視聴率王者・日テレを追い詰めるテレ朝が忘れない「5年前の屈辱」 | FRIDAYデジタル

視聴率王者・日テレを追い詰めるテレ朝が忘れない「5年前の屈辱」

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日テレ『イッテQ!』を支える内村光良。妻の徳永有美アナはテレ朝『報道ステーション』のキャスターだ(10年)
日テレ『イッテQ!』を支える内村光良。妻の徳永有美アナはテレ朝『報道ステーション』のキャスターだ(10年)

4月に引き続き、5月も月間視聴率「全日帯」を制し、5月は「プライム帯」でも日本テレビを抑え3年5か月ぶりにトップに立ったテレビ朝日。5年連続視聴率三冠王を守って来た日本テレビの牙城をいよいよ突き崩すことができるのか、大きな注目が集まっている。

「全日に続き、プライムでも日テレの牙城を崩すきっかけになったのが、テレビ朝日開局60周年記念ドラマ、岡田准一主演の『白い巨塔』です。5月22日(第一夜)12・5%、23日(第二夜)11・8%、24日(第三夜)12・2%、25日(第四夜)13・5%、26日(最終話)15・2%と尻上がりに視聴率を上げ、全話同時間帯で視聴率トップ。『白い巨塔』の高視聴率もあって、テレ朝の5月第4週の週間視聴率は全日、ゴールデン、プライムの三冠を達成しました」(テレビ誌記者)

好調の秘密はそれだけではない。4月期の連続ドラマでは、2年ぶりにシーズン3作目となる天海祐希主演の『緊急取調室』、2シーズン目を迎えた井ノ原快彦主演の『特捜9』、さらに60周年を記念して1年通して放送される沢口靖子主演の『科捜研の女』が民放連続ドラマのクール平均視聴率トップ3を独占。さらに日本テレビが、これまで圧倒的な強さを見せてきた日曜日のゴールデンタイムにも異変が起きている。

「テレビ朝日は、昨年10月に日曜19時台に復活させたバラエティ番組『ナニコレ珍百景』が5月の月間平均視聴率12.8%。同じく去年10月から20時台にレギュラー化したバラエティ番組『ポツンと一軒家』が、5月19日からなんと4週連続して平均視聴率19%を突破する大躍進。日テレが今まで無敵を誇っていたバラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』の壁を撃破しています」(前出・テレビ誌記者)

ドラマ&バラエティ番組ともに力を付け、王者・日本テレビを追い詰めつつあるテレビ朝日だが、ここまで道のりは長く、捲土重来を期す思いがあった。

「12年、テレ朝は『相棒』『ドクターX』などのドラマがヒット。さらにバラエティでは『アメトーーク!』などがブレイクして、開局以来初めてプライムタイムで年間王者に輝き、翌13年にはゴールデンと合わせて年間視聴率二冠王に輝き、日テレの牙城に迫るも、後一歩のところで失速、14年には年間視聴率三冠王の座を日テレに奪われます。攻めるテレ朝は、高視聴率のバラエティ番組を何度も3時間の拡大版にして『報道ステーション』に直結させるなど勝負に出たものの、中身が薄くなり視聴者に飽きられ、さらに後続のヒット番組も続かず力尽きました。それに対して日テレは、まるで横綱相撲。番組編成をあまりいじらず視聴習慣をつけさせ、コンテンツの充実を図ることで絶対王者へと成長していきました。テレ朝にとっては、かなり屈辱的なこととして記憶されているでしょうね」(放送作家)

テレビ朝日の挑戦を退け、さらに一回り大きく成長した日本テレビ。そんな王者に対し、テレビ朝日は並々ならない決意でリベンジに臨んでいると前出の放送作家は話す。

「80年代前半までテレ朝は、民放の中でも日テレ、TBS、CX(フジテレビ)に比べて格下に見られていました。この3強に割って入るきっかけになったのが、85年に始まった『ニュースステーション』による”ニュース戦争”。この戦いに勝ったことでテレ朝は、民放3強に肩を並べただけでなく、『ニュースステーション』終了後の11時台にバラエティ番組を”月―金”枠で放送することにより他局に先駆け、”深夜バラエティ”を”ゴールデンタイムのヒットコンテンツ”に育て上げることに成功しました。この当時、『ニュースステーション』を立ち上げた初代プロデューサーが、現・テレビ朝日会長の早河洋氏です」

早河氏は09年にテレビ朝日の社長に就任すると、様々な改革に着手して日本テレビの牙城に迫った張本人。この時の悔しさを、決して忘れてはいまい。

「看板番組『報道ステーション』に安倍首相を生出演させるなど、現政権との関係を改善。返す刀で安倍政権に鋭く迫っていた小川彩佳アナを降板させ、その小川アナが裏番組『NEWS23』(TBS系)のキャスターに就任するや初日に人気バラエティ番組『激レアさんを連れてきた。』の特番をぶつけるなど、厳しい姿勢を打ち出しています」(前出・放送作家)

受けて立つ日本テレビは大久保社長みずから5月末に行われた定例会見で「4月以降、厳しい戦いになっている」と語り表情を曇らすと、福田編成局長も「数字が悪いのは視聴者・生活者の日テレへの期待が低く、薄くなっている」と危機感を口にしている。

「看板番組『イッテQ!』では、去年11月の”ヤラセ疑惑”の責任を取って番組を立ち上げた名物プロデューサーが現場を離れるなど、いまだに動揺が続いています。近頃ではMCを務める内村光良も企画会議に出席。今後はロケにも参加して巻き返しを図るようです」(制作会社プロデューサー)

だが、テレ朝も秋から『相棒』『ドクターX』と人気ドラマシリーズが満を持して登場する。年間視聴率5年連続三冠王の日テレか、雌伏の時を経てテレ朝が初の三冠王奪取となるのか…。今年の年間視聴率王者の行方から目が離せない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)
  • PHOTO桑田真

島 右近

放送作家・映像プロデューサー

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版

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