あなたの給料は合格?「時給換算」で捉えてみると見えてくる真実 | FRIDAYデジタル

あなたの給料は合格?「時給換算」で捉えてみると見えてくる真実

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自分の市場価値を考えるとき、残業代や様々な手当てが含まれている月給では評価が見えづらい。そんな時、ファイナンシャルプランナーが提案するのが「時給換算」。果たして今の給料は自分の能力に見合ったものなのか。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏に聞いてみた。

「やりがい」があるだけではダメなのか?

「年収が同じでも、ある人は毎日5時間ぐらい残業していて、別の人は残業が1時間ぐらいだとします。そうすると、当然残業が多い人は時給が低いわけです。体力を失うし、精神的にも疲れてくるし、回復する時間も作れない。しかも、残業代を全額きちんともらえているならまだしも、残業時間の上限があって、それ以上は支払ってくれない会社もある。単純に年収だけではなく、時給計算をして、ときどき自分の今の状況を客観的にとらえておかないと、ブラック企業に飲み込まれていく危険もあります」(山崎俊輔氏 以下同)

たとえば年収450万円で月20日、毎日9時から22時まで働いているとすると、時給は約1442円。一方、定時である18時に帰れる人の時給は約2083円。同じ年収でも、働く時間によって、こんなに時給に差が出る。 

「年収は多くないけれど、仕事はやりがいがある。職場の人間関係も悪くない。だから、転職なんか考えたことはない」

こんな人もいるだろう。それに対して山崎氏は、

「『年収』『働き甲斐』『職場環境』……今働いている職場を考えるとき、この3つが大事になってくると思います。上記のように、『やりがいは感じている。とくにハラスメントもない。年収が低いけど、それはいい』と考えている人がいるとすれば、それは社員が満足していることをいいことに、会社は彼らを安くこき使えるようをごまかしていると思うんです。まさに“やりがい搾取”ですね。今の年収が自分の能力に見合っているかどうか、一度冷静に考えたほうがいいと思います」

時給いくらが妥当なのか?

「基本的には自分の年代の平均年収の時給をベースに考えたらいいと思います。平均年収は、だいたい年齢×1万円×12ヵ月というところでしょうか」 

時給を計算するときは、給与明細をもとに、手取りではなく、税引き前の金額で。税だけでなく、社会保険料や健康保険料などすべてを含んだものが、会社が社員の能力に対して払っているものだからだ。その金額を労働時間で割ると時給が出てくる。明細に正確に残業時間が記されているか確認し、サービス残業をしている場合には、実際の労働時間で計算しよう。

 

※「賃金(月)÷170(時間)」で計算。(「時給」の小数点以下は四捨五入) 参考データ:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査の概況」内の「第3表 学歴、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差」より

時給をあげる方法は?

時給を上げるには、3つの方法がある。1つは年収を変えずに「労働時間を減らす」こと、2つめは転職や昇格昇給で「年収そのものを増やす」こと。3つめは資格取得などによるスキルアップによる年収増だ。

「資格は、昇格、昇給にも影響します。会社によっては、業務に直接関係のある資格なら、資格取得のためのセミナーなどへの通学費用、テキスト代、受験費用に補助金が出たり、資格を取得するとお祝い金が出るところもあります。また、資格手当として毎月支払われる場合は年収増に直結します。もちろん、転職の際にも大きな武器になります。自分にどのような能力が求められているか考えるきっかけにもなるし、自分自身の能力を高めることにもなるので、若い人は仕事関連の資格取得がおすすめです」

今や同期が一律に昇格する時代ではない。時給を上げるためには昇格試験の準備をすることも忘れてはならない。

就職氷河期世代は「転職」も視野に!

現在の30歳代~40歳代は、まさに就職氷河期に社会に出た年代。能力があるのに、それを生かせる会社に入れなかった人も多い。そのような人は転職したほうが時給を上げる可能性が高いという。

「たとえば、年収が同じでも、労働時間が減るなら時給としてはアップしますから転職する価値があります。副業もできる時代ですから、このような場合は転職したほうがいい。逆に気をつけたほうがいいのは、年収は上がっても、13時間労働が続くような転職先。時給で考えると変わらないかむしろ下がってしまうのでは転職するメリットが薄い。いつか疲労で倒れてしまうことが考えられます」

時給が低い会社は、“利益を出すためには社員が長い時間働けばいい”と考えているところも多い。そのような会社にいても、将来性はないと、山崎氏は言う。

「自分の会社の上司の給料を参考にするのもいいでしょう。仮に年収600万円だったとしたら、どんなに頑張っても将来の給与もそこまで。であれば、850万円もらっている上司がいる会社に移ったほうが、自分の年収もそのくらいまで上がる可能性があるということです」

だが、「転職するのは、なんだか怖い」と尻込みする人が大半だろう。

「大学卒業時の就職活動のとき、ひどい目にあった経験から、そう思うのは仕方がないかもしれません。けれども、能力に見合った時給を出せない会社にいることのほうが怖いと思いませんか? 今、正社員の有効求人倍率は1.1倍を超えています。転職希望者10人に11枚求人票があるイメージです。今が転職の大チャンス。自分の評価がどのくらいか確認するためにもまずは転職アプリに登録だけしてもいいでしょう。職歴などを入れると、いくつかの転職サイトでは『あなたに見合う年収はこれくらい』と、見込みを出してくれるところもあります。 

仮に今45歳だとして、年収が100万円アップすれば、定年までに1500万円の増収が見込める。大きな会社なら、退職金も多いでしょう」 

東京オリンピックが終わったら、景気が悪くなるともささやかれている昨今。時給を計算して“やりがい搾取”されていると感じたら、転職を考えてもいいかもしれない。今がそのビッグチャンスだということなのだから。

山崎俊輔 中央大学法律学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金と投資教育が専門で、WEBを中心に10本以上の連載と年50本の講演を抱える人気FPのひとり。若い世代に向けた分かりやすい切り口が人気。近著に「共働き夫婦お金の教科書」(プレジデント社)、「スマホ1台で1000万円得するマネーアプリ超活用術」(PHP研究所)などがある。

  • 取材・文中川いづみ

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