『集団左遷!!』で新境地 アラフィフ福山雅治と中村雅俊の共通点 | FRIDAYデジタル

『集団左遷!!』で新境地 アラフィフ福山雅治と中村雅俊の共通点

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銀行の支店長を演じる福山。サラリーマン姿も様になる
銀行の支店長を演じる福山。サラリーマン姿も様になる

現在放送中の日曜劇場『集団左遷!!』(TBS系)。主人公の片岡洋は50歳を目前に廃店が決定した銀行の支店に支店長として赴任。リストラ寸前の行員達と力を合わせて大逆転に挑む熱血サラリーマン役を俳優・福山雅治が演じている。福山自身も50歳を迎え、”新境地に挑む”意欲作だ。

「半年で目標の融資金額100億円まであと1億円に迫るも、”お客様のため、それが銀行員のプライド”であると信じて1億円の融資を諦める福山演じる片岡支店長と蒲田支店の銀行マン達。蒲田支店は廃店になったものの、全員が左遷されず銀行に残る大円団には満足する声が寄せられています」(テレビ誌記者)

しかし平成を代表する俳優・アーティストとして活躍してきた福山が、やたら”がんばれ”を連呼したり多摩川土手を懸命に走ったりする姿を見て違和感を覚える視聴者もいるようだ。

ネットでは「顔芸を連発して、まるでコメディ」「集団左遷離脱した…顔芸に耐えられなくなりました」といった声や「福山の無駄遣いが過ぎる」といったコメントも見られる。

「そうした視聴者の声に対して、福山自身は公式HPのインタビューで、『18歳の頃から5ヶ月間だけ会社員をやったことがある』とした上で『久しぶりの会社勤めを擬似体験させていただきながら、組織人の悲喜交々を体験させていただける。50歳になった自分が挑戦すべき作品だと感じました』と話しています」(前出・テレビ誌記者)

50歳を迎え、原点に立ち返ってもう一度新しいことに挑戦したいという福山の思いは、ロケ場所にも表れていると語るのは、長年福山を見てきた制作会社のプロデューサーだ。

「今回のドラマの撮影場所の近くに、25年以上前に福山が住んでいたマンションがあり、そこからよく散歩に向かっていたのが、名曲『桜坂』の舞台。自分には才能がないと思いつめながら散歩していた”桜坂”は、福山にとってもう一度原点を思い出させてくれる特別な場所なんです。『集団左遷!!』は50歳を迎えた福山が新たなスタートを切る記念すべき作品。強い思いが込められています」

ドラマ『集団左遷!!』で福山が、平成を駆け抜けたヒーロー像をかなぐり捨てようともがいているように見えるのは、そのためなのか。無様でも愚直でもいい、ただひたすら自分の情熱をぶつけていく。今回演じる”片岡洋”をあの”ロッキー・バルボア”に例える福山の真意も、そこにあるのかもしれない。

そんな福山を、あの大物スター・中村雅俊と重ね合わせて見てしまう。

「中村は、青春ドラマ『われら青春!』『俺たちの旅』、刑事モノ『俺たちの勲章』、教師モノ『青春ド真ん中!』『ゆうひが丘の総理大臣』(いずれも日本テレビ系)、さらにNHK大河ドラマ『春の波濤』と、1970年代、80年代を駆け抜けた大スター。当時の若者たちの生き方に多大な影響を及ぼしました」(エンタメ誌ライター)

30代に差し掛かるとドラマ「結婚の理想と現実」「しあわせの決断」(フジテレビ系)に主演。理想の夫・父親像を演じ、人気を博す中村。この頃から俳優・歌手業にとどまらず、トーク番組の司会やCMにも数多く出演するなど”国民的なスター”と呼ばれるようになった。

当時を知る夕刊紙デスクは、その頃の中村をこう振り返る。

「あるトーク番組に出演した際、『たとえ仕事が途切れたとしても主役を待ちたい』と話すなど、中村はその時主役を演じる矜恃を口にしています。代表作『俺たちの旅』を演出した斎藤光正監督は、10年後、20年後の続編を演出するに当たり、中村の演技を見て『まったく変わってない』と漏らしていたことがあります。彼の演技を見て”何をやっても中村雅俊”と揶揄する声もありますが、夢見る男のロマンを変わらず演じ続けてきた中村にとって”何をやっても中村雅俊”こそ、最高の褒め言葉ではないでしょうか」

50代に入っても連ドラ『夜逃げ屋本舗』シリーズ(日本テレビ系)や『オヤジ探偵』シリーズ(テレビ朝日系)、『屋台弁護士』シリーズ(フジテレビ系)などで主役を演じ、輝き続ける中村こそ、福山が目指すべき姿ではないかと前出・制作会社のプロデューサーは語る。

「是枝裕和監督と組んで映画『そして父になる』『三度目の殺人』に出演。さらに世界的な名匠・ジョン・ウー監督の作品『マンハント』にW主演するなど海外での評価も高まる中、50歳を迎え、原点を見つめ直すことも大切です。ですが福山雅治だけが持つ、スターのオーラを失って欲しくないですね」

昨年、中村雅俊はNHKの朝ドラ『半分、青い。』に出演。永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛の祖父・仙吉を演じている。

その中で、戦争の虚しさ悲惨さを語り、最後に弾き語りでサザンオールスターズの『真夏の果実』を披露する姿は、あの中村雅俊にしかできない“神回”だった。彼の代表曲『恋人も濡れる街角』をサザンの桑田佳祐が作詞・作曲しているという点からも、心憎い演出と言っていいだろう。

ミュージシャンとしても、中村は毎年のようにシングルをリリースしている。シンガーソングライターとしても活躍する福山雅治にも、20年後にあんなシーンを見てみたいと思うのは私だけだろうか…。

令和元年、新境地に挑む福山雅治。さらなる活躍に期待したい。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    神奈川県出身。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

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