「何食べ」の二人も? ゲイカップルは皆、同性婚を望むのか

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今クール話題のテレ東系ドラマ『きのう何食べた?』では、ゲイカップルのシロさんとケンジが同棲し、結婚こそしていないものの男女のカップルと同じように仲良く暮らしている。前回の話では、友人のゲイカップルが、相続問題を弁護士であるシロさんに相談しに訪れるなど、LGBTへの認知と理解が進んできたとはいえ、まだまだ法の面では問題が多いことを感じざるを得ない。そこで、今回のゲイ紳士座談会のテーマはこちら。

こんにちは。G(ゲイ)執筆家のオオタサダヲとG友達4人との井戸端会議をお届けします。今回のテーマは、ちょっと真面目に「ゲイと法律」。

左から

仲間亮平 38歳 飲食チェーン営業職

藤木孝 47歳 金融アナリスト

山田和俊 42歳 WEBクリエイティブデザイナー

大林陽介 43歳 内科医

「同性婚合法化」のニュースを見る時の小さな違和感

――誰かを大事にすることで、自分を豊かに感じられたらと願う、愛に生きたい僕らGおじさんですが(笑)、愛……というところでは、みんなもう長年にわたってのパートナーがいるわけだけど、結婚について考えたりすることはある?

一同 んーーーー。

――「同性婚合法化」のニュースは目にしたりするよね?

孝 うん……正直、少しだけ、なにか違和感を覚えるんだよね。なんでだろう、自分たちの問題を取り上げてくれてるのにさ。

藤木孝(47歳 金融アナリスト) 海外の大学を卒業後、東京で外資系証券会社に勤務。大柄で体格が良く、歯に衣着せぬ物言いで世論を語るため一見強面だが、根っからのお人好し。皆から愛されている。山田和俊と10年以上のパートナー関係

亮平 愛し合う者同士が結婚するのを認めてもらうのは、素直に嬉しいよ。

和俊 Gである以上、ずっと困難だと思ってたことがまさか、世間で取り沙汰されてるなんてね……。話題にしてくれてありがたい。

山田和俊(42歳 WEBクリエイティブデザイナー) 温厚で野生児。犬と自然とデニムを愛する無類の運動好きで、絵に描いたようなイケメン。年齢を重ねるごとに深まる、職場でのG疑惑の噂に心折れそう。パートナーは藤木孝(47歳 金融アナリスト)

亮平 だけど、俺らのまわりではあまり話題にのぼらないね。

陽介 そうね。結婚式を挙げてる画像が多く報じられてるってのもあるんじゃないかしら。タキシード同士やウエディングドレス同士のふたりの姿が記事に載っているけど、そこにリアルを感じにくいかもしれない。

――どういうことだろ?

陽介 ほとんどのGは周りにカミングアウトをしない人生の選択をしてると思うのよね。だから、ニュースで目にする二人の晴れ姿って、自分事としては想像がつかないもん。

大林陽介(43歳 内科医) 40歳を機にパートナーと新居を構え、内科クリニックを開業。経営が軌道に乗るまではと、週末も休みなく働きづめ。バレーボールで活躍した高校時代のあだ名は“素子”。本人は否定するも、すでにGバレしていたと推測

孝 自分たち世間一般のGの当事者ってのは、至って平凡な人が圧倒的に多いと思う。仕事場でもプライベートでも、セクシュアリティを公に見せる場所なんてほとんどないから、皆の前でお披露目するのはなかなかハードルが高いかな。

和俊 確かに周りにはいないね。だから「同性婚合法化」っていう身近な問題を、どこか遠くに感じてるのかな。

亮平 たださ、LGBTなんて言葉を日々の暮らしの中で垣間見るようになれたのは、なんやかんや、いろんなメディアで取り沙汰される、そういう人たちのおかげだよ。

仲間亮平(38歳 飲食チェーン営業職) バイタリティー溢れる見た目とはうらはらに、文字を読むのが大好きな読書家。こなれたセンスのファッションには、仲間うちから定評がある。黙っていればLDHな風貌だが、天然のボケにいつも笑わされる

