「気づいたら自分が交通事故加害者」を回避する5つの対応策

大津発保育園児2名死亡 続発する悲劇を止めろ!

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事故発生から4日後の5月12日。園児2人が亡くなった事故現場では、僧侶や近隣住民が犠牲者を弔(とむら)い花をたむけた

「事故が起きたと聞き現場に行くと、悲惨な光景が広がっていました。車が突っ込みぐにゃぐにゃになった交差点近くのフェンスに、何人もの保育園児が血を流しながらグッタリした様子でもたれかかっていたんです。その内の一人の流血をタオルで拭きながら『大丈夫?』と声をかけると、『ママ、ママ……』と言いながら意識が薄れていった。すぐに救急車で搬送されましたが、その後どうなったのかわかりません。見通しのいい交差点なので、あんな悲惨な事故が起きるとはいまだに信じられない……」

滋賀県内に住む50代主婦が語る。

悲劇の衝撃が、いまだに収まらない。5月8日午前10時過ぎ、同県大津市の交差点で右折しようとした乗用車と直進する軽自動車が衝突。弾みで軽自動車が信号待ちをしていた保育園児や保育士16人の列に突っ込み、園児2人が亡くなり13人が重軽傷を負ったのだ。安全確認が不十分だったとして、右折車を運転していた新立(しんたて)文子容疑者(52)が逮捕された。

「買い物から帰る途中の事故でした。『信号は青だったが前をよく見ていなかった』と供述しています。新立容疑者は幼い子どもを2人も殺してしまったことで、相当取り乱しているようです。取り調べに対しては、『申し訳ございません……』と言って号泣。会話にならないこともあるそうです」(全国紙社会部記者)

警察庁によると、今年に入り1095人が交通事故で命を落としている(5月13日現在)。幼い生命を奪った容疑者に対する怒りはこみ上げるが、一方でちょっとした不注意で自分自身が加害者となるリスクは誰にでもある。アクセルとブレーキを踏み間違える事故は頻発している。事故を防ぐために、どんなシステムが有効だろうか。以下、主な対応策を紹介する(下の表参照)。

アクセルとブレーキが一つに

画期的な装置がある。熊本県の「ナルセ機材」が開発した、アクセルとブレーキが一つになった「ワンペダル」だ。社長の鳴瀬益幸氏が機能を説明する。

「ペダルを踏むとブレーキがかかり、踵(かかと)を支点にしてつま先を右に曲げるとアクセルがかかります。ペダルの右側にあるレバーが傾きアクセルがかかるのです。アクセルをかけたままペダルを踏みこむと、クラッチが外れアクセルがきかなくなる。踏めば、ブレーキだけがかかる構造になっているんです。事故の最大の要因である、アクセルとブレーキの踏み間違えは絶対に起きません。’14年ごろまでは年間の注文が数十台ペースでしたが、ここ4~5年は100台を超えています。今年は事故が多発し、ゴールデンウィーク明けの2週間で50件ほどの問い合わせがありました。価格は17万円ほど。通常の車であれば、どれでも取り付け可能です」

開発のキッカケは、運転中に鳴瀬社長自身がヒヤリとした体験にある。

「まだオートマ車に慣れていなかった、30年ほど前のことです。片側1車線の通りで歩道に片側のタイヤを乗せ駐車し、バックで車道に出ようとすると予想以上に加速してしまった。猛スピードで反対車線まで出てしまいました。サイドブレーキを引っ張り事なきを得ましたが、右足はアクセルペダルから離すことができずじまい。人間はパニックになると、手足が突っ張ってしまうものなのですね。だから、踏んでもアクセルがかからない装置を作ろうと思ったんです」(鳴瀬氏)

近年は、特に高齢ドライバーからの問い合わせが多いという。

「『トヨタ自動車』も高齢者を想定した、アクセルとブレーキの踏み間違い対応装置を発売しています。近くに障害物や歩行者がいる状態でアクセルを踏むと、車内のブザーが鳴り表示機が警告。さらにアクセルを踏み込むと、自動的に加速が抑えられるんです」(全国紙経済部記者)

居眠りドライバーにアラーム

自動車メーカー「スバル」や「ボルボ」などが開発したのが、「歩行者保護エアバッグ」。車が歩行者をひいた時に、被害者への衝撃をやわらげる装置だ。安全運転推進協会理事の松永勝也氏が話す。

「車内にエアバッグを設置することで、運転手が死亡するケースは劇的に減りました。それを事故の歩行者に応用したのが、『歩行者保護エアバッグ』です。自動車が衝突を感知すると、100分の5秒の速さでボンネットとフロントガラスの間からエアバッグが出て、内部に空気が充満します。死亡事故被害者の3割が歩行者ですが、ボンネットとフロントガラスの境界に頭部をぶつけ亡くなるケースが非常に多い。今後開発される、多くの新車に搭載されるでしょう」

エアバッグは地面から2m20㎝の高さにまで膨れ、子どもだけでなく背の高い大人への対応も考慮されている。

車用品店「オートバックス」で今年4月下旬から発売され話題となっているのが、ハンドルに取りつける「居眠りウォッチャーひとみちゃん」という商品だ。同社IR・広報部の石井匠氏が話す。

「赤外線でドライバーの顔が向いている方向や、目の開閉具合を認識する小型センサーです。ドライバーがわき見をしたり居眠りしていると認識すると、アラーム音や強い光が出て注意を喚起します。価格は2万9800円ほど。停止中にドライバーが休んでいる時は作動せず、走行中に動くようになっています」

すでに鉄道会社で実用化され、クルマ用にも開発が進んでいるシステムもある。名古屋大学の未来社会創造機構モビリティ領域特任教授・二宮芳樹氏が語る。

「『ドライバー異常時対応システム』です。特殊センサーが運転中のドライバーを観察し、異常を察知すると音声で呼びかけます。ドライバーの顔の表情や、心拍数を見るモノなど方法は様々。呼びかけても反応がなければ、自動的に安全に路肩へ停車することも可能になります」

他にも車両前方の障害物や歩行者を認識すると警告音が出る、「スマートアシスト」(「ダイハツ」が開発し「トヨタ自動車」などが導入)などのシステムもある。

取り返しのつかない死亡事故を起こす前に、対応策をとり入れるべきなのだ。

居眠りや踏み間違い防止の最新グッズ

アクセルとブレーキが一つになった「ワンペダル」を開発した「ナルセ機材」の鳴瀬社長。大手自動車メーカーの担当者たちが何度も製造現場を視察に来ているという
「居眠りウォッチャー」。ハンドルに取りつけられた小型カメラ(上の写真〇内)がドライバーの顔や目を識別し異常があればアラームが鳴る
「スバル」が開発した「歩行者保護エアバッグ」。車と衝突した歩行者を、ボンネットとフロントガラスの間から出る大型エアバッグで強い衝撃から守る

『FRIDAY』2019年5月31日号より

  • 写真加藤慶 

Photo Gallary5

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