「Kimono」撤回のキム・カーダシアン 炎上商法また大成功!
新たに立ち上げる下着ブランドの名前を「Kimono」にすると発表していたアメリカのタレントで実業家のキム・カーダシアンが、激しい反発を受けて名称の変更を表明した。
キムはツイッターで「わたしはみなさんのご意見から、多くのことを学び、成長しました」と語り、批判の声を真摯に受け止めている。
キムが「Kimono」という単語の商標登録を申請していたことから、「着物」本来の意味で「Kimono」と表記できなくなる懸念が拡がり、NHKもニュース番組で推移を報道するほどの大きな騒動になっていた。
キムの下着ブランドは、発表当初、大好評で絶賛されていた。キムが日頃から愛用していた補正下着がベースで、どんな肌色にも対応する9色ものカラーバリエーションに、XXSから4XLもの豊富なサイズ展開が特徴。ドレスのスリットから下着が見えないよう、片脚だけ丈の短いガードルを作るなど、ユニークなアイデアも高く評価されていた。
ところが、そのブランド名を「Kimono」にすると発表したところ、在米の日本人たちを中心に大きな反発が起きた。
キムが会社名として「Kimono Intimates」の商標を得たことや、「Kimono」のほか「Kimono World」「Kimono Body」なども商標登録しようとしていることが判明し、抗議の声が上がった。
そもそもなぜ、キムは「Kimono」と名付けたのか。キムは2015年に、自分自身の似顔絵を使用した絵文字アプリ「Kimoji」を大ヒットさせたことがある。「Kimono」というネーミングは、自分自身の名前である“Kim”と日本語由来の単語を交ぜているという点で、「Kimoji」とまったく同じ考え方のもとに名付けられたものだ。
夫のカニエ・ウェストは大の日本贔屓で、度々お忍びで来日していることでも有名。2017年には、キムがカニエの誕生日に日本旅行をプレゼントしたことも。
また、2018年には姉と妹を引き連れて浅草や京都を観光し、その様子を自身のリアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』で公開した。
というわけで、キムはおそらく、日本の文化を侮辱するつもりはなかったのだろう。来日時に「日本の人々はとても親切だった」と感激していたほどなので、むしろ「着物」と同じ響きの「Kimono」に、日本人が喜ぶと思っていた可能性もある。
ところが、想定外の反発が起きた。しかし、「Kimono」騒動はやり手のキムにとって、ピンチどころか大チャンスだ。騒動が大きくなればなるほど、下着ブランドの宣伝になるからだ。
京都市の門川大作市長がブランド名の変更を求める書簡を送り、世耕弘成経済産業相もツイッターに「しっかりと審査してくれるよう、アメリカ特許商標庁にも話をしたい」と書き込む事態にまで発展したところで、キムは態度を一変した。
「Kimono」の撤回を表明し、「日本の文化や、その文化を愛する情熱をわたしに教えてくれてありがとう」と感謝までしたのだ。
SNSにはキムに感謝するコメントがあふれ、抗議文を送った京都市長もキムに「思慮深い御英断に心から敬意を表します」と改めて文書を送った。
現在のところ、新たな名称は発表されていないが、キムは何も損をしていないばかりか、いまいち認知度が低かった日本でも売名に大成功した。
炎上から好感度アップまでの見事なやり口には脱帽だ。
▲インスタグラムでも、「Kimono」の撤回を表明。新たなブランド名は改めて発表するとコメントしている。
構成・文:原西香
(はら あきか)海外セレブ情報誌を10年ほど編集・執筆。休刊後、フリーランスライターとして、セレブまわりなどを執筆中