孝 それは絶対にそう。だからせっかく、今というタイミングで同性婚の問題提起をしてくれるのなら、姿なきリアルの声を届けてほしいんだ。

Gでありながら「異性婚」を選ぶのもひとつの選択肢

和俊 リアルっていえば、Gの人達にとっての結婚って単純ではなく、いろんなカタチもあるんじゃないかな。同性カップルの結婚式はもちろんひとつの愛のカタチだけど、自分の家の事情がきっかけで始まる結婚も、実は多いと思うんだよね。

陽介 私の友達が、このあいだ実家の工場を継がなきゃいけなくて、異性婚をしたんだわ。ただ、奥さんにはGだって告白をして、「それでもいいよ」って言ってもらえたらしいの。今はお子さんがいて「幸せだ」って言ってた。私は親の後を継がない選択しかできなかったから、結婚って、本当にいろんなカタチがあるんだなって実感したの。

孝 同性婚であろうとなかろうと、どのカタチをとったとしても、信念をもって結びついた二人が幸せであればいいってことだね。

――じゃあ今、改めて同性婚についてどう思う? 孝と和俊は実際どう? ずっと仲良しでいるけど。

和俊 んー、籍を入れたいと思ったことは実はないんだ。

孝 自分も。大事な大事なパートナーだとは思ってるけど、お互い経済的に自立をしてると、必要を感じないというか。

――男同士って、それぞれの仕事を応援してやりたい……って気持ちは常にあるけど「こいつを養っていかなきゃ」っていう感覚はあまり起きないのかな?

亮平 確かに子供もいないから、扶養するって気持ちは特にないのかも。あ、和俊と孝は別々に暮らしてるんだよね?

和俊 うん。同居が嫌なわけじゃないよ。孝が前にマンションを買おうとした時に、一緒に部屋を見に行ってたらさ、なんか一緒に住むってことを意識したりしたんだけど……いざ引っ越しの段になってそれは断念した。

――どうして?

和俊 もう本やら植物やら孝の荷物が多すぎてさ。図書館と植物園ができそうで(笑)、あれ、自分のスペースある!? って……。

陽介 孝なんていつも似たような服ばっか着てるんだから、こっそり処理しちゃえばよかったのよ。

孝 ひどい(笑)

――今はお互い一人暮らしで、それぞれの家を行き来してるわけだ。

孝 そうだね。週末はどちらかの家にいる。

陽介 一緒に住もうとは思わないのかしら?

孝 タイミングが合えばいつかね……二人でいることは楽しいし。

和俊 どっちかが体調を崩したりしたら、そのときは別々に暮らしてることがネックにはなると思うけど、今はそういう問題に直面してないから、住まいのことも結婚についても意識しないってのがあるのかな。

陽介 ふたりとも働き盛りだからね。うちは彼氏がちょっと年上だから、実はこの頃、もしもの事とか考えたりするようになったのよ。大ファンだった同世代の俳優の訃報を目にしたりすると、死ってものを身近に感じるようになったし。

「当たり前」を得るために、僕らには何かと準備が必要

――うん……確実に歳を取ってきたんだなって最近は身に詰まされるね。

陽介 彼氏がこの先、もしかしたら何かあるのかなーって思うと、なにかやっておかなきゃいけないことがあるのかしらってさ。もちろん私だって、明日のことはわからないんだし。

亮平 そうだね。健康面もだけど、天災だっていつ起きるかわからないしね。

陽介 うん。それでね、一番気がかりなのは、事故や病気で彼氏が倒れたときのこと。病院の集中治療室に運ばれたときってさ、面会や治療内容の説明は通常、家族のみが認められてるわよね?

亮平 あー、俺ら法の上では繋がってないもんね。その問題は痛い。

和俊 想像したらめちゃめちゃ怖いな。

陽介 運び込まれた彼氏が心配で堪らないからって、そんな緊急事態にご家族の方に「パートナーなんです、会わせてください!」って告白は無理よね。いや、できないわ。

孝 みんなが辛くて苦しんでるときに、自分の気持ちを優先してるような罪悪感があるよね。“親しくしてる友達です”っていう自己紹介が精一杯だな。

和俊 自分たちの関係性を、ご家族にあらかじめ知っておいてもらえたらいいけど……なかなかそのカミングアウトもハードルが高い。

孝 でもさ、この問題ってたぶん自分たちだけじゃないよ。男女間でも長年一緒にいながら事情を抱えてる人だっているだろうしさ。

――家族以外の場合、前もって本人がパートナーに委任する書類を作っておけば大丈夫なんて話は聞くけど……。僕らには何かと準備が必要なんだね。

陽介 うちはさ、他にも住居のことで何か書面を用意しなきゃいけない案件があるの。

――陽介はパートナーと、一軒家に住んでるよね?

