『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』の大原櫻子が放っておけない理由
注目ヒロインはデビュー5周年でドラマヒロイン、主題歌、ライヴツアー、ミュージカルと大飛躍!
びしょ濡れになった大原櫻子の姿を見ると胸がキュッとなる。それは女性のセクシーさにドキッとするというよりも、一途にこっちを見つめてくる濡れた子犬を見かけて、いても立ってもいられなくなるような、あの感情。テレビの中でも舞台の上でも、取材の受け応えをするにも、こちらをまっすぐ見つめて一生懸命な大原櫻子を私たちは放っておけないし、目が離せない。
現在、『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』(テレ東/毎水/深1:35〜)で主人公の羽衣(はごろも)役を演じている彼女は、実家のラブホテルで探偵を営んでいる兄を特殊能力を使って助けている。その特殊能力というのが“水に濡れるとタイムリープする”というもの。そのためドラマの中では何度もびしょ濡れになっている。
「撮影中はほぼ毎日濡れていました。しかも結構思いっきり水をかけられるので痛くて……水が当たると痛いということを撮影を通して知りました(笑)。撮影は3月に行われて、まだ寒い日もあったので体調管理が心配でしたが、スタッフさんが本当にケアしてくださってなんとか主演を務めることができました」
今回のドラマで彼女は主演と同時に主題歌も担当した。
「今年2月に公開された『あの日のオルガン』という映画に出演していたのですが、それを観たドラマのプロデューサーが今回のドラマ出演のオファーをしてくださったんです。ひとつの仕事で出した結果が、新しい作品につながり、女優としてのお仕事を認めていただいたような気持ちになりました。それに加えて、ドラマの撮影を進めていく中で、今度は“主題歌もお願いします”という話になって……責任は重大ですが、両方を務めることができるチャンスはそうないので、うれしかったですね。主題歌の『I am I』には主人公の羽衣ちゃんの気持ちを込めて制作しました」
アーティストとして、女優として、また舞台やミュージカルでも活躍をする彼女。実は今年はデビューをして5周年という記念すべき節目の年で、ドラマの撮影をしながら5周年の全国ライブツアーも回っていた。とにかくマルチに、そしてタフに活躍をする彼女だが、どんな時でも「ニュートラルでいるようにしている」と話す。
「お芝居でも歌でも共通しているのは“その作品の主人公に気持ちを寄り添わせて、仮面を被る”という感覚かもしれません。お芝居ならその役に、歌なら作品の中に紡がれる人に自分を染めているようなイメージで、“大原櫻子という自分自身”は常にニュートラルにして、どんな役の仮面でも被れるようにしています」
そんな大原は今、「仮面をつけて自分自身が消えた瞬間に一番喜びを感じる」と話す。
「“この役ってすごくいいよね”とか“あの歌に感動した”とか、自分よりもまず作品を先に好きになってもらうことがうれしい。もちろん大原櫻子自身をよく見せたいという気持ちはあるんですけどね(笑)。でも、それ以上に作品が気になって調べたら、実は大原櫻子の作品だって思ってもらえるほうがうれしい。それくらい今は仕事が楽しいですね」
活動5年を経て、ますます積極的に活躍する彼女。今作のドラマ以降も秋には『怪人と探偵』、来年は『ミス・サイゴン』とミュージカル出演が2本控え、その間に新曲のリリースも控えているという。
「今は人の心にずっと残る作品を残していきたい。そのためにも目の前のお仕事を大事にしようと思います」
口にする言葉ひとつひとつから彼女のひたむきさが伝わってくる。びしょ濡れでなくても、やっぱり私たちは大原櫻子から目が離せないのだ。
大原櫻子
おおはら・さくらこ
1996年、東京都生まれ。
2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」全国ヒロインオーディションで5,000人の中から抜擢され、スクリーン&CD同時デビューを果たす。
歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演。2018年には「新感線☆RS『メタルマクベス』disc2 」ランダムスター夫人を好演。
現在、テレビ東京でドラマパラビ「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」にて初のドラマ主演&主題歌を務める。
- 写真:加藤岳
- 取材・文:知野美紀子(SUPERMIX)
- 構成:SUPERMIX