「山本太郎現象」を密着撮 与党も恐れる集客能力と集金力
集会には3000人 わずか3ヵ月で資金も3億円集めたその底力
全国紙やテレビではまったくと言っていいほど報道されなかった。しかし、現場は異様な熱気に溢れていた――。
山本太郎氏(44)が今年4月に一人で旗揚げした「れいわ新選組」が、わずか3ヵ月で3億円の寄付金を集めてみせた。寄付文化がないと言われる日本では、極めて異例なことだ。その資金で候補者10名を揃えて、参院選に挑み、見事2人の当選者を出した。山本氏が演説するところには必ず人だかりができた。
「政治に興味がない人にも伝わる言葉が印象的です。象徴的だったのが、聴衆から『クソ左翼死ね』と野次られた場面。山本氏は『クソ左翼死ね、というお言葉をいただきました。ありがとうございます。死にたくなる世の中を変えたいために私は立候補しているんだ! みんなに生きていただきたい』と切り返した。どこかの政党のトップに聞かせてあげたい度量の広さで、ヤジを飛ばした相手をも惹きつけるような切り返しでした。
街頭演説はテレビ局も取材をしていますが、その様子はオンエアされません。テレビ局側が政権与党に『忖度』しているのだとすれば、自民・公明両党が山本氏を脅威に感じていたということでしょう」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)
山本氏は前回当選した東京選挙区を創価学会員の野原善正氏に譲り、比例代表で出馬。さらに優先的に当選する「特定枠」に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後(ふなご)靖彦氏と重度身体障害者の木村英子氏を充て、自身は名簿3位での立候補となった。そして、特定枠の二人を国会に送り込みことに成功したのだ。山本氏にインタビューしたことのあるジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう語る。
「安倍政権は障害者に対して、言葉の上では温かいことを言いますが、実際に障害者の人が登院することで、その言葉が本当かどうか明らかになります。
国会議員たちは、れいわ新選組が3億円を集めたことに驚いています。表面上は無関心を装いながら、自民党の幹部も野党の幹部も、れいわ新選組が何票取るかと聞いていました。相手にしないふりをしながら、気になって仕方がないのです」
いかに大手メディアや国会議員たちが黙殺しようとしても無視できない「山本太郎現象」。’21年までには必ず衆院選がある。彼らの戦いはまだ始まったばかりなのだ――。
『FRIDAY』2019年8月2日号より
- 撮影:鬼怒川 毅