いきなりの「アリウープ」! 八村塁が実戦で見せつけた規格外の力
NBAサマーリーグ 期待に応えて挨拶代わりにチーム最多19得点を決めた大型ルーキー
「ハチムラがアリウープダンクをきめたとき、会場は爆発的な歓声につつまれました。何人もの観客が立ち上がって『ルイー!』と叫んでいた。NBAに新たなスターが生まれることを予感させた瞬間でしたね」(ワシントン・ポストのNBA担当キャンデス・バックナー記者)
日本人として史上初のドラフト1巡目指名でNBA入りを果たした八村塁(21)が、デビュー早々、華々しい活躍を見せている。7月7日の試合では、空中でパスをキャッチしてそのままリングにたたき込むアリウープダンクをきめるなど14得点をあげてチームを勝利に導いた。続く7月9日の試合でもダンクシュートをきめた八村は、チーム最多の19得点をあげ、その実力を全米に示した。
元社会人バスケ選手で、現在は解説者をつとめる塚本清彦氏が八村の能力を分析する。
「NBAでは多彩なオフェンスができることが武器になる。1戦目ではフックシュートや、ゴール下でターンしてからのシュート、アリウープダンクなど、いくつもの技術を駆使して得点している。この点はチームで評価されていると思います。10月から始まるシーズン本番でも、スタメンとして出場する可能性は十分にあるでしょう」
八村が高く評価されているのは、バスケの実力だけではない。その人柄も、人気を集める大きな理由だ。
「ウィザーズファンの間で有名なのが、ドラフト前、ウィザーズの幹部が大学へハチムラの視察に行ったときの話です。幹部は名前や身分を隠していたのにもかかわらず、ハチムラは彼に丁寧に挨拶したんです。彼の謙虚な姿勢に感心したそうです。そのような人間性も高く評価されています」(現地記者)
実力と人気を兼ね備えた八村だが、抱えている課題もある。日本生まれ日本育ちの八村は、チームメイトとの英語でのコミュニケーションに苦労しているという。しかしそれも、やがて克服できるだろう。
「八村選手は大変な努力家としても評判です。アメリカのゴンザガ大学への進学が決まると、渡米までの間、日本で一日8時間も英語を猛勉強。大学進学後も勉強を続けて、3年間で日常会話は問題なく話せるようにまでなりました」(塚本氏)
国内外から大きな期待を集める八村。目覚ましい活躍をして、日本のバスケ界もぜひ盛り上げてほしい。

『FRIDAY』2019年7月26日号より
写真:アフロ