日本のタンカーがホルムズ海峡で炎上 襲撃犯の正体は誰だ? | FRIDAYデジタル

日本のタンカーがホルムズ海峡で炎上 襲撃犯の正体は誰だ?

トランプ大統領は「イランの仕業」と名指しするが

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ホルムズ海峡は一番狭い部分では幅が約33㎞しかなく、航路が制限されている。海峡付近では手の届きそうなところをひんぱんに船舶が行き交う
ホルムズ海峡は一番狭い部分では幅が約33㎞しかなく、航路が制限されている。海峡付近では手の届きそうなところをひんぱんに船舶が行き交う

「犯人は不明ですが、間違いないのはタンカーの舷側に穴を空ける攻撃力を持っているのは、国家レベルの軍隊しかないということです」

報道カメラマンの横田徹氏は、こう断言する。6月13日、中東のホルムズ海峡付近を航行していたタンカー2隻が何者かによって次々と攻撃されて炎上。そのうちの1隻は三菱ガス化学が50%出資している「国華産業」が運航する「コクカ・カレイジャス」だった。横田氏が続ける。

「ホルムズ海峡では、’10年にも商船三井のタンカーがゲリラによる攻撃を受けて損傷しています。この事件後に私は日本の船舶会社が運航するコンテナ船に同乗してペルシャ湾を航行したことがあるのですが、船内は24時間警戒態勢でピリピリと緊張し、全乗務員を集めての対処訓練なども行われていました。海賊などが携行している武器は、AK47(カラシニコフ)とRPGロケットランチャーというのがペルシャ湾の常識です。しかしAK47やRPGロケットランチャーでは、巨大船舶の船殻を打ち抜くことはできません。今回使われたと思われるミサイルあるいはリムペットマイン(吸着水雷)は、特殊作戦用の武器で、本格的な軍事組織でなければ扱えないのです」

タンカー攻撃の一報から、情報戦を仕掛けているのが米国だ。米国は「イラン政府犯行説」を打ち出し、その証拠としてイラン国内の軍事組織「革命防衛隊」の小船がタンカーに近寄る写真を公開。吸着水雷の不発弾を取り外す様子だとした。革命防衛隊の関与が疑われる一方で、イラン政府は、攻撃など一切していないと反発しており、緊張は高まるばかりだ。国際政治アナリストの菅原出(いずる)氏が言う。

「米国には、対米強硬派の最高指導者ハメネイ師に忠誠を誓う革命防衛隊をテロ組織として国際社会に認めさせたいという思惑がある。たとえイラン政府が”我々は関与していない”と言い張ったとしても、それは政府が革命防衛隊をコントロールできていない証拠だからもっとイランに圧力をかけないといけない――という論理に持っていこうとしています。

中東問題に関しては、さすがに安倍晋三首相もトランプ大統領に追従するわけにはいきません。日本は3.11以後、原油の中東依存率がさらに高まっており、良好な関係を築いてきたイランとは関係を崩したくない。とりわけ日本の産業界から強烈な要望が出されており、イランとの対話を続ける必要があります」

ホルムズ海峡は、北にイラン、南にオマーンとUAEが国境を接する喉頸(のどくび)のように狭い場所。この地域で軍事オペレーションをできるのはイランだけというのが多くの専門家の共通した認識だ。では実際に指示したのは誰なのか、そこに注目が集まっている。

6月13日、黒煙をあげるタンカー。「コクカ・カレイジャス」の乗組員は2回目の攻撃時に飛来物が飛んでくるのを見た、と証言している
6月13日、黒煙をあげるタンカー。「コクカ・カレイジャス」の乗組員は2回目の攻撃時に飛来物が飛んでくるのを見た、と証言している
米軍がイランによる攻撃の証拠として14日に公開したタンカー右舷の損傷跡。米軍は17日にはさらに詳細な接近画像も公開している
米軍がイランによる攻撃の証拠として14日に公開したタンカー右舷の損傷跡。米軍は17日にはさらに詳細な接近画像も公開している

『FRIDAY』2019年7月5日号より

  • 撮影横田徹(1枚目)写真AFP/HO/IRIB(2枚目) AFP/US NAVY(3枚目)

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