グルメなスクープ記者&カメラマンが厳選「ハリコミめし」の名店5

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日々スクープを求めて都心の街を徘徊する、写真週刊誌FRIDAYの記者とカメラマン。一般的には、コンビニめしを無表情でかき込むというイメージだが、ただでさえツラいハリコミ中「唯一の楽しみが食事」と断言する小動物系女子カメラマンとアラフィフ健康オタク記者。グルメな異色コンビが厳選した「ハリコミめし」5店を紹介する。

1  惣菜・弁当 恵比寿中島

東京都渋谷区恵比寿南3-1-27  03-3711-1210

店内に一歩入ると、甘い醤油の香りが鼻腔に広がり、空腹をますます刺激する。

惣菜棚には、ひじき煮、里芋煮、竹の子煮、かぼちゃ煮、あさりの煮物、卯の花……。そして、お豆の煮物が3〜5種類。

横の惣菜棚には、「築地場外に仕入れに行く」というこだわりの焼き魚。その上には、コロッケ、メンチカツ、ささみ大葉揚げ、ささみ梅じそ揚げ、魚のフライ、などなど10種類あまりの揚げ物。と、言っても、わたしが注文するお弁当は決まって『サバ塩焼き弁当』。『焼肉弁当』や『トンカツ弁当』など、ガッツリ系の定番弁当もあるにはあるのだが、何しろ、ここの焼きサバが美味しすぎて……。

大ぶりで肉厚、それでいて皮がパリッパリのサバがドーンと鎮座している『サバ塩焼き弁当』。とにかく、焼きが完璧なこと。表面はカリッとしていて、中は柔らかくとってもジューシー。臭みは皆無。塩加減も甘味を増すための加減が完璧。「塩って甘い!」と、思わせてくれる味。

そして、副菜として煮物を2種類選ぶというのが、このお店の特徴。今回は、卯の花とカボチャをチョイス。とくに卯の花は名物メニューの一つで、その味は、あまりに深く優しい。おから以外に、人参、長ネギ、さつま揚げ、昆布、そしてアサリが入っていて、そのアサリの出汁がめちゃくちゃ効いている。

店を切り盛りするのは、中島せつ子さん85歳。そして、長男光さん59歳。次男文夫さん57歳。三男昌雄さん52歳の三兄弟だ。開業したのは58年前。父親である先代とせつ子さんが夫婦で煮豆惣菜漬物の専門店として始めた。その父親が早くに亡くなったため、「次男がもともと料理好きで、母親の煮物の味を引き継いだんです。だから、次男がうちの社長」(光さん)

その後、会社勤めをしていた長男、三男も店に加わり、今は家族4人で切り盛りしている。せつ子おばあちゃんは、とにかくハキハキしていて、

「煮たもの、2種類、何にする?」

「今日は何がオススメですか?」

「何って? 全部よ〜そんなの。切り干しなんかどう? じゃあ、切り干しとひじきにする?」

「じゃあ、里芋と、ひじきで」

「あ、そう」

てな感じで。まあ、この会話もご馳走の一つです。恵比寿という場所柄、お客さんに綺麗なお姉さんがやたら多いうえ、北に広尾、西に代官山、南に目黒と、高級エリアへのハリコミ前のハブ空港のようなお店。ここでお弁当を買い、キムタク、工藤静香夫妻や福山雅治、吹石一恵夫妻をスクープしたことは、せつ子おばあちゃんは知る由もないだろうな〜。

2 麻布十番あべちゃん

東京都港区麻布十番2-10-14(仮店舗) (10月から)東京都港区麻布十番2-1-1 03-3451-5825

焼き鳥の味がお弁当でも楽しめるってことで、買う前からいつもテンションマックスになるのが、お持ち帰りだけで1日300本は売れるという、『あべちゃん』のやきとりを丼にしたお弁当。通常の『やきとり丼』は、ネギま2本につくね1本のっかっていて、750円! すごいリーズナブル。私の場合は、そこに豚レバー1本(170円)足して、920円が定番。

小さな入れ物に入ってるタレは、お願いすれば二つもくれるので、お好みでかける。でも、わたしはかけない。なぜなら、このタレは家に持って帰って、お肉を焼くときに使うからだ。そうすると、あべちゃんを自宅でも楽しめるというわけだ。ハハハッ!

