女子大生「冷蔵庫死体遺棄」 父親が警察にかけ続けた「ウソ電話」
東京・荒川区発 和菓子屋を経営する父親が愛娘の首を絞め自殺。直前にかけていた「ウソ電話」の中身とは
「英喜(ひでき)さんはいつも19時まで自分の和菓子店で働き、それ以降は宅配ピザ店でデリバリーのアルバイトをしていました。娘や息子には自分のように朝から晩まで働くような苦労はさせたくないと話していたのを覚えています」(近隣住民)
7月7日、荒川区東尾久の和菓子店「菓匠 木津屋」の冷蔵庫から、近くに住む女子大生・木津いぶきさん(18)の遺体が見つかった。その4時間後には、さいたま市内の河川敷にて、「木津屋」経営者で父親の木津英喜氏(43)が首を吊って死亡しているのが発見された。警視庁尾久署は、親子間にトラブルがあったとみて殺人・死体遺棄事件の捜査を進めている。
「英喜さん夫妻は15年ほど前に結婚、奥さんは再婚で、いぶきさんは母方の連れ子です。当時高校生だったいぶきさんと英喜さんが手をつないで歩いていた時は、ずいぶん子煩悩だなと驚きました。その一方で、彼女の成績が悪いと叩いたりするなど、複雑な親子関係だったみたいです。それが原因か、最近は和菓子店にいぶきさんが立ち寄るのをほとんど見ていません」(別の近隣住民)
英喜氏は自殺直前、妻やいぶきさんの弟に「娘を店で切った。川に沈んで死ぬ」という旨の電話を2度にわたってかけている。しかし、いぶきさんの遺体には目立った切り傷や出血はなく、死因は首を圧迫されたことによる窒息だった。また、溺死ではなく首を吊って自殺したという。なぜ英喜氏は家族に「ウソ電話」をかけたのか。臨床心理士の矢幡洋氏は話す。
「『首を絞めて殺した』ではなく、『切った』と言ったのは、いぶきさんがまだ死んでいない、急いで手当てすればまだ間に合うと思わせるための”偽装工作”だったのではないでしょうか。早く家族が駆けつけてくれれば、自分の自殺を止めてくれると思ったのかもしれません。川で溺死ではなく、人通りのある河川敷で首吊りを選んだのも、最後の最後に誰かに見つけてもらって、自殺を止めてほしいという願望があった可能性があります」
店内からは、父親の筆跡で「二人で死のうと思う」と書かれた、無理心中をほのめかす遺書のようなメモが発見されている。動機解明のカギとなる二人の携帯電話は、まだ見つかっていない。


『FRIDAY』2019年7月26日号より
撮影:蓮尾真司(木津屋)