「ギャラ番付表30」で分かったスポーツタレントの「値段」
真央ちゃん、修造は何位? 一茂躍進! 意外に上位? 松木さん
「お酒、何が好きなのかな。焼酎かな、ウイスキーかな、ワインかな」
「何でザリガニを釣ってんのかな? イカで釣ってんのかな?」
6月16日に行われた「第10回AKB48世界選抜総選挙」の開票イベントで、悲願の1位に輝いた松井珠理奈(21)に負けないくらい話題を集めたのが、ゲストとして招かれていた長嶋一茂(52)の自由すぎるコメントだった。
「ネットメディアが即、記事にしていましたけど、『ぜんぜん興味ないだろ?』なんてツッコミが殺到したのです(笑)。ただ、面白いのが、すべて好意的なんですよね。どこか視聴者の声を代弁しているから支持されるのでしょう。司会の女子アナはもとより、芸人でさえ空気を読んで言わないことを堂々と口にする。それが、一茂さんが重宝される理由だと思います」(キー局ディレクター)
芸能界で”一茂バブル”が起きている。民放編成担当は「長嶋茂雄の息子、というステージを超えた」と評価する。
「超ボンボンゆえの余裕と天然ぶり、独特の世界観がウケています。自宅に『バカ息子』と落書きされた事件を『さんまさんのイタズラかと思った』と誰も傷つけずに”消化”したことで、業界内の評価はうなぎのぼり。いまやバラエティも、情報番組のレギュラーコメンテイターもこなすマルチタレントと化している」
先の平昌五輪もロシアW杯も、ニッポンの下馬評がイマイチで盛り上がりが危惧されたが、いざ、開幕すれば話題沸騰。スポーツは強力なコンテンツだと、あらためて証明している。
「いま、一茂らアスリート出身のスポーツタレントの魅力が見直されています。最大の武器は知名度の高さ。スポーツのもつ爽やかさ、清々(すがすが)しさは好感度につながります。面白いのは必ずしも現役時代の実績は重視されないこと。むしろ、敗北やケガ、引退など”ドラマ”の有無が大事。引き出しが多い人はCMにも、企業の講演会にも引っ張りダコです」(大手広告代理店キャスティング担当A氏)
スポーツタレント人気を受けて、A氏らは①CMギャラ(年間契約料の相場)、②テレビギャラ(1時間番組・スタジオ収録の相場)、③知名度(顔と名前が一致するか。調査対象は代理店に登録している1800名の一般視聴者)、④潜在視聴率(タレント単体で獲得できると見込まれる視聴率)を調査。下の表はCMギャラの高い順に上位30名を抜き出したものだ。
修造人気が高い理由
1位に輝いたのは浅田真央(27)。知名度も潜在視聴率も他を圧倒している。
「訴求力はアスリート出身者ではトップですね。実績もドラマも持っているし、タレントとしての潜在能力は高い。問題があるとすれば、本人がガツガツしていないこと。企画を選ぶのでブッキングが難しい」(前出・A氏)
2位に入った松岡修造(50)は「バラエティ、情報番組問わず、キャスティング会議でよく名前が挙がる」とキー局プロデューサーは言う。
「常に好感度はトップクラス。話がわかりやすく、分析力もあるから、アスリートへのインタビューも面白い。専門分野を持つタレント、というイメージですね。ただ、テレビ朝日さんがガッチリ囲い込んでいるから、他局がキャスティングするのは難しい。それが難点ですね」
起用したいが、ブッキングが難しい。大物ゆえの悩みだろう。その点、6位の織田信成(31)は「ギャラにこだわらず、仕事も選ばない」(前出・A氏)ため、重宝されているという。
「なかぬなら殺してしまえ……と言ったご先祖さまとは真逆の、涙もろさで視聴者の好感度、爆上げです。織田が泣くと番組がネットメディアに取り上げられたりするから一石二鳥。泣き芸が重宝される一方で、本人は至って明るく、ポジティブ。五輪本番で靴ヒモが切れるなどオッチョコチョイなイメージがあるけど、実は頭の回転はかなり早く、機転が利(き)く。制作側の意図を汲(く)んで動いてくれる。少々ムチャなお願いも、流れを読んで受けてくれるんですよ。羽生結弦のエピソードをたくさん持っているのも追い風ですね。しかも、ギャラは安めでコスパが高い……最強かよ!」(バラエティ番組プロデューサー)
織田のほか、13位に安藤美姫(30)、14位に髙橋大輔(32)、浅田舞(29)が16位にランクインするあたり、フィギュアスケート人気の高さがうかがえる。
なかでも業界が注目しているのが24位の村上佳菜子(23)だ。
「彼女はヒマさえあれば滑って勘が鈍らないようにしています。冬になるとTBSの前にスケートリンクができるんですけど、そこで一般人に混じってガチで滑っている姿を見たときは感心しました。そういう明るく誠実な人柄が滲(にじ)み出ているから、彼女が歯に衣着せぬ発言を連発しても好感度が下がらないんでしょう。まさに天真爛漫。一茂さんに通ずるものがありますね」(制作会社スタッフ)
丸山桂里奈はちょっと……
前園真聖(まさきよ)(44)も人柄の良さで、芸能界追放の危機を飛躍のチャンスに変えた。
「泥酔してタクシー運転手に暴行するという事件を起こしましたが、その後の謝罪や関係者への対応が素早く、誠実で逆に支援者が増えた。禁酒ネタで笑いも取れるし、『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志にイジられているうち、返しも上手くなった。事件を機にタレントとして一皮剝(む)けましたね」(キー局情報番組ディレクター)
「8股をかけられた」「元カレ全員が裸の写真を持っている」「一晩に4回する性欲お化けの芸能人と付き合っていた」などの炎上上等エロトークでランキング上位に攻め上って来た元「なでしこジャパン」の美人FW・丸山桂里奈(35)。彼女が「いまが旬なスポーツタレント」であることは間違いないが、バラエティ番組プロデューサーは「人柄の面で疑問符がつく」と眉をひそめる。
「暴露話はOKですが、品があってポジティブな内容であることが条件。下品で客が引くトークはいただけない。丸山は『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)で、あの久本雅美に『帰れ!』と言われていましたからね。丸山の爆弾発言を面白がっているテレビマンもいるけど、生放送では怖くて使えないし、台本も読めないと聞きます。僕なら使わないですね」
かつて定岡正二、宮本和知、元木大介ら、巨人のOBがバラエティを席巻した時代があったが、ブームは一過性だった。
「スポーツ界の内輪ネタとか、悪ノリが目立って視聴者の共感を得られなかった。視聴者は長嶋一茂の正直さ、松岡修造のアツさに自分を重ね合わせ、感情移入するのです。たとえば中田英寿は実績もあり、サッカーに関する引き出しはいくらでもある。ただ、あの孤高な、近寄り難さに視聴者は共感できない。こうなるとスポーツ番組以外では使いづらい」(前出・情報番組ディレクター)
スポーツタレントの面白さは、アクセントとしての面白さ。アシストしてくれるチームメートがいてこそ、輝く存在だ。「自分は芸人並みに面白い」と勘違いし、個人プレイに走る者は消えていく。
撮影:川上孝夫 川崎侑弥 鬼怒川 毅 小松寛之 島 颯太 三好健志 山田宏次郎