陽介 そう。住む家を二人で決めて購入したときに、共同名義にしたかったんだけど同性カップルでは法的にはできなかったのね。

亮平 そこも悩ましい問題だ。

陽介 うん、単純に二人の財産にしたかったんだけどムリで……。でもその頃は、一緒に住むって感情に押されて“えい!”って買っちゃった(笑)。だからとりあえず自分の名義にしておいて、旦那から家賃をもらうカタチを取ったわ。

――そこに文面が必要ってこと?

陽介 そうそう。まず私がある日突然この世からいなくなったら、旦那には相続の権利が一切ないのね。私の親族に権利がいってしまうの。だから、私と旦那の間で一旦賃借の書類を作っておいて、さらに遺言書を作っておかなきゃなの。

和俊 遺産相続の対策か。

陽介 そう。異性婚ならね、パートナー亡き後に財産をもらうのは当たり前なんだけど。私たちは養子縁組を結ぶとか、公正証書(遺言書)を作るとかして、相手を守っていくしかないわよね。

――ちゃんと考えてるね。

陽介 ううん、家を購入した時は勢いだったから、後から慌てて考えたんだけどね(笑)。

亮平 俺のところも見習わなきゃ。

陽介 それから最近は、姉に旦那のことを紹介してるの。

和俊 カミングアウトってこと?

陽介 そこまでじゃなくて、同居してる旦那の痕跡を確かに残しておきたいから、姉と食事会してるの。

孝 まあ、バレてるよ(笑)

陽介 否めないわ(笑)。父親はハードル高いから、まずはお姉ちゃんと旦那が繋がれたらなって思って。

亮平 社会との繋がりは生命線だね。俺らは、ゲイ・コミュニティだけで生きていけるわけではない。

――確かに、結婚してる男女からすればすべて当たり前のものが、僕らにはその権利すらないんだって実感はさせられるね。

亮平 だけど、結婚しか解決法はないのかな。不利益を被らない制度さえあれば、それだけで十分助かるんだけど。

孝 不条理な状況で困ってるのは、自分たちGだけじゃないと思うしね。異性同士でも、離婚した後の仲の良い夫婦や、同棲カップルとかも。

違和感の正体は、腫れ物扱いに繋がる「承認欲求」

――確かに。LGBTだけの悩みじゃないよね。

孝 相続にしろ病院での面会にしろ、親族じゃなくても“それに等しい人”っていう申請で同意をもらえたら、Gだけじゃなく、いろんな人たちに応用が効くんじゃないかな。

陽介 LGBTとして細かく承認を得ようとしなくてもね。

亮平 そっか、俺ら確かに悩みは抱えてるけど、たまにLGBTの記事を読むと、どこか特殊な自分たちをわかってほしいっていう「承認欲求」みたいなものに違和感を感じてたんだ。腫れ物扱いになってない? って。

和俊 なかなか難しいバランスだよ。最近のテレビの過剰なテロップにも似てる気がする。少数派の人達を掘り下げて考慮してみたら、いつの間にかCMの画面が注意書きの文字だらけになってない?

――確かに。マイノリティに「配慮」したつもりが、「対策」みたいになってるよね。

孝 いや、別にさ、人が何かを嫌いでもそれは全く問題ないんだよ。権利を相手に認めてあげられるのなら全然。例えるなら、自分の嫌いな食べ物をメニューに入れたレストランを私は認めない……みたいな考え方がおかしいだけ。

陽介 そもそも法って、人々が幸せになることを守るためにあるんでしょ? LGBTだけでなく、誰もが守られなきゃ切ないわよ。

孝 そこらへんが、「同性婚合法化」ニュースに見る、ちょっとした違和感ってことなのかもね。

――情報が発達して、さまざまなマイノリティの存在に気づけたことは、社会の成熟がもたらした進化だと思うけど、注意書きだらけのテレビの画面を見ながら、“そんなにテロップを入れなくてもわかってるから大丈夫!”と言ってくれる大人が、今の日本にはどれくらいいるんだろう。

  • 取材・文オオタサダヲイラストますだみく

Photo Gallary5

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