攻め過ぎNHK!!『腐女子、うっかりゲイに告る。』の衝撃 | FRIDAYデジタル

攻め過ぎNHK!!『腐女子、うっかりゲイに告る。』の衝撃

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主人公である純のゲイパートナー役を演じる谷原章介
主人公である純のゲイパートナー役を演じる谷原章介

土曜の深夜ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)に、「毎回心臓が掴まれる」「辛いな心がぎゅっとなる」「深くていい作品だな」「神ドラマ確定だわ」といった称賛の声と共に、”攻め過ぎる”NHKの番組作りに対しても驚きの声が上がっている。

「去年の4月期に深夜ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)のヒットをきっかけに、各局がLGBTをモチーフにした企画を立ち上げ、今期は前評判の高かった『きのう何食べた?』(テレビ東京系)に注目が集まっていますが、ゲイの男子高校生を主人公にしたこの作品は、LGBTの問題にもっとも深く迫り、衝撃が走っています」(テレビ誌記者)

第5話(5月18日放送)までの概要を、前出・テレビ誌記者はこう明かす。

「このドラマの主人公・安藤純(金子大地)は高校3年生。年上の恋人・誠(谷原章介)がいるが同じクラスのBL好きの腐女子・三浦紗枝(藤野涼子)からゲイと知らずに告白され、誠とは別れ付き合う決心をする。ところが、ネットで知り合ったゲイの親友が自殺したことから純は混乱。誠に助けを求めキスしているところを恋人の紗枝に目撃され、二人の関係がクラスメートにも知れ渡り、純は学校で飛び降り自殺を図るといった、かなりショッキングな展開です」

純はゲイだが、女手ひとつで自分を育ててくれた(ゲイだと知らない)母親のため、「いつかは普通の結婚をして家庭を築きたい」。「この人だったら自分を変えてくれるかもしれない」という願いから紗枝に望みを託すが、心と体の不一致は如何ともしがたい。

今回のドラマで純を演じた金子大地は取材に対し、

「ここまでゲイやLGBTについて向き合ったり考えたりすることがなかった。(このドラマは)ゲイや腐女子の登場人物が出てきますが、どんな人にも当てはまるドラマだと思う」

とコメントしている。

このドラマを企画したNHKの上田明子ディレクターは、原作小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(KADOKAWA)と出会った時の衝撃を、こう語っている。

《当時妊娠7ヶ月。急に”母親”と呼ばれ「仕事も子供も両方欲しいなんて贅沢」とか言われる。全部欲しがって何が悪い!たまたま女に生まれたからって、なんで我慢して当然なんだよ!…と叫べる程には強くない自分にもまた腹を立てる毎日。たまたまゲイに生まれただけだ、”I Want It All”なんだと叫び、もがく純の姿に激しく心揺らされました。きっと他にもこの物語を必要とする人がいると信じて、夢中で企画書を書きました》(番組公式HPより)

この上田ディレクターのたったひとりの思いから、たくさんの人に突き刺さるドラマが生まれた。

さらに去年公開され大ヒットした映画『ボヘミアン・ラブソディ』との関連性も見逃せないと話すのが、この映画を何度も観た放送作家である。

「映画『ボヘミアン・ラブソディ』では、ロックバンドQUEENのリードヴォーカル、フレディ・マーキュリーが、メアリー・オースティンに恋に落ちる。一度は結婚を考えるも、フレディ自身が性的志向を自覚して恋愛関係に終わりを告げる。このフレディこそ純、メアリーこそ紗枝ではないでしょうか」

実際ドラマの中で、金子演じる純が「この社会に生まれたことが苦しくてどうしようもない時に救ってくれた」として、いつもイヤホンでQUEENを聴いている。

「しかも各回のサブタイトルは、すべてQUEENの楽曲から取られており、その回のテーマを示すという仕掛けにもなっている。例えば第2回のサブタイトルは『I Want It All』。遊園地の観覧車の中で紗枝に告白された純は『僕もすべてが欲しい。男に抱かれ、女を抱いて幸せな家庭を作りたい』との思いから、紗枝とキスを交わします。同性愛者だと明かさずに彼女と付き合うことが”外道”だと思っていても踏み出してしまう純の葛藤は、やはりゲイであったフレディ・マーキュリーの葛藤そのもの。このドラマは、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観たファンの心も鷲掴みして離さないのでは…」(前出・放送作家)

そして忘れてはならないのが、純に告白をする腐女子・紗枝という難しい役どころを演じる若手女優・藤野涼子である。

「2014年に公開された映画『ソロモンの偽証』で、1万人の中からヒロインに選ばれたまさにシンデレラ。NHKの朝ドラ『ひよっこ』ではヒロインの同僚で乙女寮に暮らす豊子役といったら、思い出す人も多いはず。まっすぐな眼差しとまっすぐな心で純に向き合う姿は女優としての潜在能力の高さが伺えます」(制作会社プロデューサー)

NHKは、18年1月にはトランスジェンダーをモチーフにしたドラマ『女子的生活』。そして18年上半期の朝ドラ『半分、青い。』ではゲイのマンガ家・藤堂誠(ボクテ)を共に俳優・志尊淳が熱演。さらに18年3月のプレミアムドラマ『弟の夫』では、元大関・把瑠都が同性婚のパートナー役を演じて話題を呼んだ。LGBTをモチーフにしたドラマでは他の追従を許さない。しばらくはNHKの動向から目が離せそうにない―。

  • 島右近

    神奈川県出身。放送作家・映像プロデューサー。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO西原 秀

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