元SMAPの3人が明らかにした、テレビ局による「忖度=圧力」
7月17日、民放テレビ局にSMAPの元メンバー3人(香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎)を出演させないよう圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して調査を行ったと報じられた。独占禁止法違反につながる恐れがあるということで、同事務所は注意を受けたという。
ジャニーズ事務所は公式サイトでコメントを発表。それによると、
「弊社がテレビ局に圧力などをかけた事実はなく、公正取引委員会からも独禁法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません」とした上で、「当局からの調査を受けたことは重く受け止め、今後は誤解を受けないように留意したいと思います」としている。
公正取引委員会の行政指導は3段階に分かれていて、もっとも重いのは「行政処分」、その次が「警告」、そして「注意」となる。公取委の公式ホームページでも、
≪違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが,違反につながるおそれがある行為がみられたときには,未然防止を図る観点から「注意」を行っています≫
となっている。
「行政処分」や「警告」を受けていないということは、違反行為はなかった。つまり、事務所としてテレビ局に圧力をかけていたわけではなかったのだ。
しかし、「注意」を受けたのは事実。ジャニーズ事務所による“違反につながるおそれがある行為”があったのは間違いないのだろう。
今回は元SMAPの3人に関して、この問題が持ち上がったわけだが、在京キー局各局はスポーツ紙の取材に対して、一様に「圧力はなかった」と答えている。ただ、独立を機に彼らの番組が次々と打ち切りになり、その後地上波で姿を見ることはなくなった。
「はっきり言って今はあからさまな圧力はないです。しかし番組会議でも、新番組の企画が上がっても彼らの名前が出てくることはありません。それはみんな初めから了解していることなんです」
と語るのは、キー局プロデューサー。そして、
「彼らを出演させた場合、ひょっとしたら何も起こらないかもしれませんが、きっと何か面倒なことが起こるとみんな思って忖度してしまっているからです。これは無言の圧力といえるかもしれません」(同・キー局プロデューサー)
この“見えざる力”は、何もジャニーズ事務所だけが振りかざすわけではない。
先日、『スッキリ!』(日本テレビ系)でMCを務める加藤浩次がこの問題について、
「大手の事務所を独立したタレントは、何年かテレビに出られなくなるっていうのは、僕はテレビ見て気づいている方もいると思う」
と語っていたように、“事務所を独立すると干される”ということは、世間一般にも認識されている。日本の芸能界では何十年も前から “暗黙の了解”、あるいは“暗黙のルール”とされ、思い浮かぶタレントも多いだろう。
今回の“注意”をきっかけに、今後、独立したタレントが憂き目にあうことがなくなるなら、これは元SMAPの3人が残した“功績”ともいえるのではないか――。
文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中