元NHK看板アナウンサー三宅民夫 定年後も大忙しの理由とは | FRIDAYデジタル

元NHK看板アナウンサー三宅民夫 定年後も大忙しの理由とは

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NHKラジオ第1「三宅民夫のマイあさ!」(月〜金 6:40〜8:28)のため、マイクに向かう。「声だけだからこそ思いが伝わる気がします」
NHKラジオ第1「三宅民夫のマイあさ!」(月〜金 6:40〜8:28)のため、マイクに向かう。「声だけだからこそ思いが伝わる気がします」

「NHKのIDカードを返納して、局に受け付けなしでは入れなくなったときには、寂しかった。卒業しちゃったんだなって、しみじみ思いましたね」

おなじみの笑顔でこう話すのは、”NHKの顔”三宅民夫アナウンサー(66)だ。紅白の司会や「おはよう日本」などを担当した三宅アナは’17年に定年退職し、現在はフリー。とはいえ、現在でも定年したことを感じさせないほどの活躍ぶりで、この春からは”冠番組”まで始まった。故郷・愛知県の民放で仕事をしたり、立命館大学で教鞭を執るなど、多忙な日々を送っている。

「定年後はNHKの仕事以外もチャレンジしたほうが幅ができるかな、と思い、いくつか新しいことをはじめました。私はサラリーマン時代から局支給の携帯電話ではなくて、自前の電話を使っていました。おかげで電話番号を替えることもなく、そこに新しい仕事の連絡がきたりして、つながりが広がっています。自治会のシンポジウムを手伝って下さいという話もありました。

出身地であるNHK名古屋放送局の仕事もさせてもらっています。やっぱり故郷の為になにか貢献できればという気持ちがあるんです。東海テレビでドキュメンタリーのお仕事もさせてもらいました。

初めて民放の仕事をしてみてNHKと違うなと思ったのは、大きな枠組みが記されているだけの台本だったこと。現場に行っても、取材対象者に対してキューが出たりとか、立ち位置を決めたりということがありませんでした。自然な感じで会話ができたら、カメラマンもたとえ取材相手が逆光の位置にいてもカメラを回し続けますし、ディレクターもその流れに任せるんですね。

NHKのように伝えるべきことがあり、それをはっきり伝える放送局も大事ですが、自然に生まれてくるものを重視して、そこから大事なものを編集で見出していくという方法論も面白いと思いました。今まで知らなかった世界を知ることができるのは、すごく興味深いことです」

写真とラジオの共通点

4月からは、古巣のNHKで新番組が始まった。ただし、テレビでなくて、ラジオである。『三宅民夫のマイあさ!』のため、起床は午前4時だ。

「実はこの10年、風邪をひいたことがなかったんですけど、4月にラジオをはじめて、1週間ほどで早速、喉が痛くなってしまって。60歳を越えてから抵抗力が落ちてきたのを痛感して、とにかく睡眠を確保しようと決めています。

ただ、次の日の準備とかで夜の時間は飛ぶように過ぎていきますね。例えば、『三宅民夫の真剣勝負!』というさまざまな分野の有識者に話を聞くコーナーがあります。このインタビューは何がポイントかなとか、寝る時に考え始めて心配になってきて、そうするとだんだん眠気がなくなってきてしまう。66歳にもなると、いまさら失敗できないぞって、プレッシャーもあるかもしれません」

三宅アナの持論は、人間の声には木管楽器系と金管楽器系があるということ。

「もこもことした柔らかい木管系と、どんなに賑やかな場所でもその人の声が届いていく金管系。アナウンサーはだいたい金管系ですが、私は珍しく木管系です。その声質で悩んだこともありましたが、逆にお褒めの言葉が多かったのが『ラジオ深夜便』を担当していた時でした」

’90年から続く『ラジオ深夜便』は、クラシックなどの音楽を流し、ベテランアナウンサーが落ち着いた声で淡々と語る「静かな番組」の代名詞的存在だ。

「三宅さんの声は眠りにつくのに邪魔にならない、というのがその内容でした。そんな私が、朝のラジオの担当になったんだから大変です。せっかく起きてきたリスナーを眠くしちゃったらいけませんから(笑)。うるさくなりすぎず、静かにもなりすぎず、心地よい爽やかな声とは? といまも試行錯誤中です」

土日もほとんど休みがないという三宅アナ。それでも「定年になったからこそ、気がついたことを大切にしたい」と語る。

「サラリーマンの時には気がつかなかったんですが、”打ち合わせ”って、とても面白い、やりがいのあることだったんですね。ディスカッションするのは大変なことですが、それによって番組を慈しむ気持ちが生まれる。フリーになって収録直前に台本を渡されるだけ、ということが増えていましたが、自分のラジオ番組のため、短いながらも打ち合わせが復活し、嬉しい気持ちでいっぱいです。

テレビは、人々にたくさんの情報を伝えなければいけない。様々な情報を、知恵を絞って凝縮して入れていく媒体です。

でも動画全盛の時代に一枚の写真が強烈さをもつことがあるように、ラジオは、人間の思いや事象の本質を、それを必要としている方に、届けることができる。簡単なことではないですが、がんばりたいなと思っています」

三宅アナの元気の素・愛犬の”いちろー”
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本誌未掲載カット 元NHK看板アナウンサー三宅民夫 定年後も大忙しの理由とは
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『FRIDAY』2019年5月31日号より

  • 撮影小檜山毅彦

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