ライバルであり親友 小栗旬&藤原竜也「壮絶演技バトル」の舞台裏 | FRIDAYデジタル

ライバルであり親友 小栗旬&藤原竜也「壮絶演技バトル」の舞台裏

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ラーメン屋で食事をしていた藤原竜也(17年)
ラーメン屋で食事をしていた藤原竜也(17年)

お客は全員、殺し屋。命が”クズ同然”に扱われる食堂で、殺し合いの宴が始まる。

「美味しいメシを食うか? それとも死ぬか?」

殺し屋を演じる窪田正孝、本郷奏多、武田真治、小栗旬、土屋アンナ、真矢みき、奥田瑛二、たちが一触即発。「美×食×死」が織り成す刺激的な世界を支配するのは、元殺し屋の天才シェフ=最狂の男ボンベロを演じるあの藤原竜也である。

「7月5日に公開された映画『Dinerダイナー』は、公開初週の興行収入が2億5万円を越え、邦画第1位に。美と狂気を孕む本作は、公開前に”藤原竜也”がツイッターの世界トレンド1位に輝くなど、注目を集めていました」(スポーツ紙記者)

平山夢明による”映像化不可能”と言われた原作小説『Dinerダイナー』。日本を代表する美術家・横尾忠則の手によって宴の舞台が再現され、錚々たる俳優との狂演を前に、誇り高き孤高の王・藤原竜也は「俺はここの王だ!」と高らかに宣言してみせる。この映画を手掛けた蜷川実花は、その時、この映画の成功を確信したに違いない。

「藤原竜也は15歳の時、演出家・蜷川幸雄に見出され、演技経験がなかったにも関わらず寺山修司作の『身毒丸』の鬼気迫る演技で大絶賛された。日本最年少21歳で『ハムレット』に主演して主な演劇賞を総なめ。映画界でも『バトル・ロワイヤル』『デスノート』『カイジ』シリーズなどで唯一無二の存在感を放ってきました」(映画誌ライター)

その藤原に強いライバル心を抱き続けてきた男がいる。同い年の俳優・小栗旬である。

二人は、15歳の時ドラマ『それが答えだ!』(フジテレビ系)で共演。舞台『ハムレット』でも共演を果たすが、小栗は藤原の演技力に圧倒された。当時、蜷川幸雄は「小栗は竜也を意識しすぎる」と明かすほど、蜷川の”秘蔵っ子”と呼ばれた小栗の藤原への嫉妬心は並大抵ではなかった。

そんな二人が09年、6年ぶりに井上ひさし作、蜷川幸雄演出の舞台『ムサシ』で相見える。当時を知る制作会社プロデューサーはこう話す。

「この年、小栗は映画『クローズZERO II』『ごくせん THE MOVIE』の公開、大河ドラマ『天地人』(NHK)などで多忙を極めていましたが、”藤原竜也との共演”と聞き万難を排して、この舞台に挑みました。宮本武蔵を演じる藤原を相手に堂々と佐々木小次郎を演じてみせました。『ムサシ』を通して真剣勝負を繰り広げる内に、二人は互いを親友と呼べる間柄になったのでしょう」

しかし翌年のロンドン、ニューヨーク公演に小栗が出演できなかったことから、蜷川との間に軋轢を生む。16年に蜷川が亡くなった際、「今僕がこの場所にこうして立っているのは、間違いなく蜷川さんの劇団の一員にしてもらったお陰です」と語る一方で、「どうします?  予定していた僕との公演。嫌われて、僕も勝手に嫌って、やっと一緒にできると思っていたのに(中略)悔しいです」と複雑な胸の内を吐露している。

「実は、亡くなる2年前に小栗は蜷川の舞台に”また出たい”と直談判。心意気に打たれた蜷川は亡くなる年に、生涯最後となる『ハムレット』を小栗のために演出するつもりでした。しかしその夢は叶わず。小栗の悔しさを思うと察するに余りあります」(前出・制作会社プロデューサー)

二度に渡って『ハムレット』を演じた“永遠のライバル”藤原に対して、夢叶わなかった小栗。小栗の藤原竜也に対するジェラシーの炎は、今もまだ燃え盛っているに違いない。

「今回、藤原から直接、『ダイナー』への出演依頼があったにも関わらず、同じシーンで一緒に演じることがなかったことを、小栗は残念がっていました。劇中で小栗は、昆虫を寵愛する容姿端麗、頭脳明晰の殺し屋マテバを演じていますが、思い入れたっぷりに世界一美しいクワガタ(ニジイロクワガタ)を食べるシーンには驚きました。本物のクワガタを食べる。これこそ、最狂の男ボンべロを演じる藤原への果たし状だったのかもしれませんね」(前出・映画誌ライター)

9月13日には、小栗旬主演の蜷川実花監督作品「人間失格―太宰治と3人の女たち―」が公開される。この映画には文壇のライバルと言われた無頼派作家・坂口安吾役で藤原竜也も出演。今回は同じシーンに出演し、バチバチに演技を戦わせている。監督の蜷川実花は、

「(太宰を演じる小栗を見て)連日の撮影で鳥肌が立つことが何度もありました。魂を賭けた芝居に毎日震えています。“これをやるための今までの人生だね”と(小栗と)2人で話しています」

とコメントしている。

今度は、藤原竜也が小栗旬に嫉妬する番か。小栗が”人間失格の男”太宰治をどう演じるのか、そして、永遠のライバルである二人の”カラミ”にも注目したい。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    神奈川県出身。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO原一平

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