拉致問題を政治利用 安倍総理が金正恩と会談する「本当の狙い」

条件なしで金正恩との直接会談に臨むと言い出して…

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5月6日、トランプ大統領と電話で協議した後、安倍首相は「金委員長と条件をつけずに向き合う」と話した

「これまで安倍首相は『拉致問題に全力を尽くしていく』と言っていました。でも実際は何一つ進展していない。2月にはトランプ米大統領と北朝鮮情勢について電話で意見交換したと自慢気に話していましたが、結局アメリカ頼みであり、日本の独自外交などどこにもありません。今回の日朝首脳会談に向けた意思表明も、参院選に向けた『言葉だけ』のアピールだと疑われても仕方ないですね」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

5月6日、安倍晋三首相(64)が突如として、「北朝鮮との直接交渉」を目指すとの決意表明を行った。拉致問題の進展がなければ一切の協議に応じず、というこれまでの大方針を翻し、金正恩・朝鮮労働党委員長(35)と「条件なし」の首脳会談に臨むというのだ。

「自身の政治課題である拉致問題を進展させ、政治家としての”遺産”にしたいのでしょう。首相は外交手腕に自信を持ってきました。これまでも、”モリカケ問題”などで支持率が落ちると、外交・外遊をして支持率を回復させてきた。ただし、今回は大きな賭けです。直接会う以上、確実な成果が求められます。何もなければ、安倍政権には大ダメージになる」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

安倍首相の方針転換の裏には、北朝鮮の深刻な国内事情がある。経済制裁を受けている北朝鮮では食糧事情が悪化し、国連の調査では人口の4割以上が栄養失調状態に陥っているとされる。

「金委員長としては、拉致問題を進展させることで経済支援を引き出したいという思惑がある」(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)

北朝鮮は米国との交渉に失敗し、中国・ロシアからも支援を引き出せない状況にある。安倍首相は、今なら金正恩氏を御せると考え、また、拉致問題を進展させられれば支持率アップに繋がると見て、唐突な方針転換に踏み切ったのだろう。

だが北朝鮮は、周知のように決して一筋縄ではいかない相手だ。龍谷大学社会学部の李相哲教授はこう警告する。

「支援を受けた後に態度を変え、約束を守らないのが北朝鮮の常套手段です。『拉致問題の話し合いに応じる』と言われただけで支援に踏み切るようなことは避けなければならない。北朝鮮は、安倍首相が選挙前の支持率アップを狙っていることも見透かしています。焦って会ったとしても相手の術中にハマるだけです」

カネだけむしり取られて問題は一向に解決しない……日本政府は過去数十年にわたり、同じ過ちを繰り返してきた。首相はそれを承知の上で、またしても拉致問題を外交の道具にしようとしている。

「安倍政権の外交成果は常に見せかけだけで、結局は何も得られていない。ロシアとの北方領土問題でも四島一括返還から二島先行に主張をトーンダウンさせ、韓国との関係は最悪、アメリカには防衛装備品を”爆買い”させられるなど手下のように扱われている。拉致問題に取り組む姿勢を見せて政権浮揚を目論んでいますが、結局、北朝鮮に舐められて何の成果も得られないという結末が予想されます」(ジャーナリスト・青木理氏)

拉致被害者と家族の気持ちを踏みにじるような”政治利用”は、断じて許されない。

5月4日に北朝鮮は飛翔体を発射。韓国やアメリカは北朝鮮との対話気運を保持するために批判を避けた
3月6日、安倍首相と面会した拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表ら

『FRIDAY』2019年5月24日号より

  • 写真時事通信社

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