低迷フジテレビが月9『ラジエーションハウス』で見せた復活の兆し

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月9『ラジエーションハウス』での主演・窪田正孝の熱演が高視聴率につながった

 

フジテレビが、長い迷走から目覚めようとしている。

6月17日に放送された月9ドラマ『ラジエーションハウス〜放射線科の診療レポート〜』(フジテレビ系)の最終話の平均視聴率が13.8%と番組開始以来最高の数字で有終の美を飾った。回を重ねるごとに数字を伸ばし、今クールのドラマの中でトップ3に食い込む可能性すら出てきた。

「一時は、枠の存続すら危機的状況にあった“月9”も、これで4期連続で二桁視聴率を獲得。長らくドラマ部門をみて来た石原隆取締役も『うちの看板枠の元気がないと、フジテレビ全体が元気のないように捉えられてしまう。ようやくこれで改革が実を結びつつある』とコメント。“月9”ドラマから生まれた2018年公開の映画『劇場版コードブルー−ドクターヘリ緊急救命−』は興行収入90億円を突破、現在公開中の映画『コンフィデンスマンJP ロマンス編』もヒット中で、続編の製作が決定。確かに“月9”の復活がフジテレビ復活の第一歩であることは間違いありません」(夕刊紙デスク)

しかし、“イケメンパラダイス”でもないこのドラマが、なぜ高視聴率をマークすることができたのか。“月9”ドラマをよく知る制作会社プロデューサーは、こう話す。

「医療系のドラマなのに、『ドクターX』のような孤高の天才外科医が活躍するわけでもなく、舞台はあくまでも病院の縁の下の力持ちである放射線科。そのあたりが新鮮で共感を得ているようです。そして主演する窪田正孝を始め、放射線技師長役の遠藤憲一、山口紗弥加、広瀬アリス、浜野謙太たち放射線技師たちのチームワークの良さも見逃せない。浜野自身のインスタグラムには、世界的なロックバンドQUEENのヒット曲『ドント・ストップ・ミー・ナウ』に合わせて踊りまくるメンバーたちの動画もアップされ注目を集めました。さらに見逃せないのが、これまで数々の“月9”ドラマを演出して来た鈴木雅之監督の『HERO』を思わせるようなオープニング映像。いろんな意味で「月9DNA」を感じさせるドラマとなりましたね」

 

フジテレビの宮内社長も6月7日の定例記者会見で「今までにない医療ドラマが新鮮で、キッズ層、親世代だけでなく高齢層もしっかり掴んでいる」と手応えを口にしている。

“月9”復活が、視聴率「民放4位」に低迷するフジテレビの復活の狼煙となるのだろうか。

「17年に宮内社長が就任した当初のフジテレビは、5期連続の減益。しかし就任の翌年には営業増益に転換。18年には前年度比、2倍以上に急増。『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』といった長寿番組を終わらせ、コストカットにも取り組みました。この時、宮内社長の肝煎りで行われたのが、編成局主導の社内改革。実は82年から12年連続視聴率三冠王に輝いたフジテレビの黄金期も、編成局が中心となって社内をまとめ快進撃を続けました。宮内社長は当時、編成局の一員だった。同じ手法で、復活の糸口を掴んだというわけです」(前出・制作会社プロデューサー)

宮内社長は運にも恵まれていると話すのは、前出・夕刊紙デスクである。

「去年6月に公開された是枝裕和監督の『万引き家族』は、カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを獲得して興行収入は45億円を突破。今年に入って1月に公開されたキムタク主演の『マスカレード・ホテル』も45億円超え。さらに2月の『翔んで埼玉』も35億円超えと、“月9”ドラマから生まれたもの以外でも、ヒット映画を連発。映画界でもフジテレビらしさが発揮されてきたのではないでしょうか」

宮内氏が社長に就任して2年。フジテレビは、さらなる一手を打ち出している。6月7日、フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビジョン、それぞれの次期社長に内定した金光修専務と遠藤龍之介専務の就任予定会見が都内で行われたのだ。

「2人ともフジテレビ黄金時代に編成局に席を置いています。当時、金光新社長は『カルトQ』『料理の鉄人』といったエッジの効いた番組を立ち上げATP賞グランプリを受賞するなど、企画力抜群。一方、遠藤新社長は2時間ドラマや時代劇に携わり、父である作家・遠藤周作譲りのユーモアのセンスもあるムードメーカー。この二人と宮内会長のトライアングルで改革を進め、”フジテレビ復活”を確かなものにして欲しいですね」(放送作家)

 

2018年度の年度視聴率は、ゴールデン8.1%( + 0.3%)、プライム7.9%( + 0.2%)、全日5.7%(±0)と前年に比べてわずかに微増。鳴り物入りで始まった、加藤綾子キャスターの夕方のニュース番組『Live News it!』は苦戦をしいらさられているが、今年4月1日で丸25年を迎える朝の情報番組『めざましテレビ』第2部(6時10分から8時)の18年度平均視聴率が、14年度以来4年ぶりに同時間帯視聴率1位に輝くなど、“月9”以外にも復活の兆しは見える。

「亀山千広前社長は以前、『ドラマで話題を呼び、バラエティで視聴習慣を付けさせ、報道番組で信頼を得る』と常々話していました。“月9”から始まったフジテレビ復活劇は、まだ狼煙が上がったばかり。新体制がスタートしてどこまで視聴率を回復することができるのか、見ものです」(前出・放送作家)

年間視聴率三冠王を巡って、日本テレビとテレビ朝日が熾烈なバトルを繰り広げる昨今。フジテレビがこの争いに加わる日は、果たしてやってくるのか。期待したい。

 

 

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    神奈川県出身。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新社)を上梓

  • PHOTO川上孝夫

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