K-POPアイドルの兵役 復帰までにファン心理はどう変わる? | FRIDAYデジタル

K-POPアイドルの兵役 復帰までにファン心理はどう変わる?

2PMやEXO、いつかは防弾少年団(BTS)にも訪れる試練…

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世界中で大人気の防弾少年団(BTS)も早ければ2年以内にメンバーの兵役が始まってしまう…/写真 アフロ
世界中で大人気の防弾少年団(BTS)も早ければ2年以内にメンバーの兵役が始まってしまう…/写真 アフロ

人気グループの入隊が相次ぐ韓国芸能界

韓国の男性俳優や男性グループのファンになった時に必ず訪れる試練。それが「兵役」。

韓国では現在も徴兵制度があり、韓国国籍を持つ男性は満20歳〜満28歳の誕生日を迎えるまでに約1年半〜2年の兵役を過ごさなくてはなりません。服務の内容は様々ですが、俳優でもアイドルでも等しく入隊しなければいけないため、その間は実質「活動休止」になるのです。

5月には「2PM」のジュノが入隊し、6月11日には最後のメンバーでもあるチャンソンも入隊をしました。そして人気グループ「EXO」も、最年長のシウミンの入隊に続き、D.Oの入隊が発表されました。現在飛ぶ鳥を落とす勢いで人気の「防弾少年団(BTS)」も、一番年上のJIN(ジン)が1992年生まれで今年27歳になるため、おそらく2年以内の入隊が迫っています。

▲2PMチャンソン入隊時にテギョン、JUN.K(現在兵役中なので休暇をもらって見送りに来たよう)、ニックンが見送りに来た時の様子

ファンの間で「世界的に人気を得たBTSは韓国に貢献している」 とし、「BTSの兵役を免除してください」 という嘆願書が出されました。しかし、ジンは以前のインタビューで「入隊は韓国人として、自然なこと」と語っており、現時点では免除の可能性は低そうですが、「芸能人も兵役免除の特例の対象に」と言う議論が韓国ではされているそう。特にBTSの活躍は目覚ましいので、兵役免除の可能性もゼロではないかもしれません

「東方神起」、「SUPER JUNIOR」のメンバーなどはすでに兵役を終えましたが、今は「2PM」、「SHINee」、「CNBLUE」、「INFINITE」など、2010年前後にデビューをした中堅クラスのグループの入隊が相次いでいます。

現在活発に活動しているアイドル達の多くが20代前半の若い年齢であるため、一番脂ののっているタイミングに入隊し、兵役を過ごさなくてはなりません。彼らにとって兵役は試練の時でもあり、自分たちの真価が問われる期間でもあるのです。

日本には兵役はありません。ですから、初めて韓国芸能人のファンになった日本人達は、この兵役による活動休止に大きく戸惑います。入隊した彼らが芸能界に戻ってくる約1年半から2年。それまでの間、ファンたちはどのように過ごすのでしょうか。筆者の周りの日本人ファンの方達の話を聞くと、概ね3つのパターンに分かれます

500玉貯金、大久保でオフ会、軍主催イベント…、「一途に待つ」ファンたち

まずは「戻ってくるまで一途に待つ」というファンです。実はこれが一番多いのではないでしょうか。あえて「一途に」という風にしたのは、次に出てくる「他のグループに浮気をする」ことなく、「自分の推しだけをひたすら待つ」ということからです。

韓国ではアイドルのファンをするのは「若い子達」というイメージがあり、ある程度の年齢になるとアイドルを追いかけるのをやめてしまいます。それと比べると日本のファンは、年齢に関係なく長い間、ファンでいてくれることが多いです(なかには80代のファンもいます)。K-POPアイドルにとって、兵役の空白期間にファンを引き留めておけるのかは、死活問題。しかし、そんな不安の中でひたすら帰りを待ってくれる日本のファンの存在は、 彼らにとっては大きな支えになっているかもしれません。

一途なファンたちは待っている間、昔の映像をYouTubeやDVDなどで繰り返し見たり、SNSで彼らの動向を探ったり、除隊する日をアプリでカウントダウンしながら500円玉貯金をしたり、それぞれがなんらかの形で推しのいない時間をやり過ごすのです。なかには、新大久保などに集まって、ファン同士で思い出を懐古しあったりすることもあるとか。

また、服務内容によっては、推したちが軍主催のイベントなどで表舞台に出てくることもあります。例えば、東方神起のユンホは、兵役中に韓国陸軍が主催する年に1度の大型イベント『地上軍フェスティバル』に出演、久しぶりにパフォーマンスを披露しました。このイベントには日本から多くの東方神起のファン達が訪れ、なんと観客の約3割がユンホファンの日本人だったとか。ファンのために日本語で挨拶したりと、遠くから訪れたファンの達は感動したようです。

同じ気持ちで同じ環境の「同士」がいるのは心強く、そういった仲間がいると長い時間でも待つことができるのです。

▲入隊中のCNBLUEのジョン・ヨンファ、軍服姿の写真をツイートしてファンは感動

弟分グループに浮気してしまうファンも

次は「他のグループに浮気する」ファン。これは「一途に待つ」ケースと並行する場合もあります。つまり「推し以外のグループに目を向けながら、本命を待つ」というパターンです。ただひたすら一途に除隊を待つのはしんどいことなので、他のアイドルに恋する気持ちを分散させるのです。

ただし、浮気が本命になるパターンもあります。待っている約2年の間、心の隙間を埋めるために、ほかのグループに目を移してみたものの、いつの間にかそちらが一番になってしまうのです。

実はこの「浮気相手」は、本命の身近なグループ、特に同じ事務所の後輩グループが多いのです。例えば、「東方神起」なら「SHINee」や「EXO」、「2PM」なら「GOT7」「Stray Kids」、「BIGBANG」なら「iKON」「WINNER」というような感じ。

理由としては、推し達が可愛がっていた弟分で身近に感じるということ、音楽性やメンバーのルックス、パフォーマンス、キャラクターなど、推しに似た部分を見つけるのが簡単だからという理由もあるかもしれません。もしかしたら、弟分ということで「浮気」の罪悪感をごまかしているのかもしれませんが……。

しかし、本命になった弟分の彼らにも兵役はやってきます。結局、「兵役」という悲しき別れからは逃れられないのです……。

▲SHINeeオンユが入隊時に断髪する様子。他のグループでも入隊に関するツイートが多くある

どうしても待つのが辛い人は「ペン卒」

とにかく、約2年という時間を待ち続けるのは辛い!」という場合、そのままファンをやめてしまうことも。そういう人は意外とあっさり「ペン卒」(ペンは韓国語でファンの意味)してしまうものです。

韓国のアイドルは、ほぼ毎日といってもいいほど好きなグループやメンバーに関する情報が入ってきます。

というのも、韓国のアイドル達には「マスター(=ホームマスター)」と言われる、アイドル達を追いかけて写真を撮影しネットにアップをする「強火のファン達」がおり、入出国の空港や、海外のイベントの写真などが常に上がっているのです。著作権に厳しい日本ではこういったことは非難されますので、これは韓国独特のカルチャーともいえるかもしれません(韓国でも撮影禁止の場所や、著作権・肖像権はありますが、事務所は黙認することも少なくありません)。

そのため、ファンは毎日何かしら推しの姿を見ることができて、常に好きな人と一緒に居られる感覚に陥りますしかし、兵役期間はそれがパッタリなくなるのです。今まで情報の洪水だったわけですから、「その環境に耐えられない!」「そうこうしているうちに冷めた…」、ということがなのかもしれません。

「ペン卒」すると、今まで集めていたグッズを放出する人も多くいます。なかにはデビュー当時のグッズやサインなど、入手不可能なレアものもあって、フリマサイトでは高く売れることも。その反対に、ファンはやめても思い出が詰まりすぎて手放せない人も。「墓場まで持っていく!」なんていう人も中にはいます。

2018年、「SUPER JUNIOR」のリョウクが除隊した時には大勢のファンが駆けつけた/写真 アフロ
2018年、「SUPER JUNIOR」のリョウクが除隊した時には大勢のファンが駆けつけた/写真 アフロ

2019年は入隊ラッシュであるのと同時に、アイドルたちの除隊ラッシュと言われています。SUPER JUNIORのキュヒョン、2PMのテギョンなどはすでに除隊し、これからはBIGBANGのT.O.P、G-DRAGON、SOL、D-LITEの除隊も控えており、韓国でも日本でも人気のあるアイドル達が続々と芸能界に戻ってきます。すでに除隊し2017年に完全復活を遂げた東方神起などは、以前よりも精力的に活動を行い、今までのファンの他にも、若い新しいファンをも取り込む勢いです。

兵役を終えた韓国人男性は、精神面でもフィジカル面でも大きく成長するとよく言われていますが、それはアイドル達も同じ。約2年という厳しい軍隊生活を過ごしてきた彼らは、私たちが想像する以上に成長して芸能界に戻ってきます。

男として、人間としても成長した彼らは、私たちに入隊する前よりもカッコイイ「大人の男性」になっているはず。そんな姿を見れるのは素晴らしいことじゃないですか! そんなことを想像しながら、ファン達は今日も待ち続けるのです。

  • 西門香央里

    東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。推しには猪突猛進。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。Real Sound、いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEEなどに寄稿している。

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