてきます。
「特上はあまりにも臭みがなさすぎて、ガチな羊好きには物足りないって言われることもあります」と店主。だろうなー。
ラムで米を埋め尽くす!
禁断のアレを作りました。そう、ラム丼です。まずは普通の肉で塩ラム丼。脂がたっぷり染み込んだご飯がめちゃめちゃ旨い。
食べ盛りには1杯じゃ足りないので、ご飯をお代わりして旨タレ特上ラム丼。そして肉巻き祭りです。
人類はこの一口を食べるために生まれてきたのではないだろうか。とまで思えてしまうほど美味です。
その幸せの余韻を、ラーメンで!
ラムを焼いた肉汁が全て溝に入っているので、そこに水を注いで麺を投入。ラム出汁ラーメンを作ります。ラーメンは北海道の黄色い玉子麺。真っ黄色でぶっといです。

このお店、何が凄いってジンギスカン食べ放題が一人前からでも注文できるんです。だから近所のおひとり様が多いのだとか。てか私も一人で行くし!
さて、2大決戦というからには勝敗をつけなくてはなりませんが、正直どちらも別物なので、全く同じ土俵では戦えません!別に店主に忖度しているわけではなく。
『ゆきだるま 』はアイスランドシープという国内唯一のラム肉を使い、美味しい煙にまみれて食いまくる“正統派ジンギスカン”。
『北海道ジンギスカン』は店に換気扇が一切ない、特製南部鉄器の鍋で蒸し焼きにする“ネオスタイルジンギスカン”。
ぜひ2店どちらも食べ比べて、あなたの舌でジャッジしてください。 って、ベタな締め方ですいませ〜ん!
ちなみにどちらの店にも共通していたのは、「取材時に店主も一緒に食べちゃう」ってとこ! やはり自分の店のジンギスカンを愛しているんですね。
店舗情報
■ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋(本店)
住所:東京都中野区中野3-33-20 中野五差路ビル 2F アクセス:中野駅南口より徒歩2分 電話:03-3380-8321 営業時間:17:00~24:00 定休日:なし ほか、「中野部屋 はなれ」「本八幡部屋」「両国部屋」「亀戸部屋」あり
『ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋(本店)』のHPはコチラ
■北海道ジンギスカン 石原本店
住所:東京都墨田区石原2-15-9 アクセス:都営地下鉄大江戸線両国駅徒歩7分 、都営地下鉄浅草線本所吾妻駅徒歩7分、JR総武線両国駅徒歩10分 電話:050-5595-0703 営業時間:17:00~22:30(L.O.22:00) 定休日:第2・第4火曜日
取材・文・写真:猫田しげる
1979年北海道函館市生まれ。京都のタウン誌、北海道の新聞地域面、東京の街歩き雑誌、旅行本などの編集・ライター業に従事。2019年4月から拠点を札幌に移動し、ウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。