モデル・シャノンが語る「薬で失ったもの」と「これからの私」 | FRIDAYデジタル

モデル・シャノンが語る「薬で失ったもの」と「これからの私」

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CMやカタログを中心に活動する日米ハーフのモデル・長嶺シャノン(28)が、今年1月末に逮捕された。昨年12月、自宅に合成麻薬MDMA1錠を所持していたという麻薬取締法違反(所持)容疑である。起訴後、今年3月27日に横浜地裁において開かれた公判で、シャノンは起訴事実を認めて即日結審し、この日に本間敏広裁判官は懲役1年執行猶予3年の判決を言い渡した。

現在、シャノンは家族とともに、ある地方都市に転居。再起に向けた日々を送っている。薬に頼るようになるまでの経緯と、これからの生活について話を聞いた。

ーー公判では、MDMAだけでなく他の薬物の使用歴についても語っていました。大麻の初使用は21歳、コカインは24歳、MDMAは24~25歳。こうした薬物を使うようになった経緯を聞かせてください。

ずっと日本で育ちましたが、海外にも友達が結構いて、プライベートで行くことが多かったんです。大麻は……海外の友達が普通に持っていて、吸ったことがありました。そこでは当時、違法ではなかったんですね。大麻はボーッとしてしまうので、クラブでは吸わず、ビーチとかで。吸った経験があることは警察に話しました。

コカインも海外に行った時に、同性の友達からですね。一緒にトイレに行った時に「ちょっとおいで」みたいに個室に連れ込むんです。「何、何?」ってついて行くと彼女が薬を持っていて。「全然大丈夫だよ、そういうんじゃないし」って。

自分が弱かったんですけれども、そういったことがきっかけです。

ーー大麻はボーッとしてしまう、ということですがコカインやMDMAにはどういった薬効を求めていたんですか?

私の場合、元々シャイな性格で人に頻繁に会うようなタイプではなかったんですが……コカインを使うと人と話しやすくなる気がしたんですよね。あと、私はもともと夜暗くなると眠くなるタイプなんです。でもコカインはお酒と違ってしっかり自分の意識が保てる。自分の意思で自分のことを守りながら人と話せるというように、当時は感じていました。アディクトしていたわけではないんですけれども、友達が持っているものをたまに使っていました。

MDMAも、海外旅行に行った時、飲み物に入っていて。友達が入れてたんですね。それをひと口飲むと、15分後に「ふわぁ〜」となる。プールやビーチで使っていました。普段使うとかじゃないんです。リラックスできて、機嫌が良くなる。もともと使っていたのは錠剤ではなく粉がカプセルに入っていたものでした。

ーー当時ってどんな感覚でそういった生活を続けてたんでしょうか?

今思うと、自分のなかに2人の自分がいた。もちろん、私は私なんだけど、“遊ぶほう”の私と、仕事とかをする“ヘルシー”な私。

仕事柄、暇な時間があることも大きかった。当時も仕事はしてたんですけど、コンスタントな雑誌の撮影ではなく、テレビCMのオーディションとかが多かったんです。もちろんそれぞれの仕事は大事にしてたんですが、その仕事の間に時間がすごくあった。2ヵ月に1回の撮影だったり、全然毎日じゃなくて。それでちょっと遊んで、それが続いていた、という感覚です。

ーーそんな生活を続けていたところ、家宅捜索のために家に警察がやってきたんですね。

本当に突然家に来ました。家に帰った時に、部屋までついてきたんです。その時、自宅をリフォームしていたんで、リフォーム会社の人かと思って挨拶したら警察官だと名乗られて、信じられなくて。「なにそれ、これなに?」みたいに混乱しました。どうぞ、と家に案内したあとで「あっ、そういえば持ってた……」と思い出して。たまたまもらったのをひとつだけ、いつ使うかも決めず適当に置いていて。それで後日逮捕されました。

ーー逮捕後、仕事はどうなりましたか?

実は家宅捜索のあと、今年の仕事の予定は入れてなかったんです。それがニュースになるかもしれないと思って。事務所には相談せず自分でそう決めていました。逮捕された場合、迷惑をかける。そうならないよう仕事は控えておこうと。でも「私は有名でもないしどうなるんだろう」とか「でも一錠だったから」とか、心配が続いていました。

ーー警察での取り調べはどうでしたか? かなり厳しいものだったんでしょうか。

マスコミに情報が流れたので取り調べも少し変わりました。細かくは言えませんが……。留置場に入る前は「これから行くところは普段生活しているようなところとはだいぶ違うけど、きちんと言うこと聞くんだぞ」と言ってくれたり、「中では辛いと思うから、出た後のしたいこと、楽しいことだけを考えろ」と励ましてくれました。逮捕の時も「俺はお前を助けるために来たんだ。だから俺を悪いと思うな」と。家宅捜索の時も「これから私どうなっちゃうんですか」って聞いたら「お前には明るい未来があるんだから大丈夫。しっかり生きていきなさい」って。

ーーものすごく意外ですね。彼らは、自分が逮捕した人がのちに再起に向けて頑張る様子も見ているんでしょうね。警察官の言葉はやっぱり、当時心に響きましたか?

はい。一番辛い時に毎日会っていたので。「お前はいま、一番下にいる。上がっていくしかないんだから、インスタも普通に更新してネットなんか見るなよ」って声をかけてくれたり。かなり励まされました。当時の気持ちには浮き沈みがあり、周りの人たちに迷惑かけちゃったのを申し訳ないと落ち込んでいたのですが、そこをずっと考えていたら、どんどん落ちていく。だから、これからどう変わっていこうか将来のことだけを考えて、気持ちはなるべくポジティブにしようと心がけていました。時間が経つのが遅いから、ノートに日記や自分の思いを書き留めたり、そうして1日1日を過ごしていましたね。

ーー周りの人たちへ迷惑……とおっしゃいましたが、家族は今回の逮捕を怒ったりしていましたか。

家族はすごく心配していました。自分が起こした事件だけど、湖に水が一滴落ちたら、さざ波が起こるように、周りの人に、すごい影響がいく。それが今回の逮捕で痛感したことです。むしろ自分はそれほど辛くない。自分じゃなくて近くにいる人、家族や周りの友人、そういう人たちにすごく迷惑かけたと思います。

特に家族には大きな影響がおよびました。仕事の面で。留置場でそれを聞いたときは絶望していました。自分の起こした事件なのに、なんで家族まで……と。また、ネットには自分の写真だけじゃなくて親の写真まで出てしまい「この人がシャノンの親です」と暴かれてしまった。

一番困ったのが、実家にまでテレビが来て、家をモザイクなしで報じた局があったこと。私が生まれ育ったところを右から左、上から下まで全部映してしまった。

ーー現状、日本では、薬物事案のようなものでも、有名人であれば逮捕時にプライベートまで暴かれますよね。逮捕後の人生はまだまだ長い。被害者がいない事件で、そういった報道は、再起を阻むのではないかと感じています。

テレビのニュースに出た私の写真も、インスタにアップしていた、誕生日の時の露出度が高いドレスを着てるもの。そんな写真を選び、「この女性が逮捕されました、28歳のモデルで、ここに住んでます」と報じられるのは恐怖でした。どこにも安全がない。その後、自宅に誰か来るんじゃないかとか、家族に何か危害が及ぶんじゃないかとすごく心配しました。

ーー判決後は家族と引っ越して、新しい環境で生活されているんですよね。

はい、普段は田舎に住んで、仕事の時に移動するという生活をしています。早寝早起きして。朝5時半に起きて、太陽が出る前に30分くらい散歩をする。無人販売所にお金を入れて野菜を買ったり。そうやって朝を過ごしています(笑)。

実は、最近2つお仕事をいただいたんです。そのひとつは、ずっとお世話になっていたクライアントさんからで、裁判の後に「今はまだ考えられないかもしれないけど是非お願いしたい」とメッセージをくれて。信じられなかったですね。素直に嬉しかったのですが、でも葛藤はありました。今、やるべきではないのかな……とも思ったり、インスタに「自粛しろ」とか書き込まれたりもしていたので、何もアップしないほうがいいのかな……って思ったり。

でも気持ちを変えて前向きに過ごしています。インスタには応援メッセージも多いから、すごく嬉しくて、悪いコメントが来ても、意外と凹んでないですね。

ーーいま、依存は残ってない?

ないですね。全く一度も辛いと思ってないし、人生から一つモノがなくなってシンプルになったな、という感じ。よかったと思っています。コカインがなくてもコミュニケーションは取れるようになっていたけど、なんとなく使っていたんだなって。

ーー日本は違法薬物を使用したり所持すれば逮捕ということは法律で定められてますが、実際のところ教育の現場ではそれぞれのドラッグの影響や、もし使った時の対処法など、突っ込んだ教育はなされていないのが現状ですよね。

シャノンさんのように、実は身近な友達が使っていたりして、誘われたりもする。誰しも、溺れるリスクはあるんだなと感じます。今まさに、友達から誘われて、という若い人がいたとして、逮捕や裁判という経験を経たシャノンさんがその人達に伝えたいことはありますか?

「皆に言えることをする」って心がけてほしいです。自分は2つの面があった。親にはこっち、友達にはこっち。でもそれだとどこかで変になってしまう。嘘を重ねたりもする。だから1つの自分であってほしい。むしろ私はそうすることで楽になりましたね。なんとなく気づいたら自分の人生に入ってきていた薬物。それが人生からなくなり、とてもすっきりしています。

あと、お酒と同じように、「いつでもやめられる」と思ってる人ほど、やめないもの。「やめる」っていうのは一生やらないことだなって思います。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

  • 撮影yayamax

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