3.11の影響がじわり 箱根の火山活動は富士山噴火の予兆か?
「土曜の夜、突然、下からドンッと突き上げるような衝撃が襲ってきて、続いて家全体が左右にガタガタと小刻みに揺さぶられました。それが15分ぐらいの間に、数回繰り返された。4年前と同じ揺れ方です」(箱根町住民)
5月19日、午前2時15分という深夜に箱根山の噴火警戒レベルが「2」(火口周辺規制)に引き上げられ、噴出口のある大涌谷園地への立ち入りが禁止された。
「箱根山の山体膨張は、3.11の影響が列島全体にじわじわ出てきているためと考えるべきです」と言うのは、島村英紀・武蔵野学院大学特任教授だ。
東日本大震災の影響で、日本列島は最大5.4mも太平洋側へと移動し、東西から引っ張られるようになった。
「心配なのは、富士山や箱根山をはじめ、すべての火山の下にあるマグマ溜まりが3.11で揺り動かされたこと。マグマは動くことで、沸騰して水蒸気爆発を起こしたり、噴火する可能性が高くなっていく。また東西から引っ張られていることで岩盤に亀裂が生じ、思わぬところから噴火する可能性も否定できません。
富士山と箱根山は25㎞しか離れておらず、お互いに影響しあっている。4年前に大丈夫だったから今回も、と軽々しく考えてはいけません」(島村氏)
レベルが引き上げられた日曜日。箱根外輪山の最高峰・金時山の山頂では、大涌谷の噴煙にカメラを向ける登山客の姿が目立った。”Xデー”に向けて、また時計の針が進んだのだ。

『FRIDAY』2019年6月7日号より
写真:朝日新聞社(大涌谷)