登美丘高校ダンス部の世界挑戦作!akaneコーチ“ラスト作品”

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

“バブリーダンス”を生み出すなど活躍が目覚ましい大阪府立登美丘高等学校ダンス部(堺市/以下、登美丘高校ダンス部)。アメリカ・ロサンゼルスで7月28日(現地時間)に開催されるダンスコンペティション「WORLD CHAMPIONSHIP」の世界大会「WORLD OF DANCE 2019」(以下、WOD2019)の「TEAM DIVISION」部門に日本代表として出場する。

その登美丘高校ダンス部が、2019年7月6日と7日、プロの振付師たちが作品を出展し競い合うコンペティション「Legend UNIVERSE 2019」(大阪・オリックス劇場)に出場し、WOD2019用の新作「Can’t Stop Dancing!!」を初披露した。結果は見事、優勝。

登美丘高校ダンス部:7月28日(現地時間/アメリカ・ロサンゼルス)には、「Legend UNIVERSE 2019」でお披露目した作品をブラッシュアップし、世界一に挑む。(写真:竹内みちまろ)

地元大阪での優勝という最高の形で弾みを付けた登美丘高校ダンス部だが、新作にはどんな想いが込められており、どんな意気込みで世界に挑むのか?
新作を手掛けた振付師であり同校ダンス部コーチのakane氏は、今後は登美丘高校ダンス部の総監督に就任し、登美丘高校ダンス部のために作る大会用の作品としては最後となる。
コーチの想い、ダンス部員の想いを「Legend UNIVERSE 2019」でのパフォーマンスの様子とともに、紹介したい。

■新作「Can’t Stop Dancing!!」はどんな作品?

登美丘高校ダンス部のメンバーは女子だけで構成され、「Legend UNIVERSE 2019」には75名で出場。演技が始まると、リーゼントにジャンパーや、フレアスカートに大きなリボンなど、80年代のアメリカを彷彿させるスタイルで登場。パフォーマンスには複数の楽曲が使われ、最初に流れたのは映画「フットルース」(1984)の挿入歌「Footloose」(Kenny Loggins)。バッチリ男装をキメたメンバーたちは得意げな表情でポーズを取り、リボンを髪の毛に飾るメンバーたちはスカートをなびかせる。作品は、華やかな雰囲気で始まった。

登美丘高校ダンス部:akaneコーチは「この作品は言葉がなくても伝わると思っています」、「この作品をアメリカでぶちかましたいと思っています」と自信を覗かせている。(写真:竹内みちまろ)

akaneコーチいわく、「私の大好きな80年代の音楽と、終盤に畳みかけて盛り上がっていくところがポイントです」。

■後半には、akaneコーチが「一番好きな作品」が登場

「Legend UNIVERSE 2019」では、作品披露の制限時間は5分で、高校ダンス部が大会で披露する作品を基準に考えると、長い作品となる(高校ダンス部の大会では2分半などが主流)。「フットルース」をはじめとする楽曲を使って、華やかで陽気なダンスをたっぷりと魅せたあと、akaneコーチが“畳みかける”と表現していた後半には、メインステージと2階ステージを繋ぐ大階段に、レオタードスタイルに早着替えを済ませていた部員たちが登場。テレビドラマ「スクール☆ウォーズ ~泣き虫先生の7年戦争~」(1984-85)の主題歌として日本語カバーされたことでもお馴染みの「Holding Out for a Hero」(Bonnie Tyler)が流れると、会場は熱狂の渦に包まれた。

登美丘高校ダンス部:作品後半で「Holding Out for a Hero」の楽曲が流れると会場は熱狂の渦に。(写真:竹内みちまろ)

「ヒーロー」は、女優の伊原六花が高校3年生のときに披露された“バブリーダンス”の2年前の作品。この「ヒーロー」で、登美丘高校ダンス部は、高校ダンス部の大会としては日本で一番有名とも言われる「DANCE STADIUM 日本高校ダンス部選手権」にて悲願の初優勝を果たしている(第8回 夏の公式全国大会/ビッグクラス/2015年)。レオタードスタイルと“エアロビダンス”とも呼ばれるエアロビクスをモチーフにした独特の振り付けは、登美丘高校ダンス部が注目を浴びるキッカケにもなった。

新作に「ヒーロー」を組み込んだ理由をakaneコーチに尋ねると、「WOD2019にもこの作品で挑むのですが、『ヒーロー』は私が一番好きな作品です。『今回のチームに絶対に踊ってほしい』と思っていました。『ヒーロー』は『Legend UNIVERSE』でも、WOD2019の予選大会でも披露したことがなかったので、勝負としても『挑める』と思い、ブラッシュアップしてさらに強くして組み込みました」。

登美丘高校ダンス部:「ヒーロー」といえばレオタードスタイルと“エアロビダンス”がトレードマーク。akaneコーチいわく、「『ヒーロー』は私が一番好きな作品」。(写真:竹内みちまろ)

■世界に挑む「ヒーロー」には大技も!

akaneコーチの言葉通り、今回の「ヒーロー」では、2015年の「ヒーロー」の振り付けを踏まえつつも、メンバーの3年生が、演技開始後4分過ぎという体力的に苦しい時間帯に、ソロパートで側方宙返り(側宙)を成功させた。当日、会場には登美丘高校ダンス部のOGたちも駆け付けていたが、現役で「ヒーロー」を踊った世代のOGの1人は、「私たちの時代には、側宙なんて技はありませんでした。すごい」と、感動を隠せない様子。

側宙を成功させたメンバーは、「小さなころに少しだけ習ったことはあったのですが、高校入学時は側宙はもうできない状態でした。それから、独学で何回も、何回も、練習しました。ただ、練習でも成功する確率は低く、本番では“できるかできないか半々くらい”でした。成功した瞬間は、『よかった』と安心した感じでした。akaneさんからは、『ぶちかませぇぇぇ!』と言われていました(笑)」と話してくれた。

登美丘高校ダンス部のパフォーマンス中、akaneコーチは、客席奥にあったマスコミ席のさらにその後ろから部員たちを見守っていたが、「ヒーロー」が始まると「行けぇ!」などと声を出し始め、側宙が成功した瞬間には「やった!」と絶叫していた。

■akaneコーチが手掛ける大会用のラスト作品

akaneコーチ:表彰式のスピーチで「これに優勝するためにみんなで必死に頑張ってきたので自信はあったのですが、優勝できて嬉しいです。この結果を自信に変えて、世界一を取りたいなと思います」と目を輝かせた。(写真:竹内みちまろ)

自身も登美丘高校ダンス部のOGで、コーチとして登美丘高校ダンス部を全国優勝に導いたakaneコーチは、WOD2019をもってコーチという立場から一歩退き、登美丘高校ダンス部の総監督に就任する。「Legend UNIVERSE 2019」でお披露目し、WOD2019で世界に挑戦する今回の作品が、akaneコーチが登美丘高校ダンス部のために作る大会用の作品としては最後となる。

akaneコーチは、「今日も、OGの子たちも、親御さんたちも、支えて下さる方々も観に来て下さっていたのですが、『『ヒーロー』を生でもう一度観られてよかった』や、『青春時代を思い出しました』などの声を聴かせて頂きました。恩返しができたのかなと思いました。この作品が好きな私自身も、『もう一度、生で観たい』という夢がありました。その夢を今日、みんなが叶えてくれました。優勝という結果よりも、そのことが一番嬉しかったです」と心境を言葉に。

akaneコーチ:表彰式のスピーチでは涙を見せる一幕も。(写真:竹内みちまろ)
akaneコーチ:「75人という大人数で挑めたのも地元の大阪開催だからということが大きかったですし、ホームの大阪で絶対に優勝したいという思いがあったので、優勝できてよかったと思います」と話してくれた。(写真:竹内みちまろ)

表彰式後、3年生でキャプテンの部員に話を聞くと、「この大会に出場するというのは私たちのわがままだったのですが、akaneさんに伝えたら真剣に考えて下さりました。自分たちが優勝したいという気持ちもあったのですが、それ以上に、akaneさんに優勝をプレゼントしたいという想いで踊りました」と話してくれた。

■普通の高校生たちの世界挑戦

登美丘高校ダンス部:3年生は、大会出場からは「WORLD OF DANCE 2019」をもって引退となる。(写真:竹内みちまろ)

「Legend UNIVERSE 2019」の次には、いよいよWOD2019が待っている。キャプテンにWOD2019にどんな気持ちで挑むのかを尋ねると、「WOD2019は新しい挑戦で、高い壁でもあるのですが、私たちが世界でどこまで通用するのかということを一度、試して、生で体感できたらなと思います」と答えてくれた。世界挑戦のその先については、「私も含めた3年生は、大会出場からはWOD2019で引退になります。WOD2019の経験を糧に後輩たちが次に繋げてくれたらいいなと思っています」と後輩たちに想いを託すようだ。

WOD2019のステージには、Legend UNIVERSE2019のステージにはあった階段はなく、ステージも狭くなるため、WOD2019までの短期間で、今回の作品を、“階段を使った立体”から“何もない平面”という環境の変化に合わせて作り変えるそう。キャプテンは、「今回も保護者の方が全員分の衣装を作って下さりました。また、今日は、OGの保護者の方が、出場メンバー全員のウィッグをセットして下さりました。この作品は、色々な方のサポートなしでは創り上げられなかった作品です。これからも、大変なことはたくさんあると思いますが、支えて下さっている方々にパフォーマンスでお返しができるよう、頑張って行きたいと思います」と笑顔。

高校ダンス部界には、高校に入学する時点ですでに側宙(もしくは、ダンスの難しいステップ)などの技を身につけており、中には、演技終盤の時間帯に、注目を一身に浴びるソロパートでその技を成功させるための実戦経験を積んでいる部員たちもいるのかもしれない。ただ、今回の登美丘高校ダンス部の部員たちは、ほとんどが高校に入ってから本格的にダンスを始めたそう。

登美丘高校ダンス部のWOD2019出場は、「けして“エリート”といえるわけではない普通の高校生たちの世界挑戦」という点でも、活躍を期待したい。

登美丘高校ダンス部:「WORLD OF DANCE 2019」での目標を尋ねると、「もちろん世界一です」と答えてくれた。(写真:竹内みちまろ)
  • 文・撮影竹内みちまろ

    1973年、神奈川県横須賀市生まれ。法政大学文学部史学科卒業。印刷会社勤務後、エンタメ・芸能分野でフリーランスのライターに。編集プロダクション「株式会社ミニシアター通信」代表取締役。第12回長塚節文学賞優秀賞受賞。

Photo Gallary9

share icon記事をシェアする

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事