元ヤクルトの主砲も絶賛! 村上宗隆 小心に裏づけされた鈍感力
十代で史上初の打点王獲得なるか。高校時代の恩師が明かす意外に繊細な一面
「王貞治さんの868本という通算本塁打世界記録は、絶対に塗り替えられないだろうと思っていました。その偉大な記録を、破る可能性を秘めた選手が出てきた。今年大ブレークしているヤクルトの村上宗隆(19)です」
こう話すのは元ヤクルトの主砲・広沢克実氏だ。
広沢氏が絶賛する村上は、清宮幸太郎(日本ハム)の外れ1位で’18年に九州学院高(熊本県)からヤクルトへ入団。同年9月の一軍デビュー戦では、初打席初本塁打を記録している。今年5月に4番へ抜擢されると、高卒2年目としては松井秀喜(巨人)以来25年ぶりとなる20本塁打超えを達成しているのだ。
「村上は長打力が魅力。小川淳司監督は『細かいことは言わない。三振を恐れず思い切り振れ』と指示しています。本人も物怖じせず、リーグワーストの107三振(7月21日現在、以下同)を喫しながらブンブン振っていますよ。守備も上手いとは言えませんが、エラーしてもどこ吹く風。表情一つ変えずにベンチに戻ってくると、『打って投手をラクにさせましょうよ』と大声を上げているんです。宮本慎也ヘッドコーチなど『ミスした直後に、よくあんなこと言えるな』と苦笑いしています」(スポーツ紙担当記者)
大物然とした態度の村上だが、単に鈍感な選手ではない。九州学院野球部監督の坂井宏安監督が振り返る。
「本当は繊細な子なんです。三振やエラーをすると、『申し訳ないです』とシュンとすることもあった。そんな時、私はこうアドバイスしていました。『ミスした人間が萎縮していると周りもナイーブになってしまう。失敗した時こそ前向きになれ。泰然自若としていろ』と。彼はお父さんが野球、お母さんがバレーボールをしていたスポーツ一家に育ち、向上心がとても強い。高校時代はベンチや移動のバスの中で私のそばにいて、常に何かを吸収しようとしていました。今もベンチで小川監督の前に座っている姿を見ると、大物になれる可能性を感じます」
前出の広沢氏が太鼓判を押す。
「村上のスイングスピードの速さは、日本人選手の中でズバ抜けています。余裕を持ってボールを見ることができる。まだ入団2年目の19歳。伸びシロも大きい。今後どれだけ本塁打を量産できるのか末恐ろしいほどです」
打点は巨人・坂本勇人に次ぐ2位(66打点)。十代で打点王になれば史上初の快挙だ。
- 写真:時事通信社