では、まずはネギまから。カリッと表面をこがした肉を噛んだ瞬間に、中からジュワーっと肉汁が口いっぱいに広がる。気がつくと、ご飯を口に運ばず、そのまま一本を平らげてしまう。

「あ、いかんいかん、米も食わにゃ」

と、やきとりとご飯の間に敷かれたレタスを避けてご飯を口に入れると、チョイ固めのサラサラの甘いご飯がまた美味い! ところで、なんでこんなにジューシーなんですかね〜。

「鶏をシメてから24時間以内にお客様に提供できるようにしているんです。やっぱり鮮度なんですよね」(ご主人)

で、私、一押しのレバー。ここのレバーは四角くて一つがでかくて、カリッカリ。この1本が食いごたえたっぷりでめちゃくちゃ元気になる感じがする。

「大きくてゴロゴロしているのは祖父の代からの伝統なんです。もう少し小さくした方が食べやすいかな? とも思うんですが、先代からは小さすぎると怒られました(笑)。カリッカリに焼いているのは、お弁当やお持ち帰りの場合、焼いてから口に入るまで時間が立つので、冷えても美味しくいただけるように考えて店内とは焼き方を少し変えています」

麻布十番の名店として有名なこの店は、昭和8年、創業86年の老舗焼き鳥・もつ焼き店だ。現在のご主人・阿部慎太郎さんは3代目で、「もともと祖父が屋台で焼き鳥を焼いていたのが始まり」だそうで、お店は午後3時開店と同時に、気の早い飲み客で店内はすぐに埋まってしまう。

小動物系女子カメラマンが軽ワゴン車の後部座席で『やきとり丼』に舌鼓を打っていると、金髪マッチョがいきなり張り込み中の車の窓ガラスに向かって筋肉自慢のポージングを始めた。だから、写真を撮ってやった。それが、「松本人志が本誌カメラ前で『ムキムキ筋肉体操』」という記事に。こんなおまけが付いてくるのも麻布十番の魅力。

3 とんとん亭 秋葉原

東京都千代田区神田佐久間町3-21 横島ビル 1F  03-3866-9360

実は、フライデーは相撲の取材が結構多い。貴乃花問題、稀勢の里引退問題の最中、わたしとカメラマンは何度、部屋へ赴いたことだろう。

「よし! 大男相手だ! スタミナつけて行くか!」

てなことで、編集部から相撲部屋の集中する東京の東側へ向かう時、必ず立ち寄るのが、居酒屋『とんとん亭』だ。

お昼時、入り口横の弁当売り場には長い行列が。オフィスの仲間から買い出しを頼まれた若いサラリーマンが両手にたくさんのお弁当を抱えて引き返す。お弁当の受付には御歳73歳のご主人・横島和男さんの姿が。創業50年の老舗居酒屋の3代目店主だ。

「いらっしゃい。いつもの? 3つ? はい。1500円ね」

店内からお客さんの顔を見初めて、店頭に到着する前に声をかける。

「おかえり! 今日、早いね」

店頭を素通りしていく女子高生二人組にも声をかける。

「ご主人の写真撮ってもいいですか?」

「俺、今日、化粧してないんだけど、それでもいいの?」

なるほど、このキャラが、お客を安心させてくれるのかな? 店内では、ご主人のご長男夫婦が、調理を担当。ファミリー経営なのも、安心できる

「俺には3つのポリシーがあってさ。美味い。安い。早い。美味いのは当たり前なんだけど、サラリーマンにとっては毎日のご飯だから、500円玉でお腹いっぱいになれることが大切でさ。だから、内税だよ。そして、彼らにはお昼休みの1時間しかないでしょう。だから、早い。お弁当も注文して出来立てをすぐに出せるようにしてる」

何十種類とあるお弁当の中で、人気の1位、2位を独占しているのは、ご飯の上に塩ジャケがのっている『父ちゃん弁当』と、豚の生姜焼きがのっている『スタミナ弁当』。どちらも幕の内弁当スタイルで、煮物や山菜の和え物、唐揚げがついている。

もちろん、私は父ちゃんなので、『父ちゃん弁当』。まずは、野菜の煮物。頬張ってまずびっくりするのが、非常にあっさりとした薄味。出汁が効いてて、野菜の硬さも絶妙。美味い! 名物の一つ、唐揚げもサクッサク。ご飯の上の塩ジャケは? うん。しっかり塩気が効いている。が、しょっぱ過ぎない。表面、カリッカリ。味は脂がしっかりのっていて、ジューシー。

そして、その中でも最も「美味い!」と、思わず声が出るのが、お米。ご飯の炊き方が少し硬めで上にのっけた生姜焼きや塩ジャケの味が染み込んでも、しっかりパラパラとした食感を損なわないような硬さで、美味い! 気がつくと、わずか5分そこそこで完食してしまっていた。

そして、お店一番人気のメニューであるアジフライもお弁当で。こちらはアジフライが二つも入っていて、なんと450円! ありえないでしょう! 何よりも嬉しいのが、小骨が一切口の中に当たらないこと。これ、案外、少ないんですよ。小骨を処理しないでそのまま揚げてあるところが多い中、しっかり下処理されていて、脂も軽いから、アジの旨味がしっかり凝縮されている。女性カメラマン曰く、「安いだけじゃない! めっちゃ美味い!」。

4 メーヤウ

東京都新宿区信濃町21 大門ビルB1   03-3355-0280

編集部を出て、張り込み現場へ向かう途中、かなりの確率で利用する外苑東通り沿い、信濃町駅近くのビルの地下1階にある小さなお店。それが『メーヤウ』だ。

初代オーナーが学生時代に世界中を放浪してタイ料理に惚れ込み、カレーのレシピを自ら考案し、1988年に開業した。当時、タイ料理専門店は都内に3店舗ほどしかなく、他の2店舗はタイ料理専門店だが、『メーヤウ』はタイカレー専門店。そして、この店こそがタイカレーブームの火付け役となった。

看板メニューは、『メーヤウカレー』(大辛680円)というチキンカレーで、鳥のもも肉と大きなジャガイモが丸ごと1個。そして、半分に切ったゆで卵が入っている。お弁当もこの『メーヤウカレー』が一番人気なのだとか。

そして、わたしが一番注文する弁当が、『カオマンガイ弁当』(850円 7月から9月いっぱいくらいまでは販売しない)。タイ米の上に、茹でて大振りにカットされた鶏肉がのっている。そして、味を決定づけるのがタレ。このタレが、絶品中の絶品なのだ。基本、甘辛いんだけど、しつこくないニンニクの香りとちょうどいい塩気、どんどん食が進む絶妙な酸味。

「カレーやバジル炒めライスのレシピは開店当初から一切、変わってないんですけど、カオマンガイだけは、調理人のタイ人女性のオリジナル。この味は誰にも出せない」(従業員)

最後に「メーヤウカレーの秘伝みたいなものはありますか?」と、聞くと、

「別にありません。タイ米やパクチー、バジル、香辛料はタイから仕入れていますけど、鶏肉や味付けは、普通のカレーと作り方としては変わらないと思います」

と、店の方は謙遜するものの、20年以上通う私に言わせると、『メーヤウ』のカレーはかなり独特で、どことも違う。とにかく、一度食べたら通わずにいられない。何よりも、お弁当にしてもらって、冷めても、店内で食べるクオリティと変わらないのがすごいところだ。

5 杉田家

東京都杉並区下高井戸5-4−23  03-3329-7736

京王線上北沢駅から徒歩5分。甲州街道北側の閑静な住宅街にある小さな総菜屋さん。このお店を発見したのは、とある芸能人の車を追跡中だった。住宅街を縫うように走る芸能人S。一瞬、右目に入ったオレンジ色の看板に小動物系女子カメラマンの眼が光る。

「あれ? こんなところに弁当屋。ここ、絶対、美味しいでしょう」

「よし、あとで来よう」

こんな時、我々の勘は仕事以上に鋭い。なんせ、飢えている。この仕事、いつ食事にありつけるかわからないのだから。Sを見失い、目を爛々と輝かせながら戻ってみる(ホントはダメなんだけどね)と、看板には店名の『杉田屋』の上に、「板さんのお総菜」という前書きが。

店頭のガラスケースには、かぶの菊花酢や白和え、筑前煮や冬瓜の餡かけ煮など、ひと工夫、いや、ふた工夫は凝らした感のあるお惣菜が並ぶ。そして、恐る恐る中を覗くと、店の奥の厨房で、一人調理場に向かう割烹着の短髪頭の男性の姿が一人。もう、美味いに決まってるじゃん。

ちなみに、『杉田屋』は、和食店で修行を積んだ師匠の杉野さんと弟子の石田英司さん(52)、二人の名字の1文字ずつをとって杉田屋となった。開店して今年で23年目。杉野さんは十数年前に引退し、今は、石田さんが調理を一人で担当し、杉野さんの奥さんがお手伝いに来るという。

「板前の店なので、プライドを持ってやってます。基礎調味料からすべて手作りです」

『幕の内弁当』には、石田さんの板前としてのすべての技が凝縮されている。蓋を開くと、炊きたてのご飯の上に揚げたてのエビの天ぷらがのっている。のに、口に運ぶと、サクッ。うわっ、軽っ。今回は唐揚げが一つ入っているが、普段は鳥照り焼きが入っていることが多い。この鳥照り焼きが、甘くて柔らかくて、鳥の味がしっかりして、ご飯が進む。で、もう一つの名物である、出汁の効いた卵焼き。それらの惣菜をさらに昇華させているのが、ご飯。そう、和食屋さんで最後に出てくるお新香とご飯の、あのご飯。

「ご飯にはかなりこだわって良いものを出しています。はっきり言って、この値段でこのご飯は他のお店では味わえないと思います」

最後に、お弁当の良し悪しの目安は、車内で食べた後、車内に臭い匂いが残るか、残らないか。

これは、実はすごく大きくて、コンビニ弁当を食べると、食べてない人はその匂いを臭いと思う。食べた本人でさえ、一度車を出て戻ると、臭く感じる。でも、美味しいお弁当を食べるた後は、臭くない。それどころか匂いすら残らない。

この5店舗に共通する大事な目安の一つです。

  • 取材・文橘信市撮影坂口靖子

Photo Gallary17

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