血圧を下げる「トマト」、ストレスを緩和する「メロン」ってなに? | FRIDAYデジタル

血圧を下げる「トマト」、ストレスを緩和する「メロン」ってなに?

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最近よく耳にする「機能性表示食品」。これらはいったいなんなのか。利用する価値はあるのか? 農業・食品産業技術総合研究機構の山本(前田)万里氏に聞いた。

内臓脂肪を減らす“リンゴ”、骨が丈夫になる“もやし”って、ホント?

“リンゴ”や“もやし”のほかにも、最近、「機能性表示食品」として、血圧を下げる“トマト”や、ストレスを緩和する“メロン”があると話題になっている。「機能性表示食品」って、いったいなんなのだろう。山本(前田)万里氏が、次のように語る(以下「」内のコメントは同氏)。

「『機能性表示食品』とは、“機能性成分”を一定量含んでいる食品です。食品には、さまざまな栄養が含まれています。その中の“機能性成分”とは、ポリフェノールや食物繊維など、不足しても死ぬことはないけれど、健康に生きていくうえで欠かせないもの。『機能性表示食品』の制度化は、こうした“機能性成分”を意識して摂取し、健康に暮らしてほしいという目的からでした」

内臓脂肪を減らすリンゴには「リンゴ由来プロシアニジン」が、骨が丈夫になるもやしには「大豆イソフラボン」が、ストレスを緩和するメロン、血圧を下げる機能があるトマトには「GABA」が一定量含まれていることが認められ、「機能性表示食品」となっているという。

「農研機構」資料より
「農研機構」資料より

世界に先駆けて生鮮食品にも「機能性表示食品」の表示が

食品には、“機能”を表示できる制度が3種類ある。一つが、「特定保健用食品」、いわゆる「トクホ」と呼ばれるもの。もう一つが「栄養機能食品」。そして、2015年に新たに加わったものが「機能性表示食品」だ。

「『機能性表示食品』には“サプリメント”、お茶や干ししいたけ、飲料、缶詰などの“加工品”、そして“生鮮食品”の3つのジャンルがあります。この生鮮食品に表示できるようになったのは、世界でも日本が初めてです。5月30日現在で届け出されている品目は2084食品。内訳は加工食品1027食品、サプリメントは1018食品、生鮮食品は36食品で、今後もっと生鮮食品を増やしていければと思っています」 

成分という意味では、その成分の“サプリメント”をとったほうが手っ取り早い?

「目にいいとされている“ルテイン”が豊富なほうれん草が『機能性表示食品』となっていますが、そのほうれん草にはルテインだけが含まれているわけではない。さまざまな栄養が摂れるという意味でも、生鮮食品を食べることを勧めたいと思います」 

たとえば、静岡県の「三ケ日みかん」に含まれているミカンの色素“β-クリプトキサンチン”が“骨”の健康維持に有効として「機能性表示食品」として発売され、話題になった。“骨にはみかんがいい”ということがわかる。骨を強くしたいと思えば、みかんを積極的に食べればいい、というように食材選びの指標にもなる。

「農研機構」資料より
「農研機構」資料より

「機能性表示食品」はどこまで信じられるのか?

「機能性表示食品」となっているある食品のパッケージを見ると、“目や鼻の不快感を軽減することが報告されている”などと書かれている。

「血糖値やコレステロール値は数字で表すことができますが、目や鼻が不快というのは、主観的な感覚。これまではこうしたことを表示することができなかったのですが、『機能性表示食品』は、表示できる。“目や鼻”など、体の部位についての健康増進効果を機能表示できることも特徴です」

「トクホ(特定保健用食品)」は、その食品を作っている企業が、有効性について臨床試験をして、その結果を国が審査し、表示許可する。対して「機能性表示食品」は届出制。自社で試験を行うことがむずかしい、資金力のない中小企業などのために、このような制度になったと聞くが、これで効き目は担保されるのだろうか。

「『機能性表示食品』として受理されるためには、厳しい条件があります。まず、自社で臨床試験しない場合は、機能性成分について、世界中の基準を満たした研究論文をレビューして、日本人に有効性が認められることの科学的な根拠を明示しなくてはなりません」 

パッケージに「……と報告されている」と書くのは、そうした研究論文をもとにしているからなのだ。

「さらに、研究レビューに書かれている分量の成分が対象食品に含まれていることを分析し、示さなくてはなりません。そのうえ、販売する60日前に届け出内容を公表、その間に消費者団体がチェックします。自社で臨床試験を行わなくてもいいのですが、かなり厳しいんです」 

体にいいものを食べたいけれど、あまり高いと考えてしまう。「機能性表示食品」と認定された生鮮食品などは、どのくらいの値段になっているのだろうか。

「研究レビューを実施したり、食品の分析をするために費用がかかりますから、表示されていないものより高めになるのは仕方がないでしょう。2割増しくらいの価格であれば私は表示のある生鮮食品を買っています。

『機能性表示食品』が一般食品と何が違うかというと、含有量(下限値)が担保されているということです。食品成分表に載せられている食品成分の数値は、平均的な値ですので、買った食品にそれだけの含有量があるかどうかはわかりません。その点、『機能性表示食品』なら、科学的根拠のある機能性成分を表示されている含有量が必ず含まれているところが違うのです」 

気になるのは、生鮮食品の場合、天候などで成育が悪くなったときは、機能性成分含有量も減るのではないかということだ。

「ただし、生鮮食品については栽培条件により表示値を下回ることがあるという但し書きを表示して良いことになっています」 

日本には古くから“医食同源”という言葉がある。“機能性成分”を意識して摂るということは、まさに“医食同源”になりそうだ。

山本(前田)万里 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 研究管理役。筑波大学協働大学院教授。日本茶インストラクター。お茶を始めとする機能性表示食品の開発や機能性農産物を組み合わせた機能性弁当の健康効果の検証を行っている。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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