宮迫、カラテカ入江ら吉本芸人が詐欺グループの忘年会で「闇営業」
宮迫博之、ロンブー・田村亮、ガリットチュウ・福島善成、レイザーラモンHG、カラテカ・入江慎也ほか ギャラは1人100万円以上?
本誌が入手した一本の動画。そこに映しだされているのは、マイクを片手に気持ちよさそうに歌う一人の男だ。
マイクの男が、人気デュオ『くず』の代表曲『全てが僕の力になる!』をよく通る美声で歌い上げると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
盛り上がるのも当然だろう。美声の主は、『雨上がり決死隊』の宮迫博之(49)本人である。
「ありがとうございます!」
宮迫は愛想よく壇上から挨拶したが、これはお笑いライブでも、芸人仲間の飲み会でもない。かつて世間を騒がせた、大規模振り込め詐欺グループの忘年会なのだ――。
島田紳助が暴力団との「黒い交際」によって芸能界を引退してから8年。吉本人気芸人と犯罪集団との、新たな「密接交際」が明らかになった。
芸人らによる「闇営業」(注1)の実態について詳述する前に、当該の詐欺グループの説明が必要だろう。
’15年6月、警視庁が都内4ヵ所の拠点マンションに踏み込み、男女計40人が一斉逮捕されるという大捕り物があった。主犯格の大野春水(しゅんすい)(当時27)と金宣秀(せんしゅう)(同38)も同時に逮捕。’13年末頃から組織的に振り込め詐欺を働き、被害総額は全国で40億円を超えるとされる。手口は、高齢者に電話をかけて架空の会社の社債を購入させる、というものだった。
そんな大規模振り込め詐欺グループは逮捕の約半年前、’14年12月27日に都内のホテルで忘年会を開いていた。本誌が今回入手したのは、その宴会の様子を映した動画と写真だ。
忘年会に参加した、詐欺グループの元メンバーが語る。
「12月27日の宴会は、忘年会と大野の誕生日会をかねて開かれました。主だったメンバー50~60人で、ホテルの宴会場を貸し切りにした。ゲストとして参加したのは、宮迫のほか、レイザーラモンHG(43)、ガリットチュウの福島善成(よしなり)(41)、ロンブーの田村亮(47)、カラテカの入江慎也(42)。それ以外にも、あまり売れてない芸人が2~3人いました。
会は19時ごろから2~3時間開かれたんですが、芸人たちは会の後半にサプライズで登場しました。HGは『フォー!』、ガリットチュウはモノマネ、カラテカ入江は司会、ロンブー田村はトークだったかな。で、最後に宮迫が出てきた」
詐欺集団がなぜ、人気芸人を私的な忘年会に呼べたのか。仲介役となったのは、カラテカの入江だったという。
「入江とグループの幹部は忘年会の前から知り合いでした。何度か飲み会をやったことがあると聞いてますし、逮捕される少し前には、ダミー会社の名前で入江のイベントのスポンサーになったこともある。そのよしみで入江に『芸人を忘年会に呼んでくれ』と頼み、ギャラも入江を通じて支払ったみたいです。芸人一人につき、100万円は払ったと思いますよ。
入江が俺たちのことを詐欺グループと知っていたか? 間違いなく知ってましたよ。幹部のなかには酒癖の悪い奴がいて、酔うと自分たちが詐欺で稼いでいることをベラベラしゃべっていましたから。気づかないほうがおかしい」
この元メンバーによると、詐欺グループには暴力団関係者も多数在籍していたという。周知のとおり、暴排条例によって暴力団との「密接交際」は固く禁じられているが、芸人たちは振り込め詐欺グループだと知って忘年会に参加したのか。本誌は5月下旬、仕事終わりの宮迫を直撃した。
――宮迫さん、振り込め詐欺グループの忘年会に参加していましたよね。
「え?」
――これ、宮迫さんがその忘年会で歌っている姿なんですが。
「(動画を見ながら)これ俺か? 俺やな」
――振り込め詐欺グループの忘年会とは知らなかった?
「まったく知らないです……」
――この忘年会は事務所の仕事ではないですよね。
「会社に怒られるんで(個人的な営業には)基本的には行かないです」
――それでも参加したのは、入江さんの仲介だったからですか。
「『ちょっと顔出してください』と入江に言われて、『ええよ、空いてるし』くらいの感じやったんかな」
――ギャラは100万円と聞いています。
「ないない! 入江の知り合いと聞いて信用してたんやろうけど、そんなカネはもらってへんよ」
入江の関与、そして犯罪組織の宴会に参加したことについての見解を聞くべく、本誌は所属事務所である吉本にも詳細な質問書を送った。さらに、再三にわたり電話で問い合わせたものの、吉本側の対応は「無回答」だった。
暴力団情勢に詳しいジャーナリストの森功氏が断じる。
「特殊詐欺グループのメンバーは半グレと呼ばれる者たちが大半。その背後には、まず間違いなく暴力団がいます。地上げやミカジメ料といったかつてのシノギが年々難しくなっているなか、詐欺は暴力団にとっての貴重な収入源となっているのです。詐欺集団と暴力団は一体。たとえ知らなかったとしても、忘年会に参加した芸人たちの行動は許されるものではありません」
組織犯罪を助長するようなお笑い芸人を公共の電波で垂れ流すべきではない。
(注1)「闇営業」=所属事務所を通じ、各種イベントでネタの披露や、司会をして出演料を得るのが通常の営業。事務所を経由せずに暴力団等の反社会的勢力の会合に参加してギャラを得る行為を闇営業と呼ぶ
『FRIDAY』2019年6月21日号より
- 撮影:等々力純生