糖質制限で突然死!? カラダにいいダイエット「最終結論」 | FRIDAYデジタル

糖質制限で突然死!? カラダにいいダイエット「最終結論」

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いまやメタボリックシンドロームの該当者は約400万人にのぼる。まさに肥満は国民病になっているのだ
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「手っ取り早く体重を落とすダイエット法として、糖質制限が流行しています。ただ、過度な糖質制限をすることで、腸内細菌のバランスが崩れてしまう。悪玉菌が増えて善玉菌が減ってしまうんです。それと同時にカラダにストレスがかかり、脳をはじめとした臓器に炎症が起きます。その結果、各臓器の老化が早まってさまざまな病気を引き起こし、寿命が縮まってしまう。まさに悪循環です。もし糖質制限をするならば、きちんと専門家のもとで行う必要があります」

こう語るのは、東北大学大学院農学研究科の都築毅(つよし)准教授(食品機能学)だ。

体重を短期間で劇的に落とす糖質制限。白米やパンなどの炭水化物を抜くだけで体重がみるみる減っていくというこの”究極のダイエット法”は、いまや老若男女を問わず大ブームだ。しかし、この画期的な方法には寿命を縮める危険性が隠されている――。そんな衝撃的な研究結果が都築准教授らによって発表されたのは、5月中旬のことだった。

都築准教授らが動物実験によって得た研究結果によると、糖質制限をしたマウスは標準的なエサを与えたグループと比べて早死にし、記憶力も半分程度に低下していたというのだ。

「ボクサーやボディビルダーは試合や大会前に極端な糖質制限を行います。筋肉を落とさずに脂肪を落とし、ギリギリまでカラダを絞るのが目的ですが、こういうことをすると腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。その結果、体調を壊す人が続出してしまう。炭水化物はビフィズス菌をはじめとする、腸内の善玉菌を増やすための重要なエサなんです。そのため、炭水化物を制限してしまうと善玉菌がいなくなり、悪玉菌が増殖してしまうのです」(前出・都築准教授)

一口食べたら止まらない

より健康になるために糖質制限ダイエットを始めたはいいが、知らず知らずのウチに寿命を縮めた挙げ句に突然死――。これでは本末転倒もいいところだが、このダイエット法にはもうひとつの大きな落とし穴がある。極度のリバウンドだ。

糖質制限ダイエットに挑戦した人のなかには、炭水化物を長らく我慢してきたが、どこかのタイミングで緊張の糸が切れてしまった人も多いだろう。その結果、ご飯やパン、麺類を”爆食い”してしまい、ダイエット前よりも体重が増えてしまう。そんな悲劇的なリバウンドが多発しているのだ。

『世にも恐ろしい「糖質制限食ダイエット」』の著者で食生活研究家の幕内秀夫氏はこう指摘する。

「人間にとっての三大栄養素は糖質、脂質、タンパク質。そのなかの糖質を意図的にカットするわけですから、要するに栄養失調になるわけです。そんな状態になれば、当たり前ですが最初は痩(や)せるでしょう。ところが、それは短期間のこと。ご飯を一口食べたら止まらなくなり、必ずリバウンドしてしまいます。世界中の民族が長い年月をかけて取捨選択して、米や小麦、トウモロコシ、芋などを主食に据(す)えたわけですから。もはや根性や理性の問題ではなく、人間は生理的に適正量の糖質を欲する生き物なんです。これは一度でも糖質制限食をした人は実感したことがあるかと思います」

さらに糖質制限ダイエッターにとっては、このダイエットにかかるランニングコストもバカにならない問題だ。幕内氏が続ける。

「糖質制限食は、お金持ちだけが続けられるダイエットです。穀物や麺類と比べて、肉や魚、野菜は値が張りますからね。それだけでお腹をいっぱいにしようとすると、相当なコストがかかってしまいます。結局、安価な豆腐やもやしなどを食べることになる。毎日、豆腐ともやしばかり手を替え品を替えて食べますが、そんな食生活が続くはずがない。最後には飽きてしまいます。そして最後に待っているのは、炭水化物の”ドカ食い”です」

減量の最終手段と言われもてはやされてきた糖質制限だが、過度なやり方は身を滅ぼす、ということだ。ならば、どんな食生活を送るのがベストなのか。

「結局、栄養素に偏(かたよ)りがある食生活を続けていると、臓器の老化が進んでしまいます。味噌汁とご飯をベースにして、多彩な品数の料理を少しずつ摂(と)る。そんなバランスの取れた食生活こそがベストなんです。その際に大事なのはストレスを溜めないこと。和食だけでは飽きてしまうので、洋食を加えたり。毎日の手料理が面倒くさければ、コンビニやスーパーのお惣菜をフル活用しましょう。少量でも、品数を増やしたほうがカラダには良いんです」(前出・都築准教授)

運動は逆効果?

では、もうひとつのダイエットの王道、ジョギングはどうだろうか。減量に効く運動といえば、何より先に思い浮かぶのがジョギングに代表される有酸素運動だ。いまや皇居ランナーに象徴されるように、ジョギングは国民的なトレーニングとして定着している。

だが、その一方でジョギングは老化を早めるという説も流布されている。ジョギングによってカラダをサビつかせてしまう”活性酸素”が大量に発生し、最悪のケースだとガンや動脈硬化を誘発してしまうというのだ。

では、ダイエットに効果的なジョギング法とはどのようなものなのか。スポーツトレーナーの坂詰真二氏はこう語る。

「賢いジョギングの仕方としては、速度にこだわらないで、時間を増やすことを目指しましょう。追い込みすぎると心身の負担とリスクも高まるし、挫折してしまいますから。少し汗ばむ程度、話しかけられても応じることができる程度の速さで十分です。時間も1時間程度に抑えれば、疲労骨折や腰痛の危険性も減ります。ジョギングは両足が地面から離れることで、骨に適度な衝撃と運動刺激が与えられる。結果、骨密度が高まる”ハイインパクト運動”と言われています」

また「腹筋女子」などの登場で、いまや筋トレも大ブームだ。筋トレの効果は、なんといってもカラダの基礎代謝を高めること。それによって消費エネルギーが底上げされ、痩せやすいカラダが手に入るのだ。ところがこの筋トレも、つい重い負荷をかけすぎるあまり、肉離れや関節痛などのケガを招くことがある。前出の坂詰氏が続ける。

「続けられる筋トレとしておススメなのがサーキットトレーニングです。具体的には『スクワット+腕立て+背筋+腹筋』を各6回×4セット。これを週3回行うだけでも基礎代謝は十分に向上します。なかでもスクワットは最も効果的です。それすらも面倒だ、という方には”階段下り”がいいでしょう。週に3回、4~8フロア分の階段を下りるだけでも下半身の筋肉は鍛えられます。階段を上るのは心理的にも負担が大きいですが、下るだけならハードルは低い。とにかく、トレーニングは持続することが一番の効果を生み出すんです」

自分にとって続けられる食事制限と運動はなにか。”カラダにいいダイエット”を選択し、本当の健康を手に入れることが大事なのだ。

高負荷の筋トレをしたせいで肉離れを起こしてトレーニング断念。その結果リバウンドという悲しいケースも……
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日本国内のジョギング・ランニング人口は実に約1000万人。ダイエットや健康維持の定番となっている
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『FRIDAY』2019年6月21日号より

  • 写真ペイレスイメージズ/アフロ(1枚目) 時事通信社(2枚目) アフロ(3枚目)

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