G20の話題を独占 トランプが演出した「劇的米朝会談」の舞台裏
トランプの作戦勝ち

「G20外交の勝者はトランプです。習近平と会談して貿易戦争は最悪の状況を脱したとアピールし、株価も上がった。プーチンには米大統領選挙に介入するなと話して”強い大統領”のイメージを維持。そしてあたかも金正恩を手なずけているかのように見せた。今回の会談は大統領選に向け、ポイントを稼いでおきたいだけです」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)
G20大阪サミットで最後の最後に世界の話題を独占したトランプ米大統領。米朝首脳会談は、G20閉幕直前の29日に「ツイッターで呼びかけて実現した」というが、本当にサプライズだったのか。龍谷大学の李相哲教授が実情を解説する。
「アメリカ政府は少なくとも1週間前には米朝会談に向けて動いていました。米の政治専門誌が、DMZ(=非武装地帯)で金正恩・朝鮮労働党委員長と会うかもしれないと発言したトランプ氏のインタビューを28日付で載せていましたが、これは事前に取材したもの。他にも北朝鮮担当特別代表が事前に韓国入りしたことなど状況証拠が複数ある。今年2月のハノイ会談で決裂して経済制裁が続き、国内の求心力が低下している金委員長側にとっても渡りに船のタイミングだった。ツイッターの件は、劇的な会談にするためのトランプ氏の”演出”だったのです」
朝鮮半島の非核化が実現するか否か。パフォーマンスにごまかされて最も重要な問題から目をそらしてはいけない。






『FRIDAY』2019年7月19日号より
写真:AFP、EPA、SPUTNIK/時事、加藤 慶