元横綱・日馬富士に殴られた元貴ノ岩をモンゴルの大草原で発見!

「貴乃花親方には感謝だけっす」

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モンゴルを象徴するような、青空が広がる大草原の下で馬と並び立つ大柄の男がいる。

男の名は、アディヤ・バーサンドルジ(29)。一昨年秋、元横綱・日馬富士の暴行事件によって一躍時の人となったが、その約1年後、今度は自身が付け人に暴力を振るい、引退を余儀なくされた元幕内力士・貴ノ岩その人である。

兄が経営する牧場を手伝う貴ノ岩。交際中の彼女と近く結婚する予定で、モンゴルに一軒家も建設中だという

「モンゴルに帰ってきたのは、今年の3月1日です。兄が首都・ウランバートルから60㎞ほど郊外にある『セレゲレン牧場』の経営をしていて、いまはその手伝いをしています。毎朝、8時に起きて馬や牛の様子を見るのが日課。この前も、牛の難産があって、自ら子牛を取り出しましたよ(笑)」

貴ノ岩の家族は牧場の他に、ラジオ局の経営を行っている。帰国後すぐに実家の手伝いを始めたという貴ノ岩だが、思いのほか現在の生活を満喫しているというのだ。

「日本にいる時は、相撲以外に当てられる時間がほとんどなかった。それが今は仕事を経験したり、免許をとったり、彼女とデートしたり、新しい生活を楽しんでいます。車の運転は、ペーパードライバーだから何度かブツけてしまっているけどね(笑)。ただ、そういう経験も新鮮だった。最近は料理にもハマっていて、ステーキやスープを自炊したりもする。スープの味には自信があるんだ」

帰国後に購入したトヨタの「ランドクルーザー200」で話を聞かせてくれた元貴ノ岩

日本で活躍したモンゴル人力士たちは母国で“英雄”として讃えられる。元横綱・朝青龍を筆頭に、知名度を生かして事業を起こす者も多い。なぜ、貴ノ岩は実家の手伝いをして暮らしているのか。

「日馬富士関に対して訴訟を起こしたことで、モンゴル中から大バッシングされまして……。『横綱に失礼だ』『生意気』『非国民が』といった書き込みがネットに溢れたんです。モンゴルでもいろんな人からそういう声をかけられた。この状況で何か始めるのはなかなか大変で……」

モンゴル生活の2ヵ月間で、現役時代に150キロあった体重は25キロも激減――。帰国後数日間は、バッシングもありなかなか飯も喉を通らなかったという。

日本のメディアの発言歪曲や、誇大表現にも心を痛めた。「今思い返してもやっぱり辛かった」という貴ノ岩だが、母国に戻り家族のサポートのもと、次第に精気を取り戻していった。

「映画館に行ったり、趣味のカラオケをするなど、力士時代はなかなかできなかったことができるようになり、気分転換になった。映画はラブストーリーやアクション映画が好きで、最近観た中では、『アベンジャーズ』が良かったですね。カラオケではBEGINやコブクロなど、日本の歌を歌います。そして、やっぱり家族やモンゴルの力士が、『批判や厳しい言葉は気にするな』と言ってくれたことが僕の中で支えになった」

牧場経営は順調で、月給は前頭時代(約150万円)と同程度あるという。現在は兄の家に居候中の身だというが、ずっと兄の世話になっているわけにはいかないと、貴ノ岩は考えているようだ。

ステーキを食べながら取材に応じてくれた

7月にはウランバートルの中心部に100坪の豪邸も建設予定。1500万円を費やした新居では、結婚を予定している彼女との同棲生活が始まるかもしれない。そのためにも、力士時代のような派手な生活ではなく“食べていくために”堅実に目の前の仕事をしてこなしていきたいのだという。

「具体的なビジョンはまだありませんが、相撲を学びたい子供たちに、自分が知っていることを教える機会はつくりたいと思っています。日馬富士関からも、昨年秋に設立した『新モンゴル日馬富士学園』で相撲を教えてくれないか、と誘われていますしね。まだ一度も行けていませんが、相撲をやりたい子供達のためにできることがあるなら協力したい。日本と関わることもあるかもしれない」

モンゴル帰国後は、日本の相撲関係者からの連絡は来ていないという。具体的なオファーも届いていない。それでも、相撲や13年間過ごした日本への想いは今も持ち続けている。

「日本のニュースはインターネットでチェックしている。相撲に関しても、ニュースは確認しています。最近、日本では元号が代わり、平成から令和になりましたね。僕が過ごした平成が終わり、新しい時代が始まるのか、と感慨深いですよ」

プロレス参戦やモンゴル相撲への”転身”の可能についても、「やらない、絶対やらない。プライドを持って相撲をやってきたし、それだけで良い。他のことをやるのは自分の中で恥ずかしいこと。オファーがあっても断るよ」とバッサリだった。モンゴルのテレビや講演会などで”副収入”を稼ぐ予定もないとのことだ。

日本では5月10日、元貴乃花親方が、相撲道を通じて青少年の育成などを目指す、一般社団法人「貴乃花道場」を設立。

高校生のころに来日して以来、貴乃花部屋で厳しい稽古を受けてきた貴ノ岩は、元親方への思いをこう語った。

「貴乃花親方には、感謝だけっす。道場設立に関して、親方から何か話があったわけではありません。でも、もし手伝えることがあるのなら、ぜひ『道場』でご一緒したいです」

力士はあまり喋るものではない――。元貴乃花親方の教えを忠実に守ってきたが、改めて引退後のその胸中をこう明かす。

「自分なりに日本でそれなりに活躍できたという自負はある。僕の相撲人生や日本での生活の中では本当にいろんなことがありましたが、それでも後悔はほとんどない。もし生まれ変わっても、また相撲はやりたいと思いますね。それくらい日本での相撲人生に悔いはないです。日本と貴乃花親方、応援してくれたファンには心から感謝を伝えたいです」

モンゴルより愛をこめて。元弟子の願いは、師匠へ届くか。

  • 写真森本高史

Photo Gallary